第8章:男たちに回される夜
破かれたカーディガンと下着の残骸が、冷たい床に散らばった。
「やめて……お願い、許して……っ!」
咲良の必死の懇願は、男たちの興奮を煽るスパイスでしかなかった。
両手首を結束バンドで背中に縛り上げられ、畳まれた布団の上にうつ伏せに押し倒される。無防備に晒された白い背中や太ももに、男たちの湿った脂ぎった手のひらが無数に這い回り、肉を強く握り潰した。
「ほら、泣くなよ。夜通しイキまくってたんだから、体が欲しがってんだろ?」
「スマホの画面、もっと近づけろ! 顔と股間がバッチリ映るように生配信回せ!」
頭上で焚かれる複数のスマートフォンのLEDライトが、咲良の剥き出しの肉体を容赦なく照らし出す。
男たちの一人が掲げる画面には、すでに数千人が集まったアングラ配信のコメント欄が猛烈な速度で流れていた。
『うわ、本当にカチコミ成功してて草』
『ショートスリーパー女のオフパコ生配信キター!』
『もっと激しく回せ! 投げ銭するぞ!』
画面の向こうの見知らぬ無数の視線と、部屋にいる男たちの生々しい暴力。
一人の男が咲良の腰を乱暴に掴み上げると、嘲笑とともに肉体への蹂躙が始まった。
「あっ……痛い、いやぁっ……!」
愛撫など微塵もない、ただの破壊的な挿入と摩擦。
拒絶しようと身を捩れば捩るほど、男たちは下卑た歓声を上げ、腰を打ちつける速度を速めた。激しい肉の衝突音と、咲良の悲鳴が部屋の四壁に反響する。
一人目が果てると、休む間もなく次の男が咲良の髪を掴み、無理やり顔を上向かせた。
涙と汗と涎でぐちゃぐちゃになった顔に、別の男が己の欲望を押しつけ、口腔を塞ぐ。息もできず、喉の奥を抉られるような嘔吐感と苦痛に咲良の瞳から光が失われていく。
「おいおい、白目剥いてんじゃん! 最高にエロい顔だな!」
「神谷のバイブより、俺らのほうがずっと効くだろ? ほら、声出せよ!」
男たちは代わる代わる咲良の肉体を貪り、弄び、回し続けた。
股間、口、胸――すべての尊厳を切り刻まれ、体液と汗で汚されていく。
ネットの生配信では視聴者数が万人単位へと膨れ上がり、咲良が無様に痙攣し、喘ぎ、汚されていく姿がリアルタイムで世界中に共有されていた。
(誰か……嘘だと言って……私、ただ……認められたかっただけなのに……)
脳の奥で、何かが決定的に砕け散った。
連続する苦痛と、強制的な刺激によって分泌される脳内物質の異常な過剰供給。苦痛なのか、絶頂なのか、恐怖なのかすら判別できなくなった神経回路が、焼き切れるような熱を帯びてショートしていく。
「あ……あぁ……っ、ふふ……」
いつしか、咲良の唇から悲鳴ではなく、壊れた人形のような狂った吐息が漏れ始めていた。
焦点の合わない瞳で、自分を撮影する無数のレンズを見つめ、力なく口元を歪める。
「そうそう、その顔! サムネ用にスクショ撮っとけ!」
「おい、次の奴! まだまだ夜は長いぞ、ショートスリーパーなんだから朝まで寝かせんなよ!」
男たちの下卑た笑い声が渦巻く暗がりの中、咲良の尊厳と人間性は、一滴残らずネットの欲望の海へと搾り取られていった。




