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お披露目

誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。

 10歳の子供たちのお披露目ということで、

 参加できるのはお披露目に出る子供と保護者だけ。

 アーサー皇子やリゼを一目みておこうという

 物見高い貴族たちは立ち入り禁止だ。


 それでも、今年は皇太孫であるアーサー皇子のお披露目だ。

 子供の数も多い。


 いつもなら20人くらいしかいない。

 なにしろ皇城でのお披露目会に出られるのは貴族だけだから。

 なのに今年は38人もいる。


 ひとりひとり呼び出されて皇帝に挨拶をするから、かなり時間がかかる。

 皇后陛下は15年ぐらい前に亡くなられているので、

 リゼは絵画でしかおばあ様を知らない。


 だから女性で一番位の高いのは皇太子妃であるマリア叔母様だ。

 今回は皇太子と皇太子妃はアーサー皇子の付き添いをするから、

 皆の挨拶を受けるのは皇帝陛下おひとりとなる。


 一番身分の低いものから名前が呼ばれるから、

 私とお父様は皇族控室で待機だ。

 護衛のベルクとミーナの家の爵位は伯爵。

 皇族に仕えるのにちょうどよい爵位だ。


 本当はベルクとミーナのお披露目をみたかったなぁと思ったら、

 なんと壁がスクリーンになって会場の様子が見れるじゃないですか。


 ぱあっと目を輝かせてお父様をみれば、知らん顔をしている。

 リゼのしてほしいことを大抵先回りして用意してくれるけれど、

 それって子供の教育にはよくないんじゃないかとリゼはちょっぴりそう考える。

 来るのが遅かったから、もうそろそろ伯爵位の子供たちの番みたいだ。


「ブルク伯爵家第一子ベルク・フォン・ブルク」

 呼ばれてベルクと護衛隊長、それに奥様らしい女性が進み出た。


 そこから壇上まで上がるのはベルクだけ。

 ベルクは堂々と壇上に上がるとおじい様の前に跪いて名乗る。


「ブルク伯爵家第一子ベルク・フォン・ブルクでございます」

「ベルク・フォン・ブルク。汝に魔法士の証を授ける。立つがよい」


 そこでベルクが立ち上がると側仕えがベルクに指輪を渡す。

 指輪を受け取ったらベルクはそれを指に嵌めて一礼。


 家族のもとに戻ると、そこで家族そろってまた礼。

 そして静かに場を離れる。


 散々練習させられたけれど、やってみたらアッという間。

 そりゃあ沢山いるのに時間はかけられませんよ。


 そのかわり会場には食べ物も、お菓子も、飲み物もたっぷりあるし、

 そこかしこに椅子やテーブルも配置されているから、

 まぁ飲み放題、食べ放題ってわけ。


 爵位の低い子たちは儀式がすんだからか、かなり楽しそうだし、

 親たちはせっせとお互いの情報収集に余念がない。

 もう壇上なんて誰もみていない。


 ミーナもそつなくこなしている。

 優等生タイプだものね。ミーナは。

 今日は空色の明るいドレスを着ていて、

 お揃いのヘッドドレスにキラキラ光るダイヤが鏤められている。

 とても可愛らしい。時々はにかむように笑っている。


 この後侯爵家、公爵家と続いて、私たちの番だ。


「さて、そろそろ会場に入ろうか。 リゼ」


 入場の名乗りはしない。

 今日は子供たちのお披露目だ。邪魔をしてはいけない。


 静かに入場したつもりだけれど、やはり目立つようだ。

 お父様はいつも黒衣を召されることが多いので、リゼの衣装も黒色だ。


 けれど沢山の小さな宝石がシオンとリゼの洋服に縫い留められているから、

 それは照明に映えてとてもきらびやかだ。


 そしてリゼは小さなティアラをつけている。

 プリンセスだけが着けられるティアラだ。

 このティアラにも格式があってリゼのは小さいものだ。


 皇太子の娘なら皇女を名乗れるから、

 もっと大きなティアラになる。

 リゼは第二皇子の娘だから、皇女は名乗れない。

 プリンセスまたは王女となる。


 リゼたちが進み出ると皇帝は相好を崩した。


「リゼ よく帰って来てくれたな」


 その瞳にあまりにも愛情が満ち溢れていたので、会場はどよめいた。


「おじい様」

 リゼは小さくささやいた。これはちょっとまずい。

 宮廷というものは格式に五月蝿いのだ。


 皇帝はすぐに元の顔にもどり、式は淡々と進んだ。

 そして場を去ろうとしたとき、皇太子一家とすれ違う。


 皇太子はにこやかだったが、皇太子妃は怖い顔をしてリゼをにらむ。

 しかもアーサー皇子は、まるで氷のような冷たい瞳でリゼをみていた。


 シオンとリゼは素知らぬ顔で礼をして通りすぎたのだが、

 すれ違いざまアーサーは確かにこう呟いた。

 偽物のくせに!と。

 

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