リゼ出生の秘密
誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。
リゼは思わず父を見つめた。
「さすがですね。多分気づいていらっしゃると思っていました。」
そういうとリゼは素直に今まで起きたことを話す。
多分シオンは他に聞かせてはならない話を、
ここで詰めておきたいのだろうから。
全て話し終わると、リゼはこてりと首をかしげた。
「それで、どう思われますか。
私はリゼ・フォン・アストラルなのでしょうか?」
それとも太田 理恵子なのか?
とはリゼは聞かなかったが、シオンは察した。
「リゼ。お前は間違いなく私の娘、リゼ・フォン・アストラルだよ」
柔らかく微笑みながらシオンは頷いた。
リゼは困ったように瞬きをする。
まだ信じられないのだろう。
「あの日、異界への扉が開かれた時、
私たちはもう一人のリゼを探していたのだ。」
あぁ、ソウルメイトのことかとリゼは思う。
しかし、ソウルメイトとは魂の半身とはいえ、別人のはず。
「リゼ。私たち皇族は魔力量が多い。
そのために皇族に嫁いだ妃にとって出産は命がけだ。
わかるね?」
それは確かにそうだ。
なるべく魔力量が多いものが選ばれるが、
それでも出産に耐え切れずに亡くなる妃も多い。
それゆえに皇族の数は少ないのだ。
「リゼ。お前の魔力は初代皇帝と同じなのだ。
始祖の力は膨大だ。砂漠を緑地に変えるほどだからな。
だから何としてもお前を産む必要があった。」
ごくりとリゼは息を呑む。どういうこと?
今シオンはなんの話をしているの?
確か初代皇帝の母は皇帝を産むと亡くなったと伝えられているが……。
痛ましそうにリゼを見つめシオンは話を続ける。
「あのままでは、妻サラの命だけではなく、リゼお前の命も危うかった。
どう頑張ってもサラは出産まで持ちこたえられそうもなかったし
そうなればお前の命も危うい」
「異界の扉を開いたのは2度。
お前が産まれる前、お前の魂を二つに割いて、
一つを異界で死亡したばかりの胎児に託した。
母親は気が付かなかったろう。
我が子が既に死亡していることなど」
では、太田理恵子もリゼだったのだ。
リゼはわずか5歳でそれに気がついて、
しかも適切に対処した?
「お前の母は禁忌など犯していない。
ただ、自分が死ねばリゼの魂の片割れを取り戻せなくなる。
それで異界を開き、リゼ本体を異界に。
片割れをこの世界に戻したのだ。
リゼはすでに魔力を顕現していたから、時がくれば、
お前が魔力を顕現させさえすれば、元の身体に戻り、
割いた魂もまた一体になるからだ」
リゼはただ涙を流していた。
母親はどれだけの犠牲を払ってリゼを守ったのだろうか。
そんなリゼを固く抱きしめてシオンは言った。
「お帰り、私の大事な娘。我がアストラルの希望の星よ」
「では、お父様はどうして私が異界にいると知っているのに。
会えるのは10歳だと知っていたのに、
臣籍降下までして私を探したの?
ずいぶん非難されたはずなのに」
「わからないからだ。敵の正体が全く見えない。
お前が異界にいると知られてはならなかった。
敵がただ人なら良い。だが異能者だったら?
このアストラル皇国の中にいるのか?
あるいは外の世界でひそかに力を蓄えているのかも
つかめていないんだ」
愛する妻を亡くしシオンは全力で敵を追った。
そうして全ての手がかりは、必ずプツンと途切れた。
それでシオンは確信するしかなかった。
アストラル皇国以外に異能集団がいると。
彼らがアストラル皇国を狙っているのは間違いない。
しかも狙いはリゼだと思われた。
それならリゼの力までわかっているとしか思えない。
リゼはアストラル皇国に戻ったが、敵もそれを知ったはず。
今度こそはリゼを守る。
シオンは固く決意していた。
アルファポリスでも、投稿してきましたが、シリーズにしたくてこちらにも投稿させて頂きます。
アルフェ大陸にある4つの国。
その過去や未来。時空を超えてお話を紡いでいきたいと思っています。
例えばあの主人公の過去は?
とか、亡くなった祖母はどんな人だったとか。
未来の子供達の物語などです。
よろしくお願いいたします。




