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試しの儀 リゼ

誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。

 セレスティア王国の場合試しの儀は5つある正殿で行われる。

 そのため辺境の孤児院の朝は早い。


 夜明け前からたたき起こされ、真っ白な儀式服を着用する。

 儀式服は男女同じでサイズも同じ。


 頭からすっぽりとかぶるだけの簡易な服だ。

 足首より長いようなら、腰でたくし上げて縛る。


 その代わり純白ですべらかな光沢のある布で、できている。

 これはアストラル皇国からの支給品。


 リゼも同じ服を着せられて、馬車に押し込まれた。

 孤児院だけではなく近隣の子供たちも集められているから

 本当なら賑やかなはずなのにシンと静まりかえっている。


 もしかしたらこのまま家に帰れないこともあるのだ。

 試しの儀は子供たちしか参加できない。


 親たちは馬車の周りを取り囲み、

 ただ祈るばかり。

 我が子が無事にかえりますように。


 リゼは困っていた。

 体は確かにリゼだけれど、魂は違うはず。

 試しの儀で何が起こるのだろうか?


 リゼは自分がもはや理恵子ですらないことを確信している。


 昔の記憶は朧気でほとんど残っていない。

 その代わり父親であるシオンや祖父の顔ばかり懐かしく思い出すのだ。

 身体の記憶がリゼを取り込んでしまったのかもしれない。


 それでも自分に魔力があるのか不安でしかないのだ。

 もし魔力がなければ、リゼはこのセレスティア王国で

 呪い子として生きることになるのだろうか?


 早朝から出発したというのに、リゼたちが正殿に着いたのは、

 お昼をとうに過ぎていた。

 控室には飲み物とサンドイッチが用意されていた。


 順番に呼ばれるまでここで待つしかない。

 ひとり また ひとり 

 どんどん子供たちが減っていく。


 とうとうリゼは最後の一人になってしまった。

 太陽は傾き空はすでに赤く染まっている。


「あぁ やっと最後か。 次はリゼか。

 なんだ見つかったリゼ姫様と同じ名前か?

 不敬だから名前を変えたほうが良いかもしれんな。

 リゼ、お前は今日からロゼという名前だ。

 わかったな?」


「えっ!姫君が見つかったんですか?本当に?」


「本当だとも。ルーンフェル王国で美しい銀髪と菫色の瞳を持つ

 魔力持ちが現れたんだ!

 姫様に違いないともっぱらの噂さ」


 そんなはずはない。この身体はリゼのものだ。

 魂は理恵子の身体に宿ったはず。

 私以外に姫君はいないはずなのに。


 試しの儀でリゼが丸い水晶玉に手を触れると、

 凄まじい白光が当たりを包む。

「うわぁー 一体何が起きたと言うんだ」


 周りが騒然とする中

 黒髪と紫の瞳の少女が嫣然としてほほ笑んだ。


「私の名はリゼ・フォン・アストラル 。

 レオニス・フォン・アストラル十三世の孫にして 

 シオン・フォン・アストラル第二皇子の第一子です。

 先ほどの執政官。

 私に名を変えろとはどういうつもり?

 偽物が出るというのも不快なものね」


「な。な。なんだと。どうしてお前が!」


 目を見開き腰を抜かしている男を

 リゼは興味なさげに見下ろす。


「もういいわ。お父様を呼ぶほうが早いもの」


 リゼはすっと目を細めると伝令とつぶやく。

 リゼの前に小さなコウモリが現れた。


「お父様に伝えて。リゼが戻ったと」


 その瞬間コウモリはあとかたもなく消えた。


 その不思議な様子に周りは扱いを決めかねている。

 もし本当にこの娘が姫君だったら?


 ともかく王宮に伝令を!

 女王にこのことを伝えなければ!

 だが遅かった


「お父様!」

 いつの間にかリゼの前には、

 シオン・フォン・グランヴェイク大公がいて、

 今や娘を抱きしめていたのだから。

アルファポリスでも、投稿してきましたが、シリーズにしたくてこちらにも投稿させて頂きます。

アルフェ大陸にある4つの国。

その過去や未来。時空を超えてお話を紡いでいきたいと思っています。

例えばあの主人公の過去は?

とか、亡くなった祖母はどんな人だったとか。

未来の子供達の物語などです。

よろしくお願いいたします。

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