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攫われたのは皇帝の孫娘でした。  作者: こもれびの空


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太田 理恵子 リゼと交代する

誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。

 太田 理恵子は中学生だった。

 しかし学校に通うことはない。

 なぜならほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたからだ。

 だから、もしかしたら姫として育てられたリゼよりも、

 精神年齢は幼かったかもしれない。


 だからと言ってこれはないだろうと理恵子は思った。

 何しろいきなり空中に現れた美しい少女は

「見つけた!」

 というなり理恵子をつかんで引っ張り上げたのだ。


 下を見ると理恵子の体は相変わらずベッドの上にあった。

「な、何?どういうこと。ちょっと放して!放してってば!」

 理恵子の抵抗もむなしく、

 いつの間にか理恵子は何もない白い空間にいた。


 あたふたしている理恵子を見てリゼがため息を一つこぼした。


「いいこと。これから説明することは私たち二人にとって最善の方法なの。

 よく聞いて。このままではあなたは死んでしまう。私もね」


 リゼは説明した。

 リゼの母親が重傷を負った事。

 そして母が娘を守るために異能を使ったこと。

 あのままではリゼも殺されていた。 

 そこで母はこの異空間にリゼを送った。


 母の異能は身代わりを召喚するもので、禁忌とされるもの。

 本来なら理恵子はリゼの身代わりとして殺され、

 リゼは後で復活するはずだった。


「そんなこと許さないわ」

 小さな姫は誇り高かった。


「私があなたの身体で、あなたの人生を生きてあげる。

 お母さまは私が生きることを望まれたのだから」

「だから理恵子 あなたは私の身体に入ってリゼとして生きて!」


 ちょっと何を言っているのか全然わからない。

 それなら何も交代する必要なくないですか?

 理恵子が目を白黒させていると、

 しょうがないなぁという風にリゼは、またため息をついた。


「あなたね。お母さまの異能をなめているのかしら?

 あなたは既に召喚されてしまった。私の身体にね。

 私は本当ならここでそれを見ているだけで良かった。

 あなたが殺されたらお父様は必死で回復魔法をかけるでしょうからね。


 今も実際にお母さまに掛けているわ。でもね死者は蘇らない。

 だからあなたを身代わりにしたの。

 お母さまは死んでしまった。重症なのに禁忌の魔法を使ったから」


 そういったリゼの顔は苦しそうで、悲しそうで

 年相応の幼子にみえた。

 けれどリゼは誇り高い姫君。

 きりりと顔をあげるとほほ笑んだ。


「私の身体は、ある船の樽の中に転移させたわ。」

 広大な川が砂漠と海の国であるアストラルを結んでいる。

 リゼは川が好きだった。

 いつか海を見たいと望んでいた。

 きっとそれは叶えられるはずだった。


「ねぇ。リゼ。私はお母さまが大好きなの。

 そのお母さまに禁忌なんて犯させたくない。

 私もちゃんと生きるわ。理恵子の身体でね。

 理恵子にも生きて欲しい。姫として誇り高く。

 私とお母さまの名誉を汚したら許さないんだから」


 理恵子は驚愕した。

 できるわけない。お姫様になるなんて。

 理恵子は庶民も庶民。平凡で凡庸な娘なのだ。

 しかもあまり学校にも通っていない。

 とうてい勤まるとは思えなかった。


「ねぇ理恵子。

 私の身体に入ったらきっとあなたは記憶を失う。

 私のことも忘れるわね。

 でも大丈夫。大丈夫なのよ理恵子。

 だってあなたは私の半身。ソウルメイトなのだから。

 そうでなければあんな状態のお母さまが

 転移なんて成功させられるはずがないもの」


 何が大丈夫なのものか。

 理恵子としては大いに異議を申し立てたいところだけれど、

 口を開こうとして気が付いた。


 自分がずいぶん小さくなっていることを。

 そしてどうやら窮屈な樽の中らしいことも。


 アッ。リンゴの樽なんだ。ラッキーだわ。

 少なくとも水分もエネルギーの補給もできる。

 さすがリゼだわ。


 そう考えてから驚いた。

 リゼは記憶が消えると言っていなかったか?

 それに自分はこんなにポジティブな人間だっただろうか?

 いや、どちらかと言えばおとなしい、

 しいて言えば繊細な子だったはず。

 私はいったい誰なんだ?


 こんな窮屈な樽じゃぁ眠ることもできやしない。

 そう思っていたが、そのままぐっすり眠ってしまったらしい。

 仕方がないじゃないか。

 小さな子供はすぐに寝てしまうのだから。


 理恵子、

 いやリゼは周囲の大騒ぎをよそにそんなことを考えていた。


 どこの誰だと聞かれても、リゼには答えられない。

 本当に自分が教えて欲しいくらいだ。


 一応、この体の記憶はある。

 リゼが残しておいてくれたんだろう。

 本当にあいつは5歳なのか?

 結局公女の思惑通りに進んでいる現実に

 リゼは少しむかついたのだ。


 だから決して姫だとは名乗ってやらなかった。

 それに黒髪が、老婆みたいになったことにも文句を言いたい。


 乙女心が傷ついたのだ。

 なにしろ髪は女の命だからな。

 そううそぶきながらも、

 理恵子だったら絶対にこんなことは思わないと断言できる。

 理恵子はいい子ちゃんだったのだから。


 『私たちはソウルメイトなのよ』

 そういって笑っているリゼの顔がチラついて、

 余計にリゼはふてくされるのだった。

アルファポリスでも、投稿してきましたが、シリーズにしたくてこちらにも投稿させて頂きます。

アルフェ大陸にある4つの国。

その過去や未来。時空を超えてお話を紡いでいきたいと思っています。

例えばあの主人公の過去は?

とか、亡くなった祖母はどんな人だったとか。

未来の子供達の物語などです。

よろしくお願いいたします。

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