皇太子妃の父 フィクトス公爵の来訪
誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。
ともかくここは人目が多すぎる。リゼたちは急いで大公邸に戻った。
リゼたちが家にたどり着くや否や、
ブルーノ・フィクトス公爵の来訪が告げられた。
全く考える余裕すらない。
フィクトス公爵こそマリア皇太子妃の父親その人だ。
しかしなぜ皇帝でも、皇太子邸でもなくシオンの元を訪れたのか?
それもアーサーが盛大にやらかした途端にだ。
リゼが考え込んでいると、シオンがその頬を突いた。
「お父様。子供っぽい真似はおやめ下さい」
リゼが抗議すると、シオンが笑った。
「子供がしかめっ面なぞするんじゃない。リゼ。
フィクトス公が、フィクトス家が何と言われているか知っているか?」
フィクトスは確か不動のフィクトスとか民の守り手と言われているはずだ。
ともかく頑固で保守的。
皇室よりは国――いや民を大事にする家訓があったはず。
いまさら何を?リゼが考え込んでいると、シオンはその頭をポンポンと叩いた。
「だからお父様、髪が乱れます。」
とうとうシオンは笑いだした。
笑える状況か?リゼはとうとうふくれっ面になってしまう。
「フィクトス家はな。無謬のフィクトスと言われているのだ。
皇太子妃にフィクトス家の娘マリアが選ばれたのも、
貴族会議が全会一致で賛成したのもそのせいだ」
無謬絶対に間違わない。
そんなことがあるだろうか?人は間違うから人なのでは?
シオンはにこりと笑った。
「一番大事な時に最も大切なことを間違えない。それがフィクトス家だよ。リゼ」
「お父様はフィクトス家を信頼されているのですね。」
そして皇帝陛下も。リゼは心の中で付け加えた。
「今一番揺らいでいるのは兄上だろうね。身内だからね。
身内だから疑ってしまうし、不安になる。愛しているからこそだね」
そこへフィクトス公爵が入ってきた。
「お邪魔しますぞ。シオン殿下。やぁ、すっかりレディになられましたな、姫」
「義叔父上 挨拶は不要ですよ」
「義大叔父様 お久しぶりです。ノアは元気ですか?」
「おやおや、リゼ姫はむさくるしい年寄りより、孫息子がお気に入りですかな?」
リゼは思わず顔を赤らめた。
リゼやアーサーはお年頃。婚約者が出来てもおかしくない。
異世界のおぼろげな記憶では10歳は完全に子供。
でもここは10進法が基本
1時間は100分。1日は20時間。1月は20日。1年は20月。
つまり太田 理恵子のいた世界より1.5倍 1年は長い。
だからリゼ達は異世界なら15歳。恋を知りたいお年頃。
アーサーは困った恋をしてしまったようだが。
リゼは皇室唯一の女児だ。だからこそ血を余所に流出させるわけにはいかない。
必然的にリゼの結婚相手は決まってくる。
ただし最悪の場合ノアなら貴族会議もなんとか了承するのではないか?
そんな話を幼い時に耳にしてから、
どうもノアの名前を聞くと平静ではいられないリゼなのだ。
リゼの頬が染まったのをフィクトス公爵は微笑ましく眺めていたが、
それをシオンがぶった切った。
「それでなんの用だ」
フィクトス公爵は真面目な顔になると
「少し姫様の力をお借り出来ませんかな」
リゼの力。リゼ固有の異能となるとあれか? 異空間生成。
リゼは母の力を受け継いで 異空間 何もない’白い空間を生成できる。
5歳のころ作ったあれだ。
今ではもっと上手になって異空間も真っ白ではなくなった。
この異空間の恐るべきところは、相手の顔と名前がわかれば、
相手がどこにいても異空間に召喚できてしまうところだろう。
「もしかして、義大叔父さま。アーサーを呼びたいのですか!」
誰にも知られずアーサー皇子に会いたい理由。
それは……。
それはもしかしたら……。
アルファポリスでも、投稿してきましたが、シリーズにしたくてこちらにも投稿させて頂きます。
アルフェ大陸にある4つの国。
その過去や未来。時空を超えてお話を紡いでいきたいと思っています。
例えばあの主人公の過去は?
とか、亡くなった祖母はどんな人だったとか。
未来の子供達の物語などです。
よろしくお願いいたします。




