波乱の入学式
誘拐されたお姫様が孤児院で呪われた娘と馬鹿にされながらも、王女の地位を取り戻し、母を殺し自分を誘拐した犯人をスカッと退治しちゃうお話です。
ともかくお父様が観察しろというのなら、ここはおとなしくしていましょう。
リゼは一番後ろの席に座った。
2階から保護者たちが、我が子を見守っている。
この状態で何かが起きるとも思えない。
ところがそうはいかなかった。
新入生代表の挨拶でアーサーがやらかしたからだ。
アーサーは壇上に立つとサトリ姫に手を差し出した。
「サトリ お前もこちらへ」
周囲はざわつく。
リゼはちらりと2階に目を向ける。
皇太子は驚きを隠せていない。
皇太子妃はすまし顔。ふーん彼女も承知というわけだ。
お父様は面白がっているな。
サトリが壇上に上がるとアーサーはぶちかました。
「彼女はルーンフェル王国の王女で、私の未来の妻だ。
つまり彼女こそが、この学院のファーストレディだ。
彼女に無礼な真似をすれば、この私
皇太孫たるアーサー・アストラルが許さない!」
会場は騒然となった。
アーサー皇子が婚約したなんて!
会場には内閣府の役員も大勢いる。
皇太子殿下が2階から、大音声で命じた。これは魔法を使っているな。
「入学式はここまでとする。 アーサーお前は謹慎だ。少し頭を冷やせ」
アーサー皇子が何か言おうとしたが、声が出ない様子だ。
さすがは皇太子殿下。すでにアーサーを拘束したようだ。
皇太子妃が不快そうに席を立つが、
これはあなたの息子を守るためですからね。
皇太子に感謝しなければ。
大体アーサーの話は突っ込みどころ満載だ。
まずサトリは王女ではない。
リゼが皇女ではないのと同じ理屈だ。サトリに許された呼称は姫だろう。
次に婚約。
皇太孫の婚約を決めるのは国だ。
本人ではない。
皇帝や皇太子の意向が尊重されるが、最後には貴族会議で決定される。
惚れたが通用するほど宮中は甘くない。
とはいえ
これはたぶん皇太子妃の意向だ。それはここにいる全員に伝わった。
生徒らはサトリを将来の皇后として扱うだろう。 表面上は。
壇上の視線はさっきからシオンとリゼに注がれている。
これはかなりまずい状況だ。
うっかりすると皇室が割れる。皇太子派閥と第二皇子派閥に。
アーサーなんておバカなの。
あなたは利用されているわよ。多分ルーンフェル王国に。
それにしても、
皇太子妃だ……。
彼女は公爵家出身。しかも穏健派で中立派。
誰もが問題なしとした一族のはず。一体どうしたというのだろう。
誰が裏から糸を引いているのか?
ルーンフェル王国がいつからアストラル皇国に目をつけたのか?
リゼはブルリと身を震わせた。
完全に後手に回っている。
もしかしたら、もう手遅れなのかも?
そんな不吉な予感がしたからだ。
アルファポリスでも、投稿してきましたが、シリーズにしたくてこちらにも投稿させて頂きます。
アルフェ大陸にある4つの国。
その過去や未来。時空を超えてお話を紡いでいきたいと思っています。
例えばあの主人公の過去は?
とか、亡くなった祖母はどんな人だったとか。
未来の子供達の物語などです。
よろしくお願いいたします。




