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レベルアップする世界 ーこの世界はレベルを上げなければ生き残れない。ー  作者: レモンティー


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第七話:継承される剣

青い閃光が消えた。

静寂が、ボス部屋を包む。

九条貴教と黒騎士アルドは、互いに背を向けたまま立っていた。

どちらも動かない。

時間だけがゆっくりと流れる。

やがて――

カラン。

金属が床を打つ乾いた音。

アルドの長剣が、その手から滑り落ちた。

鎧に一本の亀裂が走る。

その亀裂は蜘蛛の巣のように全身へ広がり、青白い光が隙間から溢れ始めた。

「……見事だ」

低く、それでいて穏やかな声だった。

貴教はゆっくり振り返る。

「勝負は……」

アルドは静かにうなずく。

「お前の勝ちだ」

鎧が少しずつ崩れ、光の粒となって舞い上がる。

だが、その表情に悔しさはない。

長い役目を終えた者だけが見せる、安堵の笑みだった。

「なぜ……俺と戦った?」

貴教が尋ねる。

アルドは遠くを見るような目で答えた。

「私は千年以上、この塔で待ち続けた」

「資格ある者を」

「資格……?」

「強いだけでは足りない」

アルドは首を振る。

「力とは、人を守るために振るわれて初めて意味を持つ」

「お前は、自らの命を懸けて他者を守った」

「だから私は、お前を認める」

その瞬間。

青い文字が視界を埋め尽くした。

階層ボス撃破

レベルアップ!

Lv.16 → Lv.17

Lv.17 → Lv.18

称号獲得

《継承者》

さらにアルドの剣が強い光を放ち始める。

光が収束すると、一振りの美しい銀蒼色の剣が姿を現した。

《蒼天の剣》

レア度:SS

固有能力

・剣技威力上昇

・魔力伝導

・成長型武器

「成長型武器……」

黒曜の剣とは違う。

使い手の成長と共に、この剣も進化していく。

アルドは最後の力を振り絞るように口を開く。

「その剣は……英雄だけが継ぐ剣」

「決して……力に飲まれるな」

そう言い残すと、アルドの身体は無数の光となり、静かに消えていった。

ボス部屋には、もう誰もいない。

その時だった。

ゴゴゴゴゴゴ……

塔全体が激しく揺れ始める。

壁に亀裂が走り、床が震える。

次の瞬間。

視界が真っ赤に染まった。

【WARNING】

管理領域異常

不正侵入者を確認

管理者権限による強制介入を検知

「管理者……?」

だが違う。

以前出会った《管理者》の表示とは明らかに異なっていた。

文字が崩れ、赤黒く点滅している。

識別不能

管理者:ERROR

「エラー……?」

床が黒く染まり始める。

まるで闇そのものが染み出してくるようだった。

そこから、無数の黒い腕が這い出してくる。

何十本。

何百本。

耳障りな声が塔中へ響いた。

「侵入者を……排除する」

「適応者を……削除する」

黒い霧が渦を巻き、一人の少年の姿を形作る。

貴教は息を呑んだ。

「……蓮?」

黒いコート。

同じ背丈。

同じ顔立ち。

しかし決定的に違うものがあった。

瞳。

血のように赤く染まり、そこには一切の感情がない。

頭上には名前ではなく、

???

Lv.35

とだけ表示されている。

少年は機械のような声で告げた。

「対象確認」

「適応者を排除します」

次の瞬間。

姿が消えた。

「っ!」

反応すらできない。

腹部へ衝撃。

ドォォォン!!

貴教の身体は壁を突き破り、次の階層まで吹き飛ばされる。

HP:280 → 61

肺の空気がすべて吐き出された。

(速すぎる……!)

煙の向こうから、少年がゆっくり歩いてくる。

「抵抗は無意味です」

「あなたは、この世界に存在してはいけない」

貴教は血を拭い、《蒼天の剣》を握り直した。

震える足で立ち上がる。

「誰が決めた」

少年は無表情のまま見つめる。

貴教は剣先をゆっくりと持ち上げた。

「俺は、生きる」

その瞬間。

《蒼天の剣》が眩い蒼い光を放つ。

塔全体を照らすほどの輝きだった。

初めて少年の表情が揺らぐ。

「……その剣」

「なぜ、お前が持っている」

少年の赤い瞳に、わずかな動揺が宿る。

その時――

塔の最上階から、世界を震わせるような竜の咆哮が響いた。

ゴォォォォォォォォォォッ!!

システムが冷たく告げる。

第一災厄《紅蓮の竜》出現まで

残り48時間

貴教は剣を構えた。

少年も静かに拳を握る。

塔の空気が張り詰める。

次の瞬間。

二人は同時に地面を蹴った。

本当の戦いが、幕を開けた。

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