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2. 怪しい招待 (2)

「さあ、こちらへどうぞ。お連れの方々はあちらへ。ご主人様とは昼の会食の際にお会いになれるでしょう」


婿候補は彼一人ではない。事前に聞いた情報によれば、以前にも何度かこのように複数の候補を集めて見合いのような手順を踏んだらしいが、どうやら気に入る相手がいなかったようだ。


(そういえば、そのお嬢さんがどんな人なのかは何も知らないな。)


父親である商団主がかなり若い年齢で成功したということ以外、彼の家族に関する情報はほとんどない。妻とは別居中だという噂もあり、その方面からも得られる情報はなかった。アルビトは望みがほとんどないことを理解していたので、この大富豪の娘がせめて親切な性格であることだけを祈りながら昼の会食を待った。


(思ったより人数が多いな。)


時間になり案内された巨大な食堂には、まるで晩餐会の準備でもしているかのように想像以上の豪華な料理が山のように並べられていた。アルビトは椅子を引いてもらう気遣いに少し戸惑ったが、他の候補たちと同じように大人しく席につき、周囲を見回した。


彼を含めて実に七人もの男が婿候補としてこの場に集められている。知った顔はいなかったが、大半は身なりに気を遣っている様子で、アルビトはなんとなく前髪をそっと整えた。


(顔だけで比べれば、俺だって悪くないんだけどな。)


周囲から見れば貴族の坊ちゃんではなく健康的な農家出身の青年に見えるだろう。それでも容姿だけはそれほど悪くないと自分を慰めながら、なんとか気後れしないよう努めた。しかし他の候補たちはそれぞれ不満や不安、焦り、無関心などを抱えている様子で、この場に来たこと自体あまり気に入っていないようだった。


「成金風情が客を待たせるとはな」


アルビトは、自分から最も遠い席に座る青年の口から無視できない大きさの不満げな声が漏れると、驚いて顔を向けた。おそらくこの場にいる男たちの中で最も不満が大きいのだろう。否定的な気配を隠そうともしない傲慢さが感じられる。


年齢はアルビトと同じくらいに見えるが、話し方やあの表情を隠そうともしない様子を見るに、かなり世間知らずな坊ちゃんではないだろうか。服装は高価な素材というより古風な雰囲気があり、古い衣服を手入れして受け継いだもののように見えた。


(あんなことを言うあたり、かなり由緒ある家の出身なのかも。)


とはいえ、ここに集められた立場にどれほど違いがあるというのだろう。アルビトは心の中でその態度を嘲笑い、現実を知らない坊ちゃんだと見下した。どうせこの場の男たちは皆、金を必要としてやって来たに決まっている。


貴族出身ならアルビトと同じように借金に苦しんでいる可能性が高い。助けを求めに来たのなら、少しくらいはプライドを捨てるべきだろう。そう考えていた矢先、ついに噂の成金が姿を現した。


わざと遅れてきたのか、それとも遅れたことに少しも罪悪感を感じていないのか。軽い足取りで入ってきた男は、実にあっさりした挨拶とともに食事を始めた。


「全員揃ったか? では食事を始めよう」


それで終わりだった。自己紹介をするでもなく、相手をじっくり観察する時間もなく、彼はただ席につき熱心に料理を口へ運ぶばかりだった。戸惑ったアルビトは食器に手もつけられず、ただ他人の様子をうかがった。大半は似たような視線を交わしていたが、一、二人は同じように図々しく食事を始めていた。


(何も言わず、ただ食事をすればいいのか?)


若くして、わずか十年ほどの間に莫大な富を築いた商人。その立派な肩書きに見合う威厳のようなものは感じられなかった。第一印象は、思ったより若くてハンサムな人だな、という程度。それ以外は特に何も感じない。


(父親があんな感じなら、娘もかなり美人だったりするのかな。)


カシオは入ってくる金と同じくらい外見を管理する余裕があるのか、年齢の割に若々しい容姿を保っており、顔には一本の皺も見当たらなかった。きれいに整えられた金髪に、無造作に料理へ向けられた淡い青い瞳。少しぼんやりして見えるのは疲労が溜まっているせいだろう。


しかし、この殺風景で静かな食事の時間をそのまま流さず、不満を口にした者がいた。カシオが来る前からこういうことが起こるだろうと大体予想していたため、アルビトは驚かなかった。


「ティアラお嬢様はお見えにならないのですか?」


極めて当然の指摘ではあったが、その口調と雰囲気は明らかに喧嘩腰だった。露骨に成金風情などと呟いていた時点で分かっていたが、相当に性格が悪いに違いない。今もその表情から、自分にこんな無礼を働いたことを罵っているのが見て取れる。


(少なくともあいつには勝てそうだ。)


自分の立場を理解していない世間知らずの坊ちゃん。それとも、この商団の助けなど最初から望んでおらず無理やり連れてこられた人間なのだろうか。意外だったのは、どう見ても挑発的な態度だったにもかかわらず、カシオが眉一つ動かさず平然としていたことだ。


「娘にはまだ会えません。まず私が満足できる人物かどうかを見極め、その後で対面できます」


すでに何度も似たような過程を経たと聞いている。つまり、ほぼ十人近い男たちが彼の気に入らず追い返されたということだろう。しかし娘の夫を選ぶという重要な問題にもかかわらず、カシオは黙々と食事を終えると、未練もなく彼らを残して去ってしまった。


(何をどう評価しているのかさっぱり分からないな。)


妙に気になって落ち着かず、美味しい料理がどこへ入ったのかも分からないまま食事は終わった。滞在期間がいつからいつまでとは決まっていないが、長くても一週間で決着はつくだろう。アルビトは他の花婿候補たちと一緒にいるより屋敷を見て回ろうと思い、ゆっくり外の庭園を歩いた。


「きれいだな」


能力が能力だけに、彼は実のところ花や木を育てるのが好きだった。健康で美しく育つ命を自分が育て上げたのだと思うと誇らしい気持ちになる。だから、薔薇しかないヘルム男爵家の屋敷とは違い、様々な花が植えられた庭園は嫌いではなかった。


(外国から持ち込まれたものも多いな。それにしても、これは見た目としてどうなんだ? きれいではあるけど、やたらとあれこれ適当に植えまくった感じがする。庭師はそこまで考えないのか?)


どこかで急に金持ちになった人間は、家を高価で立派な物で埋め尽くそうとするという話を聞いたことがある。読まない古書や興味もない美術品を、人に自慢するためだけに買い集めるのだと。もしかすると、この庭園もそういう類なのかもしれない。とにかく、呆れるほど花だけは多かった。


(これだけあれば売るなりジャムにするなりしても相当な量になりそうだ。)


実際、アルビトは自分の屋敷で育てた薔薇を少し売ったこともあった。そして消化も兼ねてのんびりと花を一つ一つ眺めていた彼は、特に花が多く咲いている場所で花びらをむしって籠に集めているメイドたちを見かけた。


「そんなふうに花をむしってはいけません」


黙って通り過ぎた方が楽だっただろう。しかし植物好きの性分のせいで不快感を我慢できず、アルビトはつい注意してしまった。良い花や果実を育てるために摘蕾作業が必要なのは事実だ。だがこれは整枝でも何でもなく、乱暴に花びらだけをむしり取っているではないか。


「花びらだけそんなふうに取ると見た目も良くありません。むしろ早いうちに茎ごと切った方がいいです」


香水やジャムを作るために花びらを摘むこともあるが、それでも後始末が汚くなる。突然現れた客に注意されたメイドたちは戸惑い、どう答えればよいか分からないというように視線を交わした後、分かりましたと頭を下げて別の場所へ逃げるように去っていった。


「庭の管理はちゃんと分かる人に任せればいいのに」


一部の花びらだけが残り、ぼろぼろになった花が哀れで、アルビトは他と比べてひどく荒らされた場所を残念そうに見つめた。景観などお構いなしに全部むしり取るつもりだったのか、ひどい有様だった。仕事のできないメイドだったのだろうか。


しかし彼はこの場所の主人ではない以上、庭に手を出すことはできず、そのまま踵を返すしかなかった。そうして三日が過ぎた。同行してきた者のうち農家の人間は早々に故郷へ帰り、残る一人の御者は坊ちゃんから話を聞いて、もどかしそうに悩んだ。


「つまり、呼びつけておきながら今まで何もなかったということですか?」

「そうだ。食事の時間に顔を合わせるだけで何も聞かれないし。かといって別に呼び出して面談するわけでもない」


しかもかなり長く滞在しているのに、ティアラというお嬢様は後ろ姿どころか髪の一本すら見ていない。使用人に尋ねても、お嬢様は体調が悪く部屋にこもっているという答えしか返ってこなかった。


「本当に婿を選ぶ気があるのかも分からないな」

「それでも商団主様に個別でお金を借りられないか試してみるべきでしょう?」

「どうせ最初から選ばれるなんて期待してなかったしな。今日の夕食にでも直接会って頼んでみるさ」


こうしている間にも、故郷ではいつまた借金取りが押しかけて男爵や残りの使用人たちを苦しめるか分からないのだから。しかし、よりによってその日の夕食には商団主が姿を見せなかった。

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