第81話「エルフの古き迷宮」
その日の朝、陸がゴミを出しに外へ出ると、めずらしく私服の柚希が玄関先で伸びをしていた。
「お、休みか」
「うん。今日と明日、連休なんだ」柚希の声が、いつもより弾んでいる。「久しぶりに、ちゃんと寝た。頭が、すっきりしてる」
「そりゃよかった。……じゃあ、今夜は?」
「もちろん、フル参加」柚希が、にっと笑った。「なんか、面白いこと、ないの?」
その顔が、あんまり期待に満ちているものだから、陸はつい笑ってしまった。実を言うと、ひとつ、心当たりがあった。昨夜、エルフの里のエレノアから、気になる話を聞いたばかりだったのだ。
「……あるかもしれない」陸は、もったいぶって言った。「とびきり、でかいやつが」
「なにそれ、気になる!」
「夜、みんな揃ったら話すよ。たぶん、久々に、全員の出番だ」
その夜、拠点の焚き火の前に、めずらしく全員が顔をそろえた。
宗介に、雪乃、大和、静、ハル。休みの柚希も、しっかりいる。焚き火の定位置にはガロードが腰かけ、その隣ではシィラが煙管をくゆらせていた。神獣たちも思い思いに寛いでいる。世界樹の苗も、みんなを見守るように小さな葉を揺らしていた。
「それで、陸」宗介が切り出した。「話ってのは?」
陸は、エレノアから預かった古い鍵を、みんなに見せた。
「エルフの里の、奥深く。ずっと昔に封印された、迷宮があるんだって」
エレノアの話は、こうだった。里が世界から姿を隠す、そのさらに昔。エルフたちは、里に伝わる危険なものと貴重な宝の数々を、ひとつの巨大な迷宮に封じ込めた。深く、深く。何層にもわたる地下の大迷宮に。そうして扉を閉ざし、鍵をかけたのだ。
「里が世界から切り離されて、その扉もずっと開かずにいた」陸は言った。「でも、この前、里が世界に還っただろ。そのおかげで封印が緩んで……いま、扉がまた開くようになったんだって」
「宝の、眠る迷宮……」大和が、ごくりと喉を鳴らした。
「エレノアが、鍵を託してくれた。“あなたたちなら、あそこに眠るものを正しく扱ってくれる”って」陸は、その鍵をそっと握った。「どうだ。みんなで、行ってみないか」
答えは、聞くまでもなかった。
「行くに決まってるだろ!」大和が、真っ先に拳を突き上げる。
「うわー、久しぶりのダンジョンだ」ハルが、目を輝かせた。「腕が鳴るなあ」
「準備は万全にね」雪乃が微笑む。静も、こくりと頷いた。
「ふん」ガロードが、白い髭をなでた。「主が行くのなら、俺も行こう。……老いぼれの出る幕が、あるかはわからんがな」
「あるさ」陸は笑った。「みんなの力が、いる」
そう言って、陸は、ふと足元の神獣たちを見回した。
「……と言いたいところだけど。今回は、地下だからな」陸は、少し考えて言った。「リヴァイアは、水がないと、動けないだろ。あの狭い通路に、無理に連れていくのは、かわいそうだ。……悪いけど、拠点で留守番、頼めるか」
湖のほとりで寛いでいたリヴァイアが、残念そうに、けれど納得したように藍色の目を細めた。深い水を離れては、この海龍は本領を出せない。それは、本人がいちばんよくわかっている。
「アルシオンも、だな。地下じゃ、思いきり飛べない。……空が恋しくなったら、かわいそうだ」
天馬も、翼をたたんで、こくりと頷いた。空を駆けるための翼は、狭い地下では、ただ邪魔になるだけだ。
「そのぶん、留守は任せたぞ。……拠点と、里を、頼む」
二頭が、任せろとばかりに鼻を鳴らす。適材適所。連れていくのは、地下で力を発揮できる者たちだけ。それでも、じゅうぶん、頼もしい顔ぶれだった。
「よし。……行けるやつで、行こう」
シィラが、煙管を置いて、ゆらりと立ち上がった。「面白そうじゃないか。年寄りの、いい退屈しのぎになる」
こうして、久しぶりの大遠征がはじまった。
エルフの里の、いちばん奥。母樹エルダの根が、ひときわ深く大地に潜り込む、その傍らに。それはあった。苔むした、巨大な石の扉。エレノアから預かった鍵を差し込むと、ずずず、と重い音を立てて扉が左右に開いていく。
奥から、ひやりと冷たい古い空気が流れ出してきた。
「うわ……深そう」柚希が、闇の奥をのぞき込む。
「気を引き締めていけよ」宗介が、剣の柄に手をかけた。「何が出るか、わからん」
一同は、松明ならぬフェニクスの灯りを先頭に、迷宮へ足を踏み入れた。
第一層は、森の回廊だった。
地下だというのに、天井から根が垂れ下がり、壁には苔と蔦がびっしり絡みついている。まるで、森がそのまま地下に沈んだような場所だった。だが、その蔦はただの植物ではなかった。侵入者を捕らえようと、いっせいにうねって襲いかかってくる。
「植物系か。なら――」
陸が言うより早く、足元のジオトレントが、のそりと前へ出た。子犬の姿が、みるみる膨れ上がる。地下の森は、ジオの領分だった。ジオが吠えると、こちらの蔦が呼応するように伸び、敵の蔦を残らず絡めとって道の両脇へ払いのけた。行く手を塞いでいた崩れた岩まで、伸びた根が難なく押しのけていく。
「さすが、森の主だな」陸が背をなでると、ジオは得意げに若葉の尻尾を振った。
払いのけた蔦の奥に、古びた宝箱がひとつ隠れていた。宗介が開けると、なかには一振りの剣。抜き放つなり、宗介が絶句した。刃が青白い光を帯びている。「……うそだろ。この攻撃力、バグってないか?」
「さっそく、当たりだな」陸が笑った。まだ、入り口だというのに。
第二層は、水没した回廊だった。
黒い水が、通路を胸の高さまで満たしている。底が見えず、どこに段差があるかもわからない。
「これは……歩いて渡るのは、危ないな」
陸が思案していると、のっそりと、グランが前へ出た。家一軒分の巨体なら、この程度の水位、どうということはない。グランは、その体で水を掻き分けながら、ずんずんと先を進んでいく。まるで、生きた橋だった。
「グラン、頼めるか。……みんな、グランの背に乗ろう」
一同は、グランの広い背によじ登った。臆病な巨獣は、大事な仲間を落とさぬよう、いつになく慎重に、一歩ずつ水底を踏みしめていく。ジオが道の先を蔦で探り、危ない深みを、あらかじめ教えてくれた。
そのときだった。頭上の暗がりから、羽音を響かせて、こうもりのような魔物が群れをなして降ってくる。
「上、来るよ!」ハルが叫んだ。両手を広げると、水面に落ちた影までもが、彼女の支配下に置かれる。魔物たちの居場所が、影を通して、手に取るようにわかった。「柚希、右から三体、左に二体!」
「わかった!」
グランの背という、高くて安定した足場から。柚希の矢が、迷わず魔物を撃ち落としていく。ハルが影で位置を教え、柚希が撃つ。息の合った連携だった。
「ハルの目と、柚希の腕。……最強コンビだな」
「でしょ?」ハルが、得意げに笑った。
水の引いた岩棚に、宝箱がひとつ、ぽつんと置かれていた。今度は大和が飛びつく。なかから現れた古い大盾は、手にした瞬間、竜の紋様がぶわりと浮かび上がった。「これ、持ってるだけで防御が跳ね上がるぞ。すげえ!」
「タンクの大和に、ぴったりだな」
「だろ? こいつで、みんなを守るぞ」大和が、盾を叩いて頼もしく笑った。
第三層は、闇と幻の間だった。
一歩進むごとに、風景がぐにゃりと歪む。ありもしない壁が現れ、あるはずの床が消える。幻術の階層だった。
「気をつけて。……ここのは、目で見たものが、あてにならない」
シィラが、鋭く言った。だが、幻を見破ることにかけて、この一行に右に出る者はいない。
陸の肩で、小夜が、ふわりと五本の尾を揺らした。金色の目が、すっと細まる。その瞳が捉えたとたん、まやかしの壁が、霧のように晴れていった。ノクスの眷属たる小夜にとって、闇も幻も庭のようなものだった。
さらに、ハルが両手を広げると、階層じゅうの影が彼女の支配下に置かれる――《影天蓋》。影に潜んで襲おうとしていた魔物が、いっせいに炙り出された。すかさず、静の魔法が、それを的確に撃ち抜いていく。
「ハル、そっちに三体」
「はいはい、っと。……静、まかせた!」
無言のまま、静の指先が閃く。無駄のない連携だった。
幻が晴れて現れた小部屋にも、宝箱がひとつ。今度は雪乃が手を伸ばした。澄んだ水晶をあしらった、白い杖。握ると、雪乃の周囲に清らかな光が満ちる。「回復魔法の効きが、段違いだわ。これで、もっとみんなを守ってあげられる」
「頼りにしてるよ、雪乃」
第四層は、灼熱と毒の間だった。
壁のあちこちから紫色の毒の霧が噴き出し、足元には、どろりとした瘴気がわだかまっている。触れれば、たちまち体を蝕まれそうだった。
「毒か。……なら、二人がかりだな」
フェニクスが、頭上で羽ばたいた。その炎が、噴き出す毒の霧を片端から焼き払っていく。毒も瘴気も、清らかな炎の前ではひとたまりもなかった。
同時に、ユニコーンが額の角から、やわらかな光を放つ。《浄化の光》。その光が届く範囲では、どんな毒も瘴気もいっさい効力を失った。みんなが、安心して足を進められる。
「攻めと、守り。ばっちりだな」陸は、感心して呟いた。
そうして一行は、ついに――迷宮の最深部へとたどり着いた。
そこは、円形の、巨大な広間だった。中央に朽ちかけた祭壇があり、その奥には、いくつもの古い宝箱がうずたかく積まれている。里が封じた、宝の数々だ。
だが、それを守るように。祭壇の前には、一体の巨大な石像が、鎮座していた。
一同が足を踏み入れた瞬間。その石像のうつろな眼窩に、ぼう、と青い光が灯った。
ぎ、ぎ、ぎ……と軋みながら、それが立ち上がる。全身に、古いエルフの文字を刻んだ、石の巨人。迷宮の、最後の番人だった。
「来るぞ! みんな、構えて!」
宗介の号令で、全員が散開する。番人が、その巨大な腕を、ぶんと振り下ろした。すさまじい風圧。地面が、大きくえぐれる。
その巨体が、一瞬、びくりと怯んだように見えた。広間の隅に、ただ静かに立つ、ひとりの老騎士。ガロードだった。剣は、抜いていない。抜くまでもない。そこにいるだけで、将としての凄まじい覇気が、あたりに満ちている。石の番人でさえ、その気配に、本能的な畏れを覚えるらしい。
「無理はするなよ、若いの」ガロードは、腕を組んだまま静かに言った。「俺は、ここで見ておる。……いざとなれば、主の盾になるだけだ」
その言葉が、不思議と、みんなを落ち着かせた。
「硬い……! それに、速い!」大和が、盾で衝撃を受け止めた。「みんな、俺の後ろに! 《竜帝の盾》!」
大和の竜鱗の護りが、光の膜となって、味方全体を包んだ。番人の一撃が、その膜に阻まれ、勢いを削がれる。
「サンダーウルフ!」
陸が呼ぶより先に、その雷狼は、駆け出していた。番人の巨体の周囲を、雷速で駆けめぐる。触れた箇所から麻痺の痺れが走り、石の巨人の動きが、目に見えて鈍っていった。
そこへ、モフが、のっそりと前へ出る。攻撃はしない。ただ、番人の一撃から仲間を庇うように、その大きな体で壁になる。
「今だ、宗介!」
「おう! ――《断空》!」
宗介の斬撃が、間合いの外から番人の腕を、空間ごと薙いだ。硬い石の腕に、深い亀裂が走る。だが、番人は止まらない。その体から、青い鎖のような光が伸び、宗介の足を搦めとろうとした。
「宗介、動きを!」
「わかってる。――《斬理》!」
宗介の刃が、その光の鎖を、すぱりと断ち切った。実体のないまやかしの拘束さえも、いまの宗介の剣は斬り離す。
「柚希、あの核だ!」シィラが、番人の胸元で明滅する青い光を指した。
「見えてる。――《標の矢》!」
柚希の矢が、その核に突き立った。矢は刺さっても、大したダメージは与えない。だが、その一射で番人の弱点が光の印となって、全員の視界に共有される。
「そこか。……皆、あそこを狙え」
シィラが、両手を掲げた。次の瞬間、炎、氷、雷、風――ありとあらゆる属性の魔法が渦を巻いて、番人へと殺到する。取り戻した全属性を、老術師は、いまや自在に操っていた。
雪乃の聖域が味方を守り、ハルの影が番人の足を縫い、みんなの力がその一点へと集中していく。
だが、番人は、倒れなかった。ぼろぼろになりながらも、なお宝を守ろうと、立ちつづける。
「……なんか、変だ」
その必死な姿を見て、陸は、ふと動きを止めた。そして《幻視》で、その番人の奥をそっとのぞき込む。
そこにあったのは、敵意ではなかった。
「そうか。……こいつ、もう、終わってるんだ」
「終わってる?」宗介が、剣を構えたまま、訊き返す。
「里を守れって、命令されて。何百年も、たった一人で、この宝を守りつづけてきたんだ。……里が世界から隠れて、誰も来なくなっても。ずっと、ずっと」陸は、静かに言った。「もう、里は助かった。守る役目は、とっくに終わってる。なのに、こいつは、止まり方がわからないんだ」
かつての古戦場で見た、あの騎士たちと、同じだった。役目に縛られ、終われずにいる者。
陸は、みんなに手で合図した。攻撃を、やめてくれ、と。それから、丸腰のまま、ぼろぼろの番人の前へ進み出た。
「陸、危ない!」柚希が叫ぶ。
だが、陸は止まらない。番人の、うつろな眼窩を、まっすぐに見上げた。そして《心話》で、その古い魂に語りかける。
もう、いいんだ。よく、守ってくれたな。里は、ちゃんと、還ってきた。お前のおかげだ。……もう、休んでいい。
番人の、青い光が、ゆらりと揺れた。振り上げていた腕が、力なく下ろされる。
長い、長い沈黙のあと。石の巨人は、ゆっくりと、膝をついた。その全身に刻まれた古い文字が、やわらかな光を放ち――やがて安らかに、崩れて土へと還っていく。役目を終えた者の、静かな終わりだった。
あとには、守られていた宝箱の山だけが、残された。
「……終わったな」宗介が、剣を鞘に納めた。
広間に、ほっとした空気が流れる。誰も、勝ち誇ってはいなかった。ただ、長く働きつづけた者を静かに見送るような、そんな沈黙だった。
「さあて」ハルが、ぱんと手を打った。「お楽しみの、時間だよ!」
番人が守っていた宝箱の山を開けると、なかから現れたのは、さらに目を疑うような品々だった。道中の宝が、ほんの小手調べだったと思えるほどの。
「うわ、なにこれ!」ハルが、薄い外套を広げた。「“あらゆる状態異常を無効化”……こんなの、見たことないよ」
静が拾った腕輪も、規格外の性能を秘めた、伝説級の一品だった。エルフたちが、何百年も封じてきただけのことはある。やはり、いちばんの宝は、ボスの奥に眠っていた。
「柚希、これ、お前のだ」陸は、一張りの美しい弓を柚希に渡した。「“射手の眼”っていう、弓らしい。狙った的を、絶対に外さないんだと」
「えっ、いいの? ……うわ、すご。軽い」柚希が、うっとりと弦を弾いた。
みんなが、思い思いの戦利品に、目を輝かせている。そのなかで、陸だけは、非戦闘のテイマーだ。武器も防具も、あまり縁がない。
「陸くんの、ぶんは?」
「俺は、いいよ。……あ」
宝箱の隅に、ひとつだけ、古い笛が転がっていた。手に取ると、頭のなかに、説明が浮かぶ。“調べの笛。吹けば、その音が、あらゆる獣の心をやわらかくほぐす”。
「……へえ」陸は、笑った。「なんか、俺に、ぴったりだな」
武器でも、防具でもない。ただ、生き物の心に寄り添うための、道具。それが、迷宮の宝のなかから、まるで陸を選ぶようにそこにあった。
「よし。じゃあ、そろそろ帰るか」陸は、みんなを見回した。「エレノアに、報告しないとな。……ちゃんと、番人を、送ってやれたって」
疲れた、けれど満ち足りた顔で、一行は迷宮をあとにした。久しぶりの、みんなでの大冒険。その手には、伝説の宝と――ひとつ、静かな見送りの記憶を抱えて。
その頃、開発室では。
「三浦さん、大変です!」こはるの声が、裏返った。「エルフの里の地下に、封印されてた高難度ダンジョンが、丸ごと解放されました! しかも、あの子たち、最深部まで、一気に踏破して……!」
三浦が、モニターに駆け寄る。そこには、何層にもわたる巨大な地下迷宮の全貌と、そこから排出された膨大なアイテムのログが表示されていた。
「うわ、なんだこのドロップ……」佐々木が、目をむいた。「軒並み、実装最高レアじゃないか。運営が、封印してたやつまで」
「番人の処理は?」三浦が訊く。
「それが……」こはるが、口ごもった。「戦闘での撃破じゃ、ないんです。ログを見ると……“対話イベント”で、鎮静化してます。あの番人、内部設定だと“役目に囚われた守り手”ってフラグが立ってて。それを……解除、しちゃってます」
三浦は、しばらく、モニターを見つめていた。それから、ふっと、肩の力を抜いて笑った。
「……あの子は、宝より先に、番人のほうを救っちまうんだな」
アルテのログが流れた。
アルテのログ:
「里の奥深く、閉ざされた迷宮があった。
森が沈み、水が満ち、闇と炎が道を阻む。
けれど、彼らは、ひとつずつ越えていった。
それぞれの力を、持ち寄って。
最果てには、古い番人が、待っていた。
役目に縛られ、終われずにいた、石の巨人。
男は、剣ではなく、言葉を差し出した。
――もう、休んでいい、と。
宝は、たしかに、まばゆかった。
けれど、いちばんの宝は、きっと。
長く働いた者を、送り出す、
そのあたたかな、まなざしだった。」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
久しぶりに、みんなで、がっつりダンジョン探索の回でした! エルフの里が世界に還ったことで、その地下に眠っていた、古い大迷宮が解放される。神獣も、テイムした仲間も、ガロードもシィラも、大勢を引き連れての大冒険です。もっとも、水がないと動けないリヴァイアと、空を駆けるアルシオンは、地下では力を出せないので、今回はお留守番。連れていくのは、その場所で活躍できる子だけ。こういう「適材適所」も、この物語で大事にしたいところです。
森、水、闇、炎。各層で、それぞれの神獣が、その持ち味を発揮してくれました。書いていて、こういう「みんなの見せ場が、順番に回ってくる」展開は、やっぱり楽しいですね。道中の宝箱からは、ひとつずつ、レアな装備が。そして、番人を越えた奥では、とびきりの品々が、どっさり。大和たちの、はしゃぎっぷりを、お楽しみいただけたら嬉しいです。
そして、最深部の番人。強大な敵ではありましたが、その正体は、役目に縛られ、終われずにいた、古い守り手でした。陸は、やっぱり、最後には剣ではなく、言葉を選びます。宝を得ることよりも、長く働いた者を、そっと送り出すこと。それが、この物語の、いちばんの戦利品なのかもしれません。
にぎやかな冒険と、静かな見送り。その両方を、味わっていただけたら幸いです。続きも、のんびり見守っていただけたら嬉しいです。
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