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『戦闘力ゼロのテイマー、なぜか神様に気に入られながら気づいたらギルド最強になってた』~ハズレ職だと笑われた俺、神獣を仲間にしてしまった件~  作者: 赤ん坊


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第31話「準決勝、5秒で決まった」

休憩が終わった。


「Stray Wolves、入場してください」


アナウンスが響いた。


フィールドに入った。


観客席が、一回戦よりも多かった。


一回戦の噂が広まったらしい。


「あのテイマーのギルドか」


「一回戦で2分で終わらせたやつだろ」


「今度は平均Lv.22の相手だぞ。さすがに厳しいんじゃないか」


「でも、あのテイマーって何もしていないのに勝つんだろ」


「何もしないで勝てるわけがない。まぐれだろ」


陸はそのざわめきを聞いていなかった。


対戦相手「剣王の盟約」を見ていた。


剣士が三人。体格がいい。装備が重い。動きがいい。


一回戦の相手とは明らかに違う。


「ハル」と陸は言った。


「何?」


「前衛の影を経由する作戦、無理そうならすぐ言え。別の手を使う」


「わかった」


「失敗しても取り返せる」


「……うん」



「第二試合、開始」


アナウンスが響いた。


相手が動いた。


一回戦の相手より速い。前衛三人が扇形に広がりながら突進してきた。


「大和、正面を受けてくれ」


「行く」と大和が《竜騎士の覚醒》を発動した。


前衛の中央一人と激突した。


衝撃が走った。大和が一歩後退した。


「硬い」と大和が言った。


「持ちこたえてくれ」


宗介が右に回り込もうとした。


右の前衛剣士がそれを読んでいた。宗介の動きに合わせて剣を構えた。


「読まれている」と宗介が言った。


「下がれ。無理するな」


宗介が後退した。


左の前衛剣士がハルに向かった。


ハルが《気配遮断》Lv.2で消えた。


前衛が止まった。見えなくなったハルを探している。


「今だ、ハル」と陸は言った。


「行く」


ハルが、左の前衛剣士の影に現れた。


影を踏んだ。


《影縫い》が発動した。


左の前衛が固まった。


だが、背後の回復士が《聖域》を展開していた。


固まった前衛に回復が入った。状態異常が解除された。


「解除された」とハルが言った。


「後衛が《浄化》持ちだ」と陸は言った。幻視で後衛を確認した。「前衛を経由する前に、後衛を先に止める必要がある」


「でも、前衛を突破できない」


「わかった。別の手を使う」


陸は状況を整理した。


前衛が厚い。後衛が《浄化》で状態異常を解除する。小夜の恐怖デバフも解除される可能性がある。


でも、回復士が《浄化》を使った。


つまり、今この瞬間は《浄化》のクールタイムが発生している。


「雪乃、《浄化》のクールタイムは何秒だ」


「スキルによって違うけど、大体30秒から1分」


「今使ったばかりだ。次に使えるまで、少なくとも30秒はある」


「……そういうことか」


「その30秒の間に決める。《神の加護》の準備をしてくれ」


「わかった」


その瞬間、陸の肩のフェニクスが動いた。


命令していなかった。


何も言っていなかった。


でもフェニクスは飛んだ。


後衛の回復士に向かって、一直線に。


手のひらサイズの体が、回復士の顔の前で急に止まった。


翼を広げた。


炎が揺れた。


回復士が一瞬、後ずさりした。


詠唱が止まった。


「フェニクスが」とハルが言った。「何もしていないのに飛んだ」


「そうだ」と陸は言った。


観客席からざわめきが聞こえた。


「今の小さい鳥、命令されていなかったぞ」


「使役者が何も言っていないのに動いた」


「あんな小さい体で、後衛を怯ませた」


フェニクスが回復士の目の前で、くしゃみをした。


小さな炎が飛んだ。


回復士が、また後ずさりした。


その隙に、小夜がフィールドに降りていた。


小夜は、後衛の回復士を見た。


目が細くなった。


恐怖デバフが走った。


回復士が固まった。魔法使いも固まった。


「今だ、雪乃」


「《神の加護》」


光が広がった。


全員を包む白い膜が瞬時に展開された。


無敵状態。5秒。


「5秒で終わらせる。全員、今だ」


宗介が踏み込んだ。《神域斬》。音が消えた。前衛右が吹き飛んだ。


大和が中央の前衛を押し込んだ。《竜騎士の覚醒》の体当たりで弾き出した。


ハルが後衛の魔法使いの影を踏んだ。《影縫い》。固まった魔法使いをそのまま叩いて戦線離脱させた。


小夜の恐怖デバフで固まっている回復士に、宗介が引き返した。


《神速斬》を放った。


回復士が戦線離脱した。


「前衛左が残っている」


「見えてる」とハルが言った。


影の中から現れて、前衛左の背後に回り込んだ。一撃で仕留めた。


5秒が経った。


フィールドに、相手ギルドの誰も立っていなかった。



第二試合終了

Stray Wolves 5対0 剣王の盟約

所要時間:4分38秒



観客席が、また静かになった。


今度は、一回戦より長い沈黙だった。


「……また勝った」


「4分くらいかかったが」


「でも、途中で苦戦していたのに」


「あの5秒は何だ。全員が無敵になったのか」


「テイマーが合図を出したとき、小さい子狐が相手の後衛の前に立って、そこで動きが止まった」


「あの子狐、何なんだ。使役魔物であんな能力があるのか」


「テイマーはまた、ほとんど動いていなかった」


「でも、あの合図のタイミングは何だ。相手の回復士が《浄化》を使ったタイミングを読んでいた」


「……あのテイマー、何もしていないんじゃなくて、全部見ていたのか」


宗介が戻ってきた。息が少し上がっていた。


「ぎりぎりだったな」


「そうだ」と陸は言った。


「途中で詰まった。《浄化》で状態異常を消されたとき、どうするかと思った」


「クールタイムを待った」


「30秒の間に決める、か」


「そうだ」


「……お前、本当に全部見ていたんだな」


「見るのが俺の仕事だ」


宗介は少し黙った。


「いい試合だった」


「そうか」


「楽しかった」


それは珍しい言葉だった。


宗介が「楽しかった」と言った。


フィールドの外で、静とガロードが見ていた。


静が、陸と目が合った。


今度は、少し大きく頷いた。


ガロードは腕を組んで、フィールドを見ていた。


その目が、少し細くなっていた。



「決勝の対戦相手が発表されます」


アナウンスが響いた。


フィールドの全スクリーンに、対戦表が表示された。



第一回エデルハイム・ギルドバトル大会

決勝


Stray Wolves vs 漆黒の絶対者



「来た」と宗介が言った。


「そうだ」と陸は言った。


「黒崎零と当たる」


「そうだ」


観客席からざわめきが起きた。


「漆黒の絶対者が来た」


「Bブロックをずっと圧倒していたギルドだ」


「リーダーの黒崎零、Lv.35だぞ」


「あのテイマーのギルドと当たるのか」


「どっちが勝つんだ」


陸はスクリーンを見ていた。


「漆黒の絶対者」という文字が、静かに光っていた。


フェニクスが、陸の肩で動いた。


くしゃみをした。


炎が、いつもより少し大きく飛んだ。


「そうか」と陸は言った。「お前も、楽しみなのか」




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


準決勝も勝ちました。でも今回は苦戦しました。《浄化》に対して、陸がクールタイムを読んで《神の加護》の5秒で一気に決めました。そして決勝の相手は、黒崎零の漆黒の絶対者です。命令する男と命令しない男が、ついに正面からぶつかります。


続きが気になると思っていただけたら、ページ下の星マークとブックマークで応援していただけると、明日も書き続けられます。感想も一言でも届くと、とても励みになります。

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