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『戦闘力ゼロのテイマー、なぜか神様に気に入られながら気づいたらギルド最強になってた』~ハズレ職だと笑われた俺、神獣を仲間にしてしまった件~  作者: akaike


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第114話「“神獣の主”爆誕」

それから、しばらく、屋台をひやかして過ごすうちに。


実況の声が、会場じゅうに、高らかに響きわたった。いよいよ、ギルド戦の予選一回戦が、始まるという。


「お、呼ばれてるぞ」宗介が、剣を、担ぎなおした。「そろそろ、行くか。俺たちの試合だ」


Stray Wolves の一同が、闘技場の選手入場口へと向かう。陸も、当然のように、その列に加わろうとした。


だが。


「あの、お客さま」入場口の係員が、あわてて陸を呼びとめた。「たいへん失礼ですが……お客さまは、こちらでは、ございません」


「え?」陸が、きょとんとする。


「お客さまの登録は、その……“別のギルド”に、なっておりまして」


係員が、申し訳なさそうに、手もとの名簿を陸に見せた。宗介たちが、そろって、そこをのぞきこむ。


Stray Wolves の欄には、宗介、大和、雪乃、静、ハル、そして柚希の名が、きちんと並んでいた。


だが、陸の名前だけが、そこにはなかった。


かわりに、その少し下に。ぽつんと、たったひとつの別のギルドが、登録されていた。所属は、たったひとり。リーダーにして、唯一のメンバー、桐島陸。


そして、そのギルドの名前は――。


「……“神獣の主”?」陸が、その名前を、たどたどしく読みあげた。「なんだ、これ」


一瞬の、沈黙のあと。


宗介たちが、いっせいに、噴きだした。


「あっはっはっ! なんだよ、その、たいそうな名前!」大和が、腹をかかえて、笑う。


「“神獣の主”だって……」ハルも、目尻に、涙をためている。「運営、ネーミングセンス、やばすぎでしょ」


「わ、笑うなよ」陸が、耳を、赤くする。「俺が、つけたんじゃ、ないぞ。勝手に、こうなってたんだ」


どうやら、あの受付騒動の結果、陸は、たったひとりでひとつのギルドとして、登録されてしまったらしい。しかも、その名前は、運営が勝手につけた、なんとも大仰なものだった。


「まあ、間違ってはないけどな」宗介が、笑いながら、陸のうしろを あごでしめした。


そこには、当然のように、六体の神獣が ずらりと控えている。まさしく、“神獣の主”。名は体を、あらわしていた。


「……つまり、俺は、みんなとは別で、戦うのか」


「そういうことに、なるな」宗介が、肩を、すくめた。「まあ、お前なら、心配いらないだろ。……というか、心配なのは、お前の対戦相手のほうだ」


「ひどい言われようだな」


陸が、苦笑する。


すぐそばで、係員が、まだ もじもじとしていた。


「あの、それで、ですね……“神獣の主”さまの対戦相手、なのですが」係員が、言いにくそうに、切りだす。「その……まだ、正式には、決まっておりませんで……」


「あー、はいはい。調整中、ってやつだろ」ハルが、けらけらと、笑った。「相手が、見つからないんだよね。かわいそうに」


「い、いえ、その」係員が、うろたえる。「一応、当日までには、なんとか……」


「まあ、いいよ。急いでないから」陸は、あっさりと、うなずいた。「決まったら、教えてくれ。それまで、みんなの試合、応援してるから」


その、あまりにのんびりした態度に、係員は、毒気を抜かれたような顔になった。


こうして Stray Wolves と“神獣の主”は、それぞれ別の入場口から、闘技場へと向かうことになった。


「じゃあ、陸。俺たちは、行ってくる」宗介が、片手を、あげる。「観客席で、見てろよ。うちらの、いいところ」


「おう。がんばれよ」陸が、手を、振りかえす。


宗介たちが、Stray Wolves として、入場口の向こうへと消えていく。その背中を、陸は、なんだか少しだけ、うらやましそうに見送っていた。ほんとうは、みんなといっしょに、出たかったのだ。


「……ま、しょうがないか」


陸は、ぽつりと、つぶやいて。それから、肩の小夜を、そっと撫でた。小夜が、なぐさめるように、頬をすり寄せてくる。


ひとりぼっちの、大所帯のギルド。“神獣の主”の、はじめての、対抗戦。それは、まだ 対戦相手さえ決まっていなかった。


会場の熱気は、いよいよ その頂へとのぼりつめていく。Stray Wolves の初戦が、まさに始まろうとしていた。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


いよいよ、試合パートの入り口です。今回も同じお祭りの日の続き(ログアウトなし)で、まずはギルド戦の入場から。


そして――入場しようとした陸だけ、Stray Wolves の名簿に、名前がない。かわりに登録されていたのは、たったひとりの別ギルド。その名も、「神獣のしんじゅうのあるじ」。……運営が勝手につけた、なんとも大仰な名前に、宗介たちは大爆笑、陸は耳まで真っ赤。でも、うしろに神獣が六体ずらり。名は体をあらわす、というやつですね。


ギルド戦は、宗介たちと柚希が Stray Wolves で、陸だけは“神獣の主”として別枠で。ほんとうはみんなと一緒に出たかった陸が、ちょっとだけ寂しそうに背中を見送る――そんな一幕も。対戦相手は、あいかわらず「調整中」。


次回は、いよいよ Stray Wolves の初戦から。ゆっくり、一試合ずつ描いていきます。星マークとブックマークで応援していただけると、とても励みになります。

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