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『戦闘力ゼロのテイマー、なぜか神様に気に入られながら気づいたらギルド最強になってた』~ハズレ職だと笑われた俺、神獣を仲間にしてしまった件~  作者: akaike


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第113話「組み合わせ、発表」

組み合わせの発表は、闘技場の中央にある、いちばん大きな掲示板で行われるらしかった。


みんなで、ぞろぞろと、そちらへ向かう。近づくにつれ、人だかりは、どんどん厚くなっていった。誰もが、自分の初戦の相手を、いまかいまかと待ちわびている。会場の空気が、屋台のほのぼのとは また少しちがう、ぴりっとしたものに変わっていくのがわかった。


「お、始まるみたいだぞ」宗介が、背伸びをして、掲示板をのぞきこむ。


やがて、実況の高らかな声とともに、掲示板に、光の文字が つぎつぎと浮かびあがっていった。


まずは、ギルド対抗の、組み合わせだった。四つの国のそれぞれのギルドが、予選の初戦で、どことぶつかるのか。名だたるギルドの名前が、ずらりと、並んでいく。


「えーと、うちは、と……」宗介が、目を走らせる。「あった。Stray Wolves」


その名前の対戦相手の欄を見て、宗介は、ふむ、とうなずいた。


「相手は、同じノクターン連邦の、中堅ギルドだな。“月夜の梟”ってところだ」宗介が、腕を組む。「聞いたことはないが……まあ、初戦だし、ちょうどいい肩慣らしだろ」


「肩慣らし、で済むといいけどね」ハルが、にやりと笑う。「うちには、規格外の一人ギルドが、くっついてるから」


「その言い方、やめろって」


みんなが、笑った。


掲示板の光は、まだ、流れつづけている。今度は、個人ランキングの、予選の割り振りだった。個人戦は、ギルド戦とは別に、たくさんの小さな試合を勝ち抜いて、ポイントを積んでいくらしい。


「あたしは、どこかな……」柚希が、真剣な顔で、自分の名前を探す。「あ、あった。えっと、初戦は……」


柚希の目が、その相手の名前を見て、すっと細くなった。


「へえ。いきなり、骨のある相手だ」柚希が、ふっと、口の端をあげる。「これは、腕が鳴るなあ」


「柚希、いい顔してるな」陸が、笑う。


「でしょ?」柚希は、弓を、とんと肩に担いだ。「あたし、個人でのぼりつめるって、決めてるんだから」


そして、みんなの視線が、自然と陸のほうへ集まった。


「で、陸は?」大和が、たずねる。「例の“一人でギルド”枠、どうなってんだ?」


そうだった。陸は、あの受付でのひと悶着のすえ、一人でひとつのギルドとして、扱われることになったのだ。ギルド対抗の欄を、みんなで、探してみる。


あった。だが。


「……なんだ、これ」宗介が、目を、ぱちくりさせた。


陸の名前――正確には、陸を“一人ギルド”として登録した、その枠の対戦相手の欄が。


空白だった。


正確には、「調整中」と、小さく、記されている。まるで、運営がいまだに、頭を悩ませているかのように。


「対戦相手、決まってないのか?」陸が、首をかしげる。


「決まってない、っていうか」ハルが、こらえきれずに、笑いだす。「たぶん、陸の相手をどうするか、まだ もめてるんだよ。だって、神獣七体に、ガロードにシィラだよ? 生半可なギルドぶつけたら、瞬殺だもん」


「そんな、大げさな」


「大げさじゃないんだって」


その、まさに同じころ。遠く離れた開発室では。


「三浦さーん、また、あの子の話です」こはるが、うんざりした顔で、モニターをさした。「例の一人ギルド、対戦相手の選定が、まったく進まないんです。どのギルドをあてても、勝敗のシミュレーションが、ぜんぶ一方的で……“試合として成立しない”って、判定が出ちゃって」


三浦は、こめかみを、押さえた。だが、その口もとは、やっぱり笑っていた。


「……そりゃ、そうだろうな」三浦は、ため息をついた。「まあ、いい。予選のうちは、適当な相手をあてておけ。どうせ、あの子は、勝ち上がる。……問題は、本選だ。あそこで、あの子を、どう転がすか。それこそが、腕の見せどころ、ってやつだな」


三浦の目は、なんだかんだ、いちばんわくわくしているようだった。


会場では、組み合わせの発表が、ひととおり終わったところだった。ギルド戦、個人戦。それぞれの初戦の相手が、決まった。あとは、その日を、待つばかりだ。


「よし」宗介が、ぐっと、拳を握った。「相手も決まったし、あとは、やるだけだな」


「まあ、そうあわてるなよ」陸が、のんびりと、言う。「初戦は、まだ先だろ? それまで、もうちょっと、お祭りを楽しもうぜ」


「お前は、ほんとに、ぶれないなあ」


宗介が、あきれたように、けれど うれしそうに笑った。組み合わせが決まっても、陸の歩調は、あいかわらずゆっくりだった。だが、それが、この男のいいところでもあった。


にぎやかな会場を、陸たちは、また のんびりと歩きはじめる。予選の初戦は、もうすぐ。それでも、この楽しいお祭りは、まだ しばらく続いていくのだった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回も同じお祭りの日の続き。ログアウトは挟まず、いよいよ組み合わせの発表を見にいきます。まだ試合はしません。


ギルド戦の初戦の相手は、同じ国の中堅ギルド。宗介は「肩慣らし」と余裕。柚希は個人戦で、いきなり骨のある相手を引いて、いい顔をしています。


そして、問題の陸。“一人でギルド”枠の対戦相手の欄は――「調整中」。神獣七体に、ガロードとシィラ。どのギルドをぶつけても一方的で、シミュレーションが「試合として成立しない」と弾いてしまう。開発室では、こはるがうんざり、三浦は苦笑いしつつ、なんだかんだ、いちばんわくわくしている様子です。


当の陸は、相手が決まろうが決まるまいが、「まだ先だろ? もうちょっとお祭りを楽しもうぜ」と、あいかわらずのゆっくりぶり。次回も、この空気のまま、のんびり進めていきます。星マークとブックマークで応援していただけると、とても励みになります。

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