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3-08 一穴Ⅲ
先週と今週、平日全てを採血スタッフとして働いた。
金曜日、明日が休みとなる労働者であれば気もそぞろになる。
美晴も気分は上々だった。
休みだからではない。
明日、集まった検体で検査を始められるからだった。
「次の人」
少年が一歩前に出て、二歩目で動きが止まる。
瞬きする間、ほんの少しの挙動。
その後は、普通に医師の前まで来て椅子に座った。
「四条空翔さんで間違いありませんか?」
美晴は受け取ったカードと、受診者一覧を照合する。
名前を読み上げ、本人確認を行った。
「……はい」
「では、腕を出してください。アルコールでかぶれたりといった症状は……」
美晴は問診をしながら、空翔の腕から顔へ視線を移す。
「顔色が良くないわね。具合悪いところはない?」
「大丈夫です」
(本人も大丈夫って言ってるし)
美晴は空翔の腕に駆血帯を巻いた。
今までより急くように採血を行う。
「はい、終わりましたよ」
美晴は去りゆく空翔を見る。
「次の人」
すぐに、気持ちが空翔から離れた。




