3-04 焦燥
思念体外力場研究所の予定地には、既に立派な建造物が出来上がっていた。
外観はほぼ完成し、内装工事を行う業者の出入りがあった。
来年四月に、研究所に所属することが決定している研究員二人が工事の立ち合いに来ていた。
「研究所の開始メンバーは、医学部出身者は十名だけ?」
「所長はもっと削りたかったみたいだぞ」
「理学部や工学部メンバーは、十倍の要員を集めて格差がひどいな」
「仕方ないだろ。十名の顔ぶれ見たら……」
「そうだな、真壁教授の元教え子というだけで何の実力もない連中だしな」
「十名の枠も奪い合いがあったって、噂だ」
「それで、名前ばっかりのお歴々なわけだ。大将ばかりで研究が進むとでも思っているのかね」
「まあ、半分は若手が入ってる。これも一人が一人の子飼いを引き連れてきたとしか見えない」
「一般希望者の採用があったろ」
「それはまだ先だな。少なくとも四月は、今決まってるメンバーでスタートする……」
*
なぜ、私は研究に参加させてもらえない?
なぜ、あいつは研究所の所属が決まった?
あいつは三好教授についていただけで選ばれた。
実績も実力も私のほうが上。
あいつが選ばれて、私が選ばれないなんてことあっちゃいけない。
私の何が足りない?
研究成果が足りない?
なら成果を出す。
研究はもう少しのところまで来ているのだから。
四月までに出せばいい。
そうすれば、研究に参加できる。
あいつに負けたことにはならない。
でも、今の環境でどうやって研究を進める?
一人ひとりに検体の提供をお願いして回っていては到底、四月に間に合わない。
*
一人ずつ集めるから遅くなる。
もっと大量の検体を一度に得る方法はないか。
美晴がその方法を考え始める。
待てばいい。
四月に間に合わなくても道はあった。
だが、美晴は待てなかった。




