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そんじょそこらにいない普通の人  作者: 城日ひろし
第2章

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【章間】ありがとうのその後で

「皐月ー、静流ー、お待たせ」

赭莉が皐月達のところまで駆け足でやってくる。


「えっ、空翔」

「やあ、赭莉」


赭莉は空翔がいることに驚く。

しかし、驚かした当の本人はのんきに返事した。


「なんで空翔がいるの?」

「私が呼んだの、皐月に会わせたかったから」


静流が横から会話に参加した。


「じゃ、あの事、皐月に話したの?」

「僕は、特に話してない」


赭莉の問いに空翔が答えた。

続いて、皐月が赭莉に質問する。


「赭莉は知ってたの?」

「私も知ったのはつい最近」

「そう、私はついさっきわかった」

「わかった? どうして?」


「それは僕が力を見せたからかな」

「そう、何もないところから、フッと四条君が現れたの」

「それ、ホラーだから」


赭莉の言葉を最後に会話が止まる。

祭りばやしが耳に入ってきた。


「祭り賑やかそうだね。三人で楽しんでおいでよ」


「えっ」

皐月が驚きの声をあげる。


「わかった……皐月、赭莉、行こう」

「どうして?」


静流は、皐月と赭莉の背中を押して歩き出す。

皐月は空翔を見ながら、静流に質問した。


「事情は、今度ゆっくり話すから」


空翔は三人の後ろ姿を見送った。


*


境内を並んで歩く三人。

その中で皐月の表情は少し暗かった。


「静流ー」


向かいから歩いてくる二人の女性。

静流を呼んだのは真理亜だった。

二人は真っすぐ静流の元までやって来た。


「真理亜さん」

「偶然ね」

「あっ、こっちが友人の皐月と赭莉です。そしてこちらが真理亜さん。空翔のお姉さん」

「えっ、二人とも空翔のこと知ってるの? 嬉しい! 静流が紹介してくれたのありがとう」


真理亜は感激して静流に抱き着いた。


「四条君のお姉さん……」

「沢渡(さわたり)先輩!」


皐月のつぶやきは、赭莉の声に押されて誰の耳にも届かなかった。


「赭莉ちゃんだっけ私のこと知ってるの?」

「はい、有名人だから。去年全国行ったんですよね」

「そう、美樹は運動抜群で、私の親友なの」


静流に抱き着いていた真理亜は、今度は美樹の腕にしがみつく。


「初めまして、沢渡美樹(さわたりみき)です」


美樹は改めて自己紹介をする。


「三人とも空翔のこと知ってるみたいだから、お願いね。仲良くしてあげて。あの子とは幼稚園の頃からの付き合いで、私にとって弟みたいなものだから」


「空翔とはさっき別れたところなんです」


静流が言葉を返す。


「えっ! 空翔、お祭り来てたの? 真理亜知ってた?」

「ううん、知らなかった。知ってたら一人で行かせない。それに浴衣だって……」


「『三人で楽しんでおいで』って言われて別れたんです」

「空翔、人混みの中を歩くのはダメなのよね」


皐月を置いて会話が進んでいく。

皐月は、空翔と別れてから気になっていたことを口にした。


「四条君、寂しくないんでしょうか……」


美樹は皐月に視線を向けて言った。


「皐月ちゃん、暗い顔しないで。空翔はみんなが楽しんだ方が喜ぶから」

「……はい」


皐月に少し笑みが戻った。


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