2-26 夏祭り
あかりが灯った提灯が並んでいる。
りくぞくと、人々が集ってくる。
がやがやとした日常から離れた世界が広がる。
ときおり、子供たちの楽しそうな声が響く。
うつつとは思えない光景が、そこに広がっていた。
祭りが行われる神社の朱色の鳥居をくぐる人波は、笑顔で満ちていた。
「空翔、こっち」
少し離れた場所で待っていた静流のもとへ、空翔が歩いていく。
「似合ってるね」
空翔は静流の青い朝顔柄の浴衣をほめた。
「……そう?」
「ごめん。浴衣とか持ってなくて、普段着で来たけど」
「ううん、全然大丈夫」
空翔は神社に目を向ける。
「想像以上に人が多い」
「こっち」
静流は空翔の手を引いて歩き出す。
神社を大きく迂回して進む。
人気は少しずつ減っていく。
静流が歩みを止めた時、神社の裏手に来ていた。
「へー、神社の裏側ってこんな風になってるんだ」
空翔の緊張感のない言葉がもれる。
「皐月達もここに来てもらう約束になってるから」
「人もいないし、待ち合わせにはいいのかもね」
「本当なら、もっと待ち合わせにいい場所はあるんだけど、今回はね……」
「そういうことか」
「静流ちゃんお待たせ」
皐月が到着した。
「皐月! 赭莉は一緒じゃないの?」
「うん、赭莉は少し遅れるから先に来た」
「そうか、それならそれでもいいか」
「静流ちゃん?」
静流は真剣な顔で皐月を見た。




