2-24 心残り
『私、なんで赭莉の家に上がりこむことになったのか今でもわかんない』
「ほんとごめんね、私が連絡先教えずに走りだしちゃって」
電話の向こうで静流がぼやいている。
皐月はそんな静流に謝った。
『追いかけて行って、赭莉の家にまで行ったのはいいのよ』
「でも、大変だったでしょう」
『それもそうなんだけど、初訪問でいきなりお邪魔しちゃったし』
「静流がいてくれて助かったよ」
『そこなの、なんで二人が話してるところに私がいたのか、今でもわかんない』
「本当、なんでなんだろうね」
皐月は、一緒に泣いてくれた静流を思い出し、小さく笑った。
『それで、今日から夏休みに入ったじゃない。どこかに遊びに行きたいなと思って電話したの』
「いいね。赭莉も誘う?」
『もちろん』
「でも、赭莉の部活もあるから予定を調整しないと」
『うん、そうだね。どこ行きたい? プール? ショッピング? 夏祭り?』
「夏祭り! そうだ、夏祭り何日だっけ?」
皐月はカレンダーに視線を向ける。
『ちょっと、足を伸ばせばいくつかあるよ。一番近い日にちだと来週土日にやってる』
「二日あるんだ、赭莉もどっちかなら行けるんじゃないかな」
皐月はスケジュール帳を取り出し、『夏祭り赭莉に確認♡』と書いた。
『赭莉を誘うんだよね』
「うん、何か都合悪い?」
『いや、私も誘いたい人がいて……でもダメかな』
「どんな人」
『赭莉と皐月両方に関係あるというか、なんというか……』
「えっ、誰?」
静流は、皐月の問いに答えず、話題を変える。
『えーと、皐月は、妖精さんに会えたらどうしたい』
「……お礼が言いたい」
『そうだった。前にも言ってたよね』
「そうなの、前に私が教室で倒れた時、妖精さんがまた現れたの。あの時、心残りだった妖精さんへのお礼が出来るって思ってたんだ」




