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そんじょそこらにいない普通の人  作者: 城日ひろし
第2章

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2-17 まだ、話す勇気がでないよ

ダム、ダム、ダム、ストン。


「ナイシュー」


中学校の体育館で赭莉が綺麗なシュートを決める。

バスケットボール部の練習試合で、赭莉はサブチームのレギュラーを任されていた。

相手チームのボールでゲームがリスタート。

赭莉はディフェンスの体勢をとるため急ぎ戻る。


「赭莉!」


チームメイトの声と同時に背中にボールがぶつかる。

当たったボールはサイドラインを割った。


「高坂、渡辺と交代!」


赭莉に顧問の指示がとんだ。


ベンチに戻った赭莉は、ぜえぜえと息を切らしていた。


「お疲れ様。まだ、本調子までもどってないね」

「……うん」


同じくベンチに座るチームメイトから労いの声をかけられる。

赭莉は息が乱れる中、何とか返事を返した。


間もなく部活も終了し、皆が雑談をしながら帰り支度をはじめる。


「お先に失礼します」


赭莉は急ぎ着替えを終わらせて更衣室から出て行った。


「ふー」


赭莉は早足で校門を抜けると、立ち止まり息を大きくはいた。

周りには赭莉以外誰もいない。


『泣いてもいいよ』

「なんなのよあいつ」


空翔の言葉が頭をよぎり、赭莉の独り言が漏れた。


『でも、そうじゃなかった』

「言われなくても、わかってるわよ」


『忘れちゃいけないことがあったの』

『私は皐月にやっちゃいけないことをしたの』

「あの時はそう言った。言ったけど……まだ、話す勇気がでないよ」


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