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そんじょそこらにいない普通の人  作者: 城日ひろし
第2章

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2-02 ほっとけないⅡ

四条家のリビング。


夕食を終えた後、空翔、真理亜、そして賢人がソファーに座ってくつろいでいた。

唯が、食事の後片付けを終えて、キッチンからリビングへやってくる。


賢人は新聞を読んでいる。

唯は賢人の隣に腰掛けた。

漆黒はソファーの上で丸くなり。

真理亜と空翔が学校での出来事を話している。


「返すときは、いつも手渡しだったけど、今日は空翔が図書室まで本を持ってきたの」


真理亜が今日の出来事を話している。


「ねぼすけ真理亜のせいだからね」

「その話はいいの。そうじゃなくて、学校での空翔の雰囲気が少し変わったって話」


空翔の言葉を流して、真理亜は話を続ける。


「最近、女の子と一緒にいるところも見かけるし」

「静流?」

「そう、その子の名前、静流っていうんだ。後、藤宮さんとも何度か話したのでしょ?」

「図書室の住人と? 話したのは一度だけだけど」

「そうなの? まあいいけど、とにかく空翔が以前と違うってことよ……」


「静流ちゃんって、どんな子なの?」


それまで二人の話を聞いていた唯が、興味を示す。「女の子」という言葉が気になったようだ。


「同じクラスだよ」

「それは聞けばわかるわよ。どんな子なの?」

「どんなって……」


空翔は少し考える。


「漆黒に会いたがってる」

「漆黒に?」

「うん。夏休みまでには会わせてって」

「じゃあ、うちに来てもらえばいいじゃない」


「ふむ」


また、空翔は考える。


「うん、そうだね、そうするよ」


三人が会話をしている横で、新聞をたたむ音がした。


「空翔は変わろうとしてるんだな」


賢人が話に入ってきた。


「僕、これからはもう少し人と関わっていこうと思う」


空翔の言葉に、賢人が口を開く。


「そうか」


それだけ言って、しばらく空翔を見つめる。


「無理するなよ」

「うん」


*


『でも、あなたには関係ないでしょ?』


団らんの後、空翔は自分の部屋でベッドに腰掛けていた。

学校で静流の言った一言が浮かんでくる。


「そうじゃないんだ」


赭莉のことは覚えている。

皐月のことも。

二人が僕のことを知らなくても、僕は二人を忘れていない。


だから、関係ないなんて言えない。


赭莉の感情の色は、はっきりとわかる。

一カ月前から色に変化があったことも。

皐月が倒れたあの日から……


関係ないどころじゃない。

むしろ、原因は僕にある。


このままじゃいけない。

赭莉のことはほっとけない。



「にゃあ」


足元から声がした。


いつの間にか、漆黒が空翔を見上げている。

空翔の顔に笑みが浮かんだ。


「そうだ。静流が会いたがってるよ」


漆黒は大きなあくびをした。

興味があるのやら、ないのやら。


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