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千紫万紅〜終末世界に咲く華乙女〜  作者: 東雲大雅
第三章 春蘭秋菊

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第9話 「最後の警告よ」

 3人はウツノミヤタワーのある、八幡山公園に到着した。


「やっっと着いたわ!面倒だし、さっさと終わらせましょう」


 公園内に入るやいなや、歩調を早め、一直線にウツノミヤタワーへ向かう蘭。


「あっ、あの、アイリスさんを救出するための作戦とかはないんですか?」


「少なくとも昆虫騎士団の者がいるのですよね?無策でいって大丈夫でしょうか?」


「大したことないわよ!要件伝えて素直にアイリスを返せば見逃す。駄々ごねたら、制圧して助ければいいだけよ!」


「そんなに上手くいくでしょうか……?」


「それはアンタ達次第ね。言っとくけど、あたしは手出ししないからね!」


「えぇ?どうしてですか?」


「ベゴニア様の遣いから言われてるの!あたしと菊が手を貸すのは、アンタ達が死にそうになった時だけ!」


「なぜ、そのようなことを……?」


「そんなの知ったことじゃないわ。それともなに?あたしにお守りしてほしいわけ?」


「そういうわけじゃ……」


「承知いたしました。ビオラさん、わたくし達の力を見せつけてやりましょう!」


「ビオラお姉ちゃん……!分かった!蘭さん、見ててくださいね!」


「最初からあたしは見てるだけよ。まぁ、死なない程度に頑張りなさいな」


 そうして、ウツノミヤタワーの正面につく。


 周りには10数人のハネカクシがいた。

 全員が褐色の筋肉と、オレンジ色の髪を持っていた。


「お?なんだぁテメェら?ここが誰の縄張りか分かって来てんのか?あぁ!」


「おいおい、あんまりビビらせんなよ!お嬢ちゃん達が怖くて、固まっちまってるよ」


「ハハハハハハッ!」


 煽るハネカクシに、全く臆することなく、一歩前に出た蘭が高らかに宣言する。


「ここにアイリス、いるでしょ?青紫の髪で、鈍臭そうな顔の。アンタ達が最近攫ったっていう子よ」


「あぁ〜!上でボスが可愛がってるぜ。攫ったなんて人聞きのわりぃ。俺たちは森で慌てふためく子を、助けてやっただけだぜ」


「そうそう。むしろ感謝して欲しいぐらいだ!」


「ならちょうどいいわ。あたし達が引き取ってあげるから、おとなしく渡しなさい」


「いきなりきて何を言い出すかと思えば……。ちょっ〜とボスに確認しなきゃな」


「御託はいいから、今すぐ連れてきなさい」


「頑固な嬢ちゃんだな。はい、そうですかってなると思ってんのか?」


「最後の警告よ。痛い思いしたくなかったら、いうこと聞きなさい」


「だったら見せてもらおうか!」


 1人のハネカクシが蘭に突っ込んでいく。

 蘭が小さくため息をつくと、胸元にある十字架のペンダントに手を伸ばす。


 先端から薄い銀刃が展開され、瞬く間に十字型の刃に変貌した。


 蘭が身を屈め、ハネカクシの脚を払うように刃を横に振る。


 ハネカクシが踏み込んだ右足を、いとも簡単に切断してしまった。


「ぎゃぁぁああ!」


 そのまま前のめりに倒れて、脚を押さえるハネカクシ。奇妙なことに、その部分から血は一滴も流れてなかった。


 一瞬の出来事に、場が静まり返る。


 笑っていた者の口が開いたまま固まり、煽っていた声は、誰の喉からも続かなかった。 


 脚を切られたハネカクシの悲鳴だけが響き渡る。


 全員が固唾を飲むなか、蘭は平然と切断されて残った右足を手に取る。そして、その切断面を恍惚とした表情で眺めた。


「…………やっぱり美しい。……あっ。手、出しちゃいけないんだったわ。じゃ、桜、ビオラ。後頼んだわよ」


 そのまま蘭は後ろを振り返り、桜とビオラの後ろに歩いていく。その間もずっと、切断された右足を持ったまま眺めていた。


 あっけに取られていたハネカクシ達だったが、ようやく事態を飲み込めたように叫び出す。


「ふっ、ふざけんじゃねぇぞ!オメェら、やっちまうぞ!」


「うぉぉー!」


 全員が狂ったように襲ってくる。


「桜お姉ちゃん、いけそう?」


 ビオラが拳銃を腰から取り出して構える。


「えぇ。かなり動揺してますが、今はそのような場合ではありませんからね」


 桜も右手で刀の柄を握る。


「いざ、参ります!」


 こうしてアイリスを取り戻すべく、ハネカクシとの戦闘が始まった。

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