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怪奇解決株式会社  作者: カエル
二章
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23/82

三日後

「ね……こ」

「何と話していたのか?」という僕の問いに対して野上さんはそう答えた。


「野上さん、猫とはこの村の三首の化け猫のことですか?」

 彼女はこくんと頷く。まさか、化け猫に直接会って話すとは考えなかった。見た所、彼女に外傷はない。争うことなく話し合いは終わったらしい。

「それで、一体どんな話を?」

彼女は僕の質問には答えず、この村の地図を見せる。人差し指で二猫神社を指差す。

「あさ……あした……ここ……はなす」

「明日の朝ここで話す。ということですか?」

「う……ん」

「ここでは話せないんですか?」

「う……ん」

「……分かりました」

 了承すると彼女は僕に地図を渡した。

「野上さん!」

 彼女は窓から外に出た。そのまま夜の暗闇に姿を消した。

 そこで気づく、しまった!朝と言っても何時か聞いていなかった。明日は早起きする必要があるようだ。


 今度は寝坊することなく、早く起きることができた。

 そのまま着替え、二猫神社に向かう。二猫神社は三つある神社の中で最もここから離れている。なんでそんな場所に?そんなことを考えている内に二猫神社に到着した。疑問はたくさんあるが、とりあえず待ってみた。

 だが、いくら待っても野上さんが来ることはなかった。


 昼を過ぎても一向に彼女は現れない。何かあったのか?また心配になる。

 何とか連絡をとる方法がないか考えたが、ここでは電波もつながらない。そもそも、野上さんがスマートフォンや携帯電話を持っているとは思えない。

 とりあえず宿に戻ってみることにした。もしかしたら、彼女も戻っているかもしてない。僕は急いで神社を後にする。


 宿に到着するが、誰もいない。野上さんも宿の女将や番頭もいなかった。

 自分の部屋や、廊下を見て回るが誰もいない。


 おかしい、なぜ誰もいないのだろう?


 外に出て宿の周りを見ていると、宿の裏に小屋を見つけた。

 そこから何かを感じる。

 僕は一歩一歩小屋に近づいた。もしかしたら、この中にいるのだろうか?

 小屋の扉に手をかける。でも鍵がかかっていて開かなかった。

 開かないのでは仕方がない、別の場所を探そう。

 

 小屋から離れるが、なんとなく気になって後ろを振り返り、首を傾げた。何か気になる。でも今は野上さんの無事を早く確認したい。

 僕は小屋から離れた。


 宿を一通り探してみたが誰もいない。此処にはいないのだろうか?

 別の場所を探してみようと宿から少し離れた時だ。

「キーーー」

 宿の方から変な叫び声が聞こえた。急いで戻る。

「キーーー」

 また声が聞こえた。

 その声はなんとなく野上さんに似ているように感じた。


「野上さーん」

 大声で彼女の名前を呼んでみた。宿の人間は、彼女の存在は知らない。もし宿の人間が戻ってきたら、野上さんの名前を呼ぶ僕は、不振がられるかもしれないが、この際仕方がない。もし見られたら、その時はその時だ。何とか誤魔化そう。

 それよりも今は彼女の無事を確認したい。


「のが……あっ」

 野上さんは何事もないように、走ってきた。

「野上さん、大丈夫ですか?」

「う……ん」

 怪我などはないようだ。よかった。

「今の声は?それに今までどこに?」

 彼女は何も答えず、僕の手を掴むと、歩き出した。

「あの……どこに?」

 無視しているのか、それとも聞こえていなのか野上さんは僕を引っ張りどんどん進む。


 宿の中に入り、僕達が泊まっている部屋に入ると野上さんは手を離した。

 彼女は部屋の中央まで歩く。不意に彼女の髪の毛が伸びた。

 伸びた髪の毛が畳の隙間に滑り込む。そのままバンと畳を持ち上げ、下の板もベリっと剥がした。

「何をしているんですか?」

 驚いている僕を野上さんは手招きした。その招きに従って彼女の近くによる。彼女は指で畳を持ち上げた場所を指差した。

 何か白いものが見えるが、よく分からない。もっと近づいてみようと身を乗り出す。


「うわっ」

 反射的に後ろに飛びのき、後ずさりする。眩暈がした。


 そこにあったのは、一片の肉もついていない、完全な髑髏だった。


 警察に宿の黒電話から連絡する。警察はすぐに到着した。

 警察が畳の下を掘ってみると沢山の死体が出てきた。どれも白骨化しており、年齢、性別は、どれもバラバラだった。


 僕は第一発見者ということで、警察から取り調べを受けた。

 この後も、できるだけ取調べを受けてほしいので、もう少しここに泊まってくれと警察に言われ、僕もそれを了承した。宿にはもう泊まれないので、今は別の宿に泊まっている。

 悪戯のつもりで畳の下を見てみたら死体を発見したと、苦しい言い訳をした。絶対信じてもらえないと思っていたが、警察はあっさりと信じてくれた。昨日と同じだ。

 事件について聞いても、やはり詳しく教えてくれた。


 遺体には殺害されたような傷があるものがいくつか発見された。

 さらに調べてみると、遺体は村に来ていた旅行者ということも分かったらしい。

 金品を盗られた形跡も発見されたので、この宿の夫婦がこの宿に泊まった人間を殺害し、金品を奪った後、下に埋めたのだろうと警察は見ている。


 夫婦は現在、行方不明となっている。さらに夫婦と仲の良かったバスの運転手も行方不明となっているらしい、三人はおそらく仲間だろう。

 何らかの理由で逃げたとして、指名手配されている。


 さすがにショックだ。

 まさか、あんなに人の良さそうな人達がそんなことをするなんて夢にも思わなかった。

 一つ思い至る。女将が夜食を用意してくれて、それを食べた後、妙に眠くなった。今思えばあの食事には睡眠薬が入っていたのではないだろうか?その後、女将はしきりに温泉を勧めてきた。

 もし、あのまま温泉に入っていたら、温泉の中で寝てしまい、そのまま溺れ死んでいたかもしれない。


 そう思うとぞっとする。

 そういえば、あの時温泉に入るのを止めてくれたのは野上さんだった。彼女は料理の臭いも嗅いでいたように思う。

 もしかしたら、野上さんは料理の中に睡眠薬が入っていたことに気付いていたのではないだろうか?睡眠薬入りの料理だけを食べたのは問題ないと判断し、そのまま僕が食べるのを放置したが、温泉に入るのはまずいと思い、止めてくれたのではないか?

 

 野上さんにそのことを聞いたが、彼女は何も言わなかった。

 それでも僕がお礼を言うと、こくんと頷いてくれた。


 三日後、警察の取り調べが終わり、やっと解放された。

 

「では、野上さん教えてもらえますか?化け猫のことを」

 遺体を発見してからも、化け猫について質問したが、「三日後に話す」と言われた。彼女には今日取り調べが終わることが分かっていたのだろう。

 

 野上さんは、すっと人差し指で空中をなぞった。

 空中に細長い穴が少し開き、そこから封筒が出てきた。

 彼女はそれを掴みむと僕に渡した。


「あずかった……ねこ」

 化け猫から預かったものらしい。


 それは封筒には『会社解決株式会社の方へ 三橋健三』と書かれていた。


 

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