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小動物系アリス

六億もの大金を手に部屋を出る。


するとすぐに怪しげな生き物が現れた。


ウサギともリスとも判断のつかないかわいらしい見た目の小動物系。


そいつが立ってる。いや跳ねている。これは夢か幻か?



「どうしました武蔵さん? 私の顔に何かついてますか? 」


喋った? 動物が喋るのは現実世界ではまずあり得ないこと。


だがここはゲーム内なので問題はない。ただ慣れるまでが大変だ。


「どうして僕の名前を知ってるの? 」


「詳細は移動しながら話しますのでどうぞお乗りください」


そう言うとブラックフィルムを貼った高級車に乗せられる。


水銀で用意したものと思われたがどうやらレンタルしたらしい。


運転手付きで一か月一千万でレンタルしたので安心しろと。


だがその資金はもちろん十二億からだそう。


厳重なケースも車も確かに必要。これくらい仕方ないが損だけするな。


何もしない内からドンドンお金が消えていく。



「なあ。いい加減教えてくれよ」


「はい。まずは自己紹介を。案内役のアリスです。かわいいでしょう? 」


うわ…… 面倒臭い奴。かわいかろうとどうだろうと関係ない。


いい加減まともに教えてくれる奴はいないのか?


「かわいいね。それで僕はこの後どうすればいいの? 」


手っ取り早く教えてくれると助かるんだが。


「ではゲームモードの説明から」


「それはいい。事前に聞いているのでスキップ」


「でしたらさっそくハードモードか超ハードモードか選んでもらいます」


「嫌だと言ったら? 」


もう相手の思い通りにだけはしたくない。だから我がままを言う。


「すると拷問モードとなりますが…… よろしいですか? 」


さすがのアリスも憐みの表情を見せる。


「ちょっと待って。一つ聞いていい? 拷問モードってするのされるの? 」


当然拷問されるに決まってるが万が一もある。


僕が拷問する分にはどうでもなる。だから……


しかしアリスはハイハイと言うだけで決して答えようとしない。


するとやはりずっと拷問され続けるのか?


それはさすがに嫌だな。耐えられない。


「ははは…… 冗談だよ。それでどう違うの? 」


危ない。拷問モードなど誰が選ぶかよ。



「では改めて。ハードモードは二億未満を儲けるゲーム。


超ハードモードは二億以上を儲けるゲーム」


アリスはどこからか取り出したニンジンをかじりついて笑う。余裕だ。


それ生? おいしいのか? せめてマヨネーズをつけろよ。



「それでどちらに? 」


「ハードモードでお願いします」


「ファイナルアンサー? 」


「いや待ってくれ…… ライフラインは使えるか? 」


「ハイ。テレホンなら残ってますが。繋ぎますか? 」


「頼む! 自分ではどうしても決められないんだ! 」


己の情けなをさらけ出す。今更格好をつけても仕方ない。


大体ウサギだしな。心配しなくても当然人間様の方が上だろうさ。


「ではギャンブラーの哲さんにお繋ぎします」



「ああん? どっちか? それは超ハードモードに決まってるだろう!


それしかない! 命の危険もなく損もしないなら一択だろうが馬鹿野郎!


聞いてるのか武蔵! 男なら超ハードモード一択だ! 」


プツンと切れる。どうやらテレフォンはここでお終いらしい。


ギャンブラーの哲って誰だよ? 普通家族か友だちだろう?


純粋で賢い小学五年生に聞くのも手だがもう残ってないよな?


「どうします武蔵さん? 」


「もういいよ。超ハードモードでお願いします」


ついにギャンブラー武蔵誕生。



「では期限は一か月…… ではなく三十日となります。


これはとても重要なことです。一か月未満ではロクに預けられない。


預けられてもまともなところじゃない。それはあまりにも危険。


安全に行こうと全額を預ける真似ができなようにこうなっております。


ハードモードは利益確定すればその場でゲームクリア。ただし二億未満。


しかし超ハードモードだと青天井。いくらでも儲けられます。


二億と言わずに五億や十億や百億だって儲けていいんですよ。


ただし逃走モードが追加されます。逃走モードはとにかく逃げるの優先。


利益確定してもそこから奪われる恐ろしいモード。


付け加えると稼げません。逃走モードなので稼いでも反映されません。


損失分を埋めることも叶いません。これとても重要。


ですので逃走モードでは逃げることにのみ集中してください。


三十日まで逃げ切れればその額をお渡します。


利益確定は自分の判断で。逃走モードは最低でも三日。


ですから二十八日からは逃走モードに突入しないといけません。


しかも仮に二億未満の利益ならそれは没収されます。


すべては逃走モード完了時のお話。


いつどの時点で逃走モードに突入するかが大変重要になって来ますので。


そうそう例外もありますのでご注意ください。ではスタートです」



こうして一日目が始まった。


と言ってももう昼過ぎ。水銀で時間を喰ったからな。


さあこれからどうしよう? 


「なあアリスは本名なのか? 」


一応はナビゲーター役についても知っておこうかと。


興味ない最低な奴だとは思われたくない。


あと三十日は一緒にいる相棒だからな。


「はい。いちいちくだらない質問しないでください!


そこにプロフィールが載ってるでしょう? 」


「ああこれか。どれどれ…… 」


百枚近い書類の束から一枚を取り出す。


そこには確かにアリスのことが詳しく書いてある。


「へえ優秀なんだ。何度も表彰されてるよ」


若干十八で十度も表彰されている有能なアリス。


演技力と愛嬌のある顔でどこにでも潜入できる。


彼女を有効利用すれば大金持ちも夢じゃない。



「全部目を通しましたか? 満足した? 」


「へえバスケがうまいと」


「どうでもいいことです。それよりもどちらへ向かいますか? 」


一か月レンタルの高級車を乗り回すもはや夢の世界だが。


「よしまずは自宅に向かってくれ。おっとその前にケースを買いたい」


近くのショッピングモールで頑丈なケースを六つお買い上げ。


そして自宅があるシェアハウスへ。


                続く

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