札束天国
ハードモードか超ハードモードか?
本当はイージーモードがいいが二択らしい。ランダムは嘘なのか?
「分かりました。ここは丁寧に解説しますね。
イージーモードとはいわゆるサービスモードのことで百万払ってプレーできます。
しかしあなたには当然そのような余裕ありませんね? 言わずとも分かります。
これはゲームの世界だけでも幸運に恵まれたいと願う方向けのモード。
それからノーマルモードもありますがそれは現実世界のこと。
あなたの失敗をゲームの世界で取り戻すがコンセプト。
だからあなたにはハードモードか超ハードモードしか残されてないのです。
以上で四つ目の質問の回答を終えます。残り一つ。
それが終えると自動的にゲーム開始です」
「ちょっと待って…… まだ三つ目だと思うんだけどな…… 」
「最後の質問をどうぞ」
うわ…… 確認もせずにさっさと進めようとする。
もう最後の質問か。これが詐欺かどうかはもう聞いたし命の危機もなさそう。
損もないなら何を聞くんだ? これが意外にもこの後のゲーム左右しそう。
だとしたらきちんと考えないと。どうする? 何を聞けばいい?
「どうやって稼げばいい? 」
うわ…… 無駄な質問をしてしまった。どうしよう?
「真面目に働きなさいよ! 」
そうですよね。でもそれができないからこうなってる訳で……
心に響くお言葉に耐えられそうにない。
「もういいです」
「はい。これで大体分かりましたね? あちらの世界にも有能な案内役が。
何か分からないことがあればどんどん聞くといいわ。
それではドアを開放します」
ついに始まった地獄へのカウントダウン。
新たな世界への扉が開かれた。もう引き返せない。
眩しい。何て眩しいんだ!
それが第一印象。
「ほらこれを掛けて。目を守りなさい」
そう言うとサングラスを渡される。これは記念品だそうで返さなくていいと。
太っ腹だけど何だか嫌な予感がするな。返さなくてではなく返せないのでは?
「では閉めます。早く中へ! 」
急かされるがどうも一歩が踏み出せない。
「トイレ…… 」
「あちらの世界にも当然あります。行ってらっしゃいませ! 」
強引に見送られる。そして扉は閉ざされた。
まったく空港じゃないんだからさ。
こうして旅立った僕はついにゲームの世界へと足を踏み入れる。
サングラスは光から目を守るもの。だからって前など見えやしない。
チンと下品な音を立てて止まった。
これはエレベーターかよ?
うーん。どうもこの感じだと二階に上がっただけのような気がする。
光の演出は凝っているが現代技術を駆使すれば難しくない。
「ようこそ! 」
まったく同じ顔のおばさん…… お姉さんが迎えてくれた。
これはどう言うことだ? 僕をからかってるのか?
そうだろうな。でも僕ごときをからかうにしては手が込み過ぎてないか?
もっと簡単に何でも引っ掛かるんだからさ。
今年に入って何度壺を売りつけられたか。都会に行くとカモにされるのさ。
その都度永利に叱られて返してきなさいと。どうにかなったけどね。
「あの…… 」
「疑っているようですね。可哀想に無理もありません」
そんな風にからかう。
「無理があるよ。さすがの僕だってこれには引っ掛からないさ」
「どうやら勘違いしてるようなのでここできちんと説明を。
始めまして。私は水銀の上です。ここ水銀オンライン支店の行員です。
どうぞよろしく」
丁寧に深々と頭を下げる。
「これはどのような悪ふざけ? 用がないなら帰らせてもらいます」
もういいよ。あまりにもつまらないし時間も長いし飽きた。
ゲームと言うより嫌がらせだよ。こんなところ連れて来られてさ。
「お客様? 引き出さずに済ましてよろしいのですか? 」
そう言うとカードを渡される。
それには水銀オンラインと格好いいデザインのシルバーソードの絵が。
そしてワンポイントにウサギのマスコットキャラが。
凝ってるな。これが水銀オンライン? ってふざけるな!
「ではこれで」
怒りから適当に挨拶をして出て行こうとする。
「本当によろしいのですか? 一日一度しか引き出せませんよ。
預けるのは二度可能ですが。どちらも莫大な手数料が掛かりますが」
そんな風に本当っぽく聞こえる。うまい手だ。
「いいんだよ! 」
それでも聞く耳を持たない。もう面倒だから無視しよう。
強く出るんだ。相手だって強引にはできないさ。
「お客様! それは困ります。あなたが無能で間抜けでも一向に構いません。
しかし私まで無能扱いされてはいい笑い物。降格は待ったなしでしょう。
それにこれはあなた様の権利でございます。どうぞご再考願います」
無理矢理服を引っ張って強引に下ろさせようとする。そこまでするか普通?
若干僕を馬鹿にしてた気もするし。何なんだこの銀行はよ?
水銀は超大手のメガバンク。客扱いがなってない。絶対にクレームを入れてやる。
それだけ怒っている証拠。
「もう分かりました。下ろせばいいんでしょう? それでいくら? 」
仕方なく従うことに。
別に暇だから遊びに付き合うのはいいんだ。ただ僕のショックも考えて欲しい。
「好きな額をどうぞ。十二億からどれほど使うかで決まります」
「はいはい。だったら六億ね」
ちょうど半分を下ろすことにした。別に悪ふざけだから構わないだろう。
「ではこちらでお手続しますね」
「うわあああ! 嘘? 六億が…… 」
ATMからお札が夢のように降って来る。いやそれは夢だったけど凄い重い。
これはちょっと後悔。さすがに降ろし過ぎたよな。
「ご理解頂けたようですね。それでは私はこれで。
そうそうケースが必要ならご遠慮なく。一日一千万。使い放題なら一億です。
後のことはそこを出たところで案内係がすべて説明してくれるのでそちらに」
迷ってる暇はない。六億を特注のケースに入れて歩き出す。
するとすぐに怪しげな生き物が現れた。
続く




