第55話「保護の鎖」
幾星霜も忘れ去られた古代宮殿の入り口、大階段の頂上で、青白い光が放たれ、渦を巻いた。脈動する球体を囲む光の輪が回転し、やがてパキィィン!と甲高い音を立てて砕け散った。
クリスタルのように小さく鮮やかな光の破片が、強化ガラスが弾け飛ぶように宙に散らばった。光の欠片は一瞬だけキラキラと瞬き、裂け目の基盤に彫り込まれた暗い洞窟の闇の中へと消えていった。
輝きが薄れるにつれ、一行は自分たちの帰還を確信した。宮殿の外への転移を終え、アクセス・ポータルの周りに集まっていた。しかし、彼らが最初に気づいたのは、そこにあるはずの生命の気配が完全に消え失せていることだった。
同行していた二人の番人が姿を消していた。眼下には、洞窟の天井まで届く巨大な柱の間に二台のアルカンエンジンだけが残されている。古代の小さな炎が、その場所をかろうじて、そして惨めに照らしていた。
「番人の人たちはどこへ……?」
フェンリエは独り言のように呟きながら、すでに千年の歴史を持つ巨大な石の階段をタッタッと下り始めていた。
グリムはグムム……と意味不明な不満を漏らし、リリムドールがそれにぴったりと続く。二人は少女の後に続いて階段を下りていった。
ヴェルンは頂上でピタリと立ち止まったまま、精霊を観察していた。精霊の目は、洞窟の天井に開いた巨大な穴に釘付けになっていた。
傭兵は真紅の瞳を細めた。それに応えるように、グンダーの紫色の瞳孔が彼を横目で流し見た。
眼下では、フェンリエがすでにアルカンエンジンを調べていた。疑念と不安が彼女の心を支配する。
(みんなどこに行っちゃったの……?)
「どうも気に食わんのう……」グリムは長くて汚れたボサボサの髭をポリポリと掻きながら呟いた。その広い顔にある小さな目を細め、天井を睨みつけている。
「どうしたんだい、親父?」リリムドールが尋ねた。
「上に何かがおる……」グリムは続けた。フェンリエは困惑して彼を見つめ、心配の色がその顔立ちを強張らせる。「トゥルガの戦争の時と、全く同じ嫌な感覚じゃ……」
先触れの目がカッ!と見開かれた。彼女は口を開き、一刻も早く街へ戻ろうと叫ぶか、懇願しようとした。だが、その声は音になる前に打ち消された。
「貴様らはここに残れ。余が自ら上へ向かう」
グンダーが割って入った。いつもの嘲笑的で傲慢な態度は消え失せ、精霊としての冷徹で絶対的な響きに取って代わられていた。
「グンダー!」フェンリエが抗議の声を上げる。
「フェンリエ、そこを動くな」彼は少女を完全に無視し、天井の穴に視線を固定したまま続けた。「余の帰還を待て」
「そんな、急に行ってしまうなんて……私は……!」
「縛めよ」彼は短く命じた。
「えっ?」フェンリエは驚きに息を呑んだ。床から青白い鎖がシュバッ!と噴出し、彼女の身体に鞭のように巻き付いて完全に拘束した。「グ、グンダー!!」
少女はピョンピョンと跳ねて抜け出そうとしたが、バランスを崩して床にドサッと倒れ込んだ。戒めに縛られたまま、痙攣する蛇のように狂ったように身をよじり始める。
「いくらなんでも、やりすぎじゃねぇのか?」ヴェルンがすぐ後ろから問いただした。その表情は険しく、眼差しは氷のように冷たい。
精霊は彼を見つめ返した。紫色の瞳は傭兵自身よりもさらに冷たい光を放っていたが、その奥底には、無言の懇願が隠されていた。
「……頼む」
ヴェルンは目を細め、無言のうちにそれを悟った。
「……チッ、分かったよ」
「待って!グンダー!」フェンリエは叫び続けていた。
精霊の身体がゆっくりと浮遊し始めた。紫色の残像となってヒュンッ!と輝き、天井の穴へ向かって発射され、キサナトラへと帰還していった。
◇ ◇ ◇
上層都市の混沌の中、人々は四方八方へと駆けずり回っていた。一部の「番人」たちが武装して大都市の内部へと進軍する一方で、別の部隊は一刻も早く住民を避難させようと奔走していた。
避難モジュールを指揮し、押し寄せる群衆の入り口を統制しながら、一人の黒髪の男が叫んでいた。その顔立ちは深い疲労を物語っている。
「みんな、落ち着いて!慌てないで僕の指示に従うんだ!」
「カエル隊長!」一人の女性の番人が急いで現れた。その顔には切迫感が溢れている。カエルもまた、同じ絶望を共有しながら彼女を見つめ返した。「上層都市の避難はほぼ完了しました。ですが、下層都市の下部フロアがいくつか、まだ完全に空になっていません」
「だったら、急いであっちにモジュールを回して!早く!」カエルは声を張り上げて命じた。
「ですが隊長、下はもう――」
彼女の声は掻き消された。
ドゴォォォォン!!
数階層上で凄まじい爆発が勃発し、上層都市を支える幅数百メートルの巨大な柱をガタガタと激しく揺るがしたのだ。
「い、いったい何が起きてるんだ!?」
◇ ◇ ◇
上層都市の頂点。男爵たちのあの豪華絢爛なパーティー会場の内部で、ヴァリスはただ一人、孤立して残っていた。
その顔には疲労の色が濃く、深い混乱の表情を浮かべている。首の高さまである、お椀型に切り揃えられた長い髪が彼の顔を縁取り、心から溢れ出す素朴な疑問を包み込んでいた。
「……いったい、何が起きているんですか」彼は独り言のようにボソリと呟いた。
周りを見渡すと、そこは完全な空っぽの空間だった。黄金の都市――あるいは不運の都――を垣間見るためだけに遠方からやってきた、あの成金男爵や貴族たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていたのだ。
やがて、彼の目が驚きに反応した。
ズズズ……
上品な革靴の底と、仕立ての良いスーツを通して微かな地震の揺れを感じ取り、彼は足元へと視線を落とした。
突如、背後から鼻を突くようなツンとした煙の臭いが漂ってきた。ヴァリスが肩越しに振り返ると、そこには濃密な暗紫色の色合いに染まった分厚い霧が立ち込めていた。
「ヒンペリア様……何があったんですか?」
「精霊と番人たちを、少々見くびっていたようです」ヒンペリアの声が、煙の中から亡霊のように響き渡った。
「何ですって!?」ヴァリスの表情が、純粋な切迫感へと一変する。
「ラグラムとヴェロニアはすでに交戦状態に入りました。ヴァリス、彼ら二人が敵を引きつけている間に、私と貴方で計画を完遂させなければなりません」
小枝のように細身の男は、ハァ……と長いため息をついた。明らかな無関心の表情で後頭部をポリポリと掻く。そして次の瞬間、細胞分裂中のバクテリアが排出されるように、彼と全く同じ姿をした複製が、その身体からヌルリと分離した。
「……分かりましたよ、もう」彼はヒンペリアの煙が晴れていく中で、面倒くさそうにボヤいた。
ヴァリスはいつもの疲労感とともに自分自身のコピーを睨みつけ、向こうからも同じように明らかな不快感の表情を返された。
「私、じゃなくて……君が行ってきてください」
「嫌ですよ。貴方が行ってください」
オリジナルのヴァリスは、フラストレーションでウグッと低く唸った。
「ああ、本当に面倒くさい……!」
「分かりました!行きますよ……」コピーはブツブツと文句を言いながら、まるで世界で一番苛立たしい雑用を押し付けられたかのように、足を引きずって広間の出口へと向かった。
少し後、自分の分身が遠ざかっていくのをただ立ち止まって眺めていたヴァリスは、再び深いため息をついた。結局、彼もまた、クローンと全く同じ不本意さを全身に滲ませながら、その後を追い始めたのだった。




