第4話 首都、ゼノラへ
翌朝。
寝付けないかなと思ったが、案外すぐに寝れた。
「おはよう、ナナミ」
ジェミロンはもう起きているようだ。
「……ジェミロン、おはよう。まだ日が上ったばかりだけど、起きるの早いのね」
ナナミがそう言うと、ジェミロンは頬を指でかく。
「仕事の関係さ。日の出前に起きるのを日課にしているからさ」
それは素直に凄いと思った。
同い年に見えるのにしっかりしている、と言うとジェミロンは顔を少し赤らめた。
「面と向かって言われんの、苦手やい。……ほらほら、ご飯たべよっか。」
「うん!」
二人は、寝室を出て食堂へと向かっていった。
▪▪▪
朝食を食べ、身支度を終えると宿を出た。
「ねえ、ゼノラってここからどれくらい掛かるの?」
ナナミはそうジェミロンに聞く。
「歩きなら2時間、馬車なら1時間半だな。流石に悠長している余裕はねぇから、ヴァロに頼んで早く行こう」
ジェミロンは街の門を過ぎたところで、呼び笛を吹いた。
5分も経たずに、ヴァロがやって来た。
「そう言えば、街中で吹くとこの子って降りないよね」
思い出したかのように、ナナミが言う。
ジェミロンは、ヴァロの身体を撫でる。
「耳が良い他にも、知性があってね。街中に降りると住民が混乱するから、緊急時に降りる指笛を吹かない限り、降りては駄目だってこと教えて理解しているのさ」
こんな大きな鳥が、そんな知性的だとは思わなかった。
……だが、お互いに信頼しているのは確かだろう。
「そんじゃ、立ち話はここまでにして。ゼノラの方へ行こうか」
「うん」
二人はヴァロに乗り込み、飛び立った。
▫▫▫
飛び出てから、約45分。
大きな街が眼下に見えてきて、奥には立派な城も見える。
「もうそろそろで、王国の首都であるゼノラさ。例の『流れ人』の件は、ジャン爺が国王に話を通してしてくれたって聞いたから、そのままソワンドール大図書館へ向かおう」
ジェミロンがそう言うと、ヴァロの背中を二回叩いた。
それが合図なのか、降下していく。
―――そして、大きな門の前に降り立った。
「ありがと、ヴァロ。一旦離れていいよ」
ジェミロンが言うと、ヴァロは鼻を押し当てると飛び立った。
「本当に仲がいいね」
「そりゃあ、何年も過ごせばな。じゃあ、入ろう」
こうして、ゼノラの街中へと入っていった。
▪▪▪
やはり首都を名乗るからなのか、ゾンゾとは違い街には多くの人間が行き来している。
「久しぶりに来ると、やっぱり賑わってていいなあ」
ジェミロンは歩きながら言う。
「どれくらい久しぶりなの?」
ナナミは聞いてみる。
「『龍退治』の試験依頼かな。合格して今の配置になってからずっと、来ていないよ」
試験、との言葉にナナミは驚いた。
「『龍退治』って、試験を通らないとなれない仕事なのね」
ジェミロンは頷いた。
「これは、街を守る剣士と一緒で国家試験の一種さ。知識と技量が試されるからね」
どうやらジェミロンが当時最年少で試験に合格したといい、未だに破られていないと言う。
(やっぱり、ジェミロンって凄いな)
そうナナミが思う。
「あら~?ジェミロン君じゃない」
ふと、背後から女性の声が聞こえた。
二人が振り向くと、いかにも仕事人って感じの服を着ている人が立っていた。
「アンミさん、お久しぶりです!」
「配置発表以来ねえ、ジェミロン君」
かなり親しんでいるから、知り合いなのかな。
「ジェミロン、この方は?」
「同期のアンミさんだよ。首都の『龍退治』を請け負っている方さ」
アンミと呼ばれた女性は、笑顔を見せる。
「ジェミロンとは切磋琢磨したからね……それがあったから、首都を任されているよ。それと」
アンミはナナミの方を向く。
「貴女が、例の『流れ人』ね。話は国王から聞いているし、これからベネさんに会いに行くんだろ?」
「え、あ、はい」
それから、アンミは親指を立てる。
「お二人を案内するように、ジャン師から言われていてね。最近の土地開発で、迷うからと」
「アンミさんが居てくれて助かりました」
ジェミロンがそう言う。
「そんじゃ、案内するね……と、済まない。まだ貴女の名前を聞いていなかったね」
「は、はい。ナナミと言います」
アンミはもう一度笑顔を見せた。
「ナナミ、か。よろしく!」
こうして、二人はアンミの後を着いていった。




