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硝煙の空中大陸〜空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること〜  作者: 古井論理
十一 光の矢

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第64話 烈光の洗礼

「マハラーティの最大火力は一撃でアヴァターラ十隻がまとめて串刺しになって、次の瞬間には蒸発する程度には驚異的なものです。その破壊力は兵器としてはあまりに過剰であるため、我々はあくまで完全再現ではなく、現代技術で製作可能なシールド発生装置の改良による疑似再現に焦点を絞って研究しています」


 レヤル研究員はそう言って、解説を終えた。


「それでは射撃の実験に移りましょう。まずは百キロメートル先に配置した標高四千メートル、約二千立方キロメートルの岩石の塊を標的に、出力を全力の半分に絞って射撃してください。念のためマハラーティからなるべく離れてシールドを最大出力で展開してから射撃するようにお願いします」


 アヴァターラはマハラーティの後方に下がり、シールドを展開した。


「射撃準備よし、目標座標固定も完了しました!」


「タイマー始動、十秒前から秒読みを開始します。……十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、撃て!」


 マハラーティから強烈な閃光が放たれ、エネルギーの奔流が光線となって矢のように射出される。発令所にアラーム音が鳴り響き、皆が窓から目を背けた。


「システムオーバーロード、センサー口及び全外部視察口の透光を停止します」


 光がアヴァターラを包む中、自動フィルターが強烈な光をカットするべく窓の透光度を最低にする。装甲を突き抜けて響き渡る轟音の中、発令所は一気に暗転した。


「どうした、何が起きた!?」


 暗転した発令所で椅子にしがみついて立ち上がったハル艦長は、オペレーターの誰かから答えが返ってくることを期待して尋ねたが、返ってきたのは制御システムの無表情な非常音声だった。


「発令所の制御系統の停止を確認。航法系全システムを自動制御に移行、バックアップ自動制御系の接続を確立。第二指揮所への人員充当を推奨します」


 ハル艦長は徐々にはっきりしてきた視野に通常照明がついた発令所の状態を捉えた。オペレーターたちの意識はまだ回復しておらず、外部との通信もできなくなっている。艦内放送システムが使えることを確認すると、ハル艦長は艦長席前の床に放り出されたマイクを拾い上げて艦内への放送を開始した。


「こちら発令所、艦長のハル。大半の発令所当直員が行動不能となった。当直の救護班は速やかに発令所に上がり、救護活動を開始せよ。非番の発令所直員は非常交代準備に当たれ。艦内各区画の担当士官は可及的速やかに状況を確認し、艦長まで報告せよ。報告、はじめ!」


 艦内各所から、想定外の事態に関する結果報告が次々と寄せられた。


「右舷武装区画、FCSに異常発生! 復旧活動が進行中です!」


「右舷貨物区画、異常ありません!」


「前部主砲区画、FCSに異常発生! 復旧中ですがまだ時間がかかります!」


「後部主砲区画、FCS復旧完了。損害ありません!」


「居住区画、異常ありません!」


「電算区画、異常ありません!」


「機関制御区画、異常ありません!」


「左舷武装区画、FCSに異常が発生しています。復旧完了まであと数分を要します」


「こちら発令所、状況を把握した」


 ハル艦長が言った次の瞬間、発令所後部の扉が開き、ラタン軍医長率いる救護班の面々が入ってきた。

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