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硝煙の空中大陸〜空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること〜  作者: 古井論理
九 敵要塞との戦闘

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第54話 パノラモートに向かえ

「ヴァーマナは派手にやられてるな、ミサイルの迎撃にでも失敗したか」


 ハル艦長が損傷したヴァーマナを一瞥して軽口をたたくと、ヴァーマナのエリオン艦長の声が艦橋のスピーカーから流れた。


「こちらヴァーマナ、短距離対艦ミサイル五発の直撃を受け、右船体が損傷した」


「無線がつながっている……無線手、私は何も聞いていないが」


「はっはっは、戦闘の最中もずっとつながっていましたよ」


「そうか、それはすまなかった」


「かまわんさ、戦況が分かりやすくて助かった」


 エリオン艦長はそう言ってひとしきり笑うと、真面目なトーンで話を変えた。


「敵巡洋戦艦六隻のうち最後に急降下した二隻以外の四隻はやはりリモート艦だったようだ。本艦が交戦していた敵艦はそちらで貴艦が沈めた一隻の反応が消えた直後にコントロールを失って沈んだぞ、恐らく奴がコントロール艦だったようだ」


「エリオン艦長、それは本当か?」


 ハル艦長も真面目なトーンで聞き返す。


「ああ」


 頷いたエリオン艦長に、ハル艦長が疑問を提起する。


「妙だな、リモート艦には自動制御装置が搭載されているからコントロール艦が失われても動くはずだ」


 確かにそうだ、とエリオン艦長は考え込んだ。


「どういうことだ……」


 ハル艦長とエリオン艦長は思考を巡らせた。しばらくして、エリオン艦長は一つの仮説にたどり着く。


「ということは本艦の攻撃が命中した箇所のどれかが自動制御装置関連の弱点だったということか。……何らかの役に立つかもしれないな、報告を上げておこう」


 ハル艦長は同意し、残骸の位置を含めた報告をエリオン艦長との連名で上げるとともに陸軍のパノラモート駐留部隊に調査要請を送信した。旗艦ヴァルナからの通信によると、先ほど取り逃がした敵戦艦も沈め、臨時混成機動艦隊は解散したとのことである。撤退を始めた二隻には艦隊司令部から暗号通信が入電し、今後の行動が指示された。


「こちら艦隊司令部、アヴァターラおよびヴァーマナに命令を伝える。小破しているアヴァターラはパノラモート港第八桟橋に接舷し、船体各所の補修が完了し次第竜王城址製造都市に向かえ。ヴァーマナは状態が中破であり船殻に損害を受けているためドック入りの必要があると判定した。オラビア重工のパノラモート造船所へ向かい、修復に入ってくれ。パノラモートでは乗員の上陸可否を艦長の裁量にゆだねる。命令は以上だ」


 命令を受けた二隻はパノラモートの港へ入港すると、アヴァターラは桟橋に船体をつけて修復に入り、ヴァーマナは桟橋で乗員の大半を降ろした後ドックへ入渠していく。アヴァターラの修復には五日かかると通達されたハル艦長は、三交代四班に分けられた乗員たちそれぞれに一日上陸券を分配するべく事務作業を進めていた。

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