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硝煙の空中大陸〜空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること〜  作者: 古井論理
九 敵要塞との戦闘

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第52話 機動的戦闘、開始

「敵艦、第二射を発砲!」


「操舵手、転舵右三十度で回避だ! 主砲、射撃を再開せよ! 我々の射撃目標を狙え! ……畜生、遅いぞヴァーマナ」


 アヴァターラが砲撃を再開しつつ回避を開始した直後、敵リモート艦二隻に忍び寄ったミサイルが命中し、一隻の浮遊機関反応が消失した。手負いとなったもう一隻は、雲の中から出現したヴァーマナに砲撃を繰り返す。ヴァーマナは主砲を発射しつつ敵艦の進路に逆行し、敵艦との相対速度を最大にした。


「ヴァーマナ、戦闘開始! 敵艦と反航戦を開始しました!」


「ヴァーマナの射撃目標に第一斉射が着弾、爆発! 浮遊機関反応消失、沈没した模様です!」


「よし、撃ち方やめ! 本艦は雲の下に逃れた敵コントロール艦を追撃する、主砲再装填用意! 敵艦の航路は?」


「パノラモート方面に移動中です!」


「市街に突っ込まれちゃいかんな、両舷全速! 追跡を開始しつつ射撃し、敵艦二隻を沈める!」


 アヴァターラは雲に突っ込み、二隻の敵艦が取っている航路と交差するように主砲を発射した。次の瞬間、艦橋に警報が鳴り響く。敵艦の方角から多数の飛翔体が接近してきたのだ。


挿絵(By みてみん)


「敵艦からミサイルおよび副砲弾! 本艦に向かうミサイルの数は四十発、雲の表面を滑って突っ込んできます!」


「急速上昇、防空戦闘開始! レーザー砲、射撃用意!」


 アヴァターラの艦体が雲を突き破って急上昇し、レーザー砲がレーザーを照射する。まとまって突っ込んでくる敵のミサイルが、十数の爆発を起こして周辺のミサイルを誘爆させながら破壊されていった。


「残るミサイルは四発、トップアタックコースへ遷移中!」


「レーザー全力照射、何としても全て迎撃せよ!」


 アヴァターラは艦体を傾けて回避行動を取りながら、レーザー砲を撃ちまくる。敵のミサイルが一発、二発と爆発を起こし、艦の直上で三発目のミサイルが爆発する。最後の一発は左舷側、かなりの近距離で爆発し、アヴァターラの船体側面に貼り付けられたアブレーティブバルジを焦がしながら炎の球面となって消し飛んだ。


「操舵手、ここからは高度な機動戦を行う。操艦権限の一切を航空主任へと委任せよ。航空主任、機動戦対応。舵輪を握って敵弾を回避しつつ主砲の旋回が間に合うように回避を行ってくれ。私は移動方向を指揮する。砲術長、これより全火器の使用制限を解除する。そちらの判断で敵艦を撃て」


「やってやりますよ、しっかり掴まっておいてくださいね」


 マクノス航空主任は声を武者震いに震わせながら、操舵手と交代する。


「敵の砲撃を回避しつつ敵艦に接近する。推進器始動、高機動戦開始!」


 ハル艦長の命令とともに、アヴァターラは雲の向こうから飛んでくる砲撃を回避しつつ敵艦に向けて突っ込んでいった。船体がぐんと軽くなったような、無駄のない動きでアヴァターラは敵艦に突っ込んでいく。さっきまで操舵を行っていた操舵手は感嘆の息を漏らし、ハル艦長はレーダー手に指示を飛ばす。


「レーダー手、敵艦の位置は」


「距離五千、正面に並んで高速航行で逃走中です。こちらが追いつく前に都市攻撃を試みているものと思われます。進路前方には貿易輸送営団のPLS128護送船団、さらに進めばパノラモートがあります!」


「輸送船団の護衛艦に通信をつなげ! 旗艦は何だ?」


 ハル艦長の質問に、通信士はPLS128船団の情報をリストで確認して声を張り上げた。


「護衛艦隊は第百二十八護衛艦隊、旗艦は仮装巡洋艦コヨードです!」


「よし、コヨードに現空域からの船団の退避を要請せよ! 本艦は敵巡洋戦艦を最大船速で追跡し、射程圏内に収める! 両舷推進器最大推力、両舷全速!」


 ハル艦長はそう命じて、護送船団からの返答を待つ通信士を一瞥した。

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