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硝煙の空中大陸〜空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること〜  作者: 古井論理
九 敵要塞との戦闘

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第51話 高速主力艦対決

「操舵手、艦橋を雲から出せ!」


 操舵手が艦体を上昇させて艦橋を雲の表面から出し、チトセ砲術長が射撃指揮管制装置の入力端末にデータを入力していく。


「こちら砲術長、照準、測距、追尾登録全て完了。全ミサイル発射管、発射せよ!」


 ミサイルが次々と発射され、雲の表面に沿って敵のレーダーを避けつつ敵艦に向けて突っ込んでいく。


「艦長、ミサイル発射管は全て空です。次弾装填どうしますか、第二射をお見舞いしますか」


 チトセ砲術長の発言に、ハル艦長は命令が不十分だったことを悟り補足する。


「ミサイルの次弾装填は必要ない、敵艦にミサイルが命中し次第砲撃戦に移行する! ミサイル庫に防火隔壁を下ろし、主砲及び副砲に初弾を装填せよ! 全砲塔の高速旋回原動機を待機状態で始動! 高速装填装置用意、砲火器システム用射撃指揮統制装置を始動せよ! 近接迎撃目標割り振りシステム始動、対空レーザー砲展開! 操舵手、合図をしたら艦体を雲から出せ! 機関科、推進器出力三パーセント上げろ! 総員、高機動戦闘用意! 当番直員、配置につけ!」


 艦内各所で兵員が待機所からそれぞれの配置場所に走りだし、ものの三分で戦闘配置が完了した。ミサイルは敵艦の間近に迫り、飽和着弾機動に入る。単横陣の右側にいたコントロール艦一隻とリモート艦二隻が慌てた様子で続けざまに転舵を行い対空射撃を開始するも、その努力もむなしくミサイルは四隻の艦体に吸い込まれていく。


「三、二、一、弾着、今!」


 敵艦三隻をミサイルが直撃し、大爆発とともに破片が飛び散る。中央のコントロール艦二隻は煙とわずかな炎を吐きながら雲の下へ逃げていく。内側のリモート艦はギリギリのところで迎撃に成功したようだったが、戦列の端にいたリモート艦一隻は艦体が火柱とともにめくれ上がり、前部主砲区画の二番砲塔から前が折れ飛んでしまっていた。折れた艦の後ろ半分は青く光る推進器が暴走したまま錐揉みしつつ落下し、数回爆発して雲の下へと沈んでいった。急上昇したアヴァターラは艦首を下げて、敵艦隊の側面から襲い掛かる。


「主砲及び副砲、全力砲撃開始! 火力を一番奥の敵リモート艦に集中し、旋回しつつ敵艦に砲弾を叩きこめ! 高速装填装置始動、高速砲撃で一気にけりをつけろ!」


 ハル艦長の命令に従い、主砲が敵艦に指向されて第一射が発射される。装薬缶が排除された薬室に高速装填装置が次発の砲弾と装薬缶を装填し、砲尾の栓が閉められて砲塔が旋回する。第一射が敵艦に命中し、敵艦の甲板に大破孔が生じた。主砲は第二射の砲弾を吐き出し、第三射の装填が始まる。防御力を妥協して高速性と大火力を確保した敵の巡洋戦艦は、みるみるうちに戦闘能力を失っていく。その下の雲から現れた敵艦二隻が煙幕を張りながら推進器を全力で稼働させ、前方に突出して旋回を始めた。


「雲の下に逃げていた敵艦二隻に動きです! 同航戦を挑もうとしているようです!」


 レーダー手が叫ぶ。ハル艦長は頷いて通信手を呼んだ。


「ヴァーマナからの通信は」


「たった今入電しました、突出した敵艦二隻は任せられたしとのことです!」


「よし、ヴァーマナを信じて現在攻撃中の目標に専念せよ!」


 砲術長が砲撃の状況を報告しつつ各砲塔に命令を下す。


「主砲第二斉射及び副砲第三斉射全弾命中! おい狙撃砲、敵艦の後部砲塔が動いているぞ! 高速徹甲榴弾を装填! 動いている後部砲塔を狙って射撃せよ!」


 チトセ砲術長の命令に従い狙撃砲が動き、敵艦の後部砲塔を射抜いた。後部砲塔は爆散し、直下の弾薬庫に火が入る。


「目標の弾薬庫に火が入ったようです! 浮遊機関も破損した模様、痙攣反応を確認! 戦闘能力は失われた模様です!」


 オペレーターの報告の直後、艦橋にブザーが鳴り響いた。


「どうした!」


「突出した敵艦二隻が主砲を撃ってきました、あと数秒で本艦に当たります! 対空防御……」


「総員、衝撃に備えろ!」


 ハル艦長が咄嗟に声を張り上げた直後、艦を揺るがす轟音と炸裂音が響いた。非常サイレンが鳴り響き、艦橋のモニターに損害状況が表示されていく。


「艦首第三区画に直撃弾、損害甚大! 右舷ミサイル発射管被弾、一番から四番発射管は使用不能! 艦側方バルジ第三区画消滅、主翼格納装置外扉破損! スラスター及び砲撃システムに損害なし! 第一から第六副砲塔及び第一第二主砲塔、砲撃可能です!」


 甲板士官の被害報告は、艦長が直感したより短時間で終わった。損害は軽微である。

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