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硝煙の空中大陸〜空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること〜  作者: 古井論理
七 出撃前日のエトセトラ

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第40話 連絡官の面接試験

 時刻が午前十時二十分を回ったころ、ハル艦長とエリオン艦長は連絡機発着施設のエントランスに立っていた。モーリス司令部幕僚補佐連絡官が奥から現れて、二人に歩み寄る。


「よく来てくれた。確認したいことがある、二人ともついて来てくれ。その前にまず召喚状を回収しようか」


 そう言って手を差し出し、召喚状を受け取ってから確認を済ませたモーリス連絡官は、エレベーターに乗り込むと、二人の艦長に一緒に乗り込むよう促した。ハル艦長が先に乗り、エリオン艦長がそのあとに続く。三人を乗せたエレベーターは、基礎の下に据えられた司令部施設の、地下三階層へと降りていく。


「降りた先を左に向かってくれ。三番目の面会室だ」


 モーリス連絡官がそう言うのと同時にエレベーターは地下三階に到着し、ドアを開けた。


「三番目……第二面会室ですね?」


「そうだ。今から鍵を開けるから少し待ってくれ」


 モーリス連絡官はそう言ってレトロな金属製の鍵を取り出すと、鍵穴に差し込んだ。ガチャリという音を立てて鍵が開き、鍵を引き抜かれた扉は自動的にゆっくりと開いていく。室内には少し湿った空気と芳香剤の匂いが滞留していて、ハル艦長はかつて尋ねた祖母のアパートを思い出した。


「私は奥の席に座る。ハル艦長とエリオン艦長は扉側の席に座ってくれ」


 モーリス連絡官の言葉に従い、ハル艦長とエリオン艦長は扉側に三つ並んだ椅子の両端に座った。モーリス連絡官は机を挟んで奥に並ぶ椅子の中央に座ると、机のほぼ三分の一ほどを占拠する、傷が入ったアタッシェケースを開けて封筒二つと分厚い書類二束を取り出した。


「まずエリオン艦長からだ。エリオン艦長、今回の作戦は短期決戦で完了しなければならないのはわかっていると思うが、具体的なタイムリミットはいつか知っているか?」


 エリオン艦長はうなずき、解答を始めた。


「自分は十月九日までに敵の浮遊要塞をたたかなければならぬと存じております」


「そうだ、その通りだ。その作戦において貴官の船は具体的に何を担当する?」


 モーリス連絡官はそう質問して、エリオン艦長の回答を待った。エリオン艦長はメモ帳を開けると、説明を始めた。


「私が指揮する戦艦ヴァーマナは、重戦闘母艦インドラおよびシャクラに随伴しつつ、敵要塞上空へ侵入する航空隊の展開を妨害する敵の攻撃を制圧します。航空隊の展開後速やかに反転離脱し、航空隊離脱時に情報を受けて取りこぼした敵対空陣地があれば、それを狙撃砲の射撃で撃破します。その後、ヴァルナとアンシャの間接射撃による敵要塞攻撃の完了をもって反転、敵艦隊が駆けつけてくる前に艦隊の全戦力が撤退できなければ、殿をつとめて敵艦隊と砲戦を行います」


「よろしい。それではハル艦長、貴官が指揮するアヴァターラの任務は」


 モーリス連絡官は質問相手をハル艦長に切り替えた。


「本艦の任務は航空隊が敵上空に侵入する前に、敵要塞と高度差にして四万メートルの高空から地中貫通爆弾による偏差爆撃を行って敵迎撃機発進施設の先制破壊を行うことにより、航空隊の攻撃を容易にしつつ高速母艦を喪失するリスクを低減することと、離脱時に敵艦隊が周辺にいれば状況を見て殿艦ヴァーマナの援護に回ることです」


 モーリス連絡官はうなずいて、安心したように言った。


「よろしい、命令書が含意する大枠は受け取ってくれているようだな」

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