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空中大陸に閉ざされた世界で、宇宙を見るためにできること  作者: 古井論理
二 竜王城址製造都市の混乱

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第13話 スクーパ財団との邂逅

「怪物の浮遊機関反応、急速に鎮静化! 待機状態に移行したようです!」


 報告を聞き、ハル艦長はほっと胸をなでおろした。


「暴走は終わったようだな」


 気づけば、アヴァターラには損傷したスクーパ財団の船が接近している。その船は発光信号を送り、無線送信の許可を求めてきた。


「艦長、無線通信申請です!」


「申請を許可し、通信を接続せよ」


 アヴァターラが許可信号を送ると、さっそく無線で送られてきた音声が艦橋のスピーカーを揺らした。


「こちらスクーパ財団観測船SPSウニティス、アヴァターラへ。旧兵器管理への協力及び暴走した旧兵器鎮圧への助力、誠に感謝する。今回の騒動はこの古代兵器が前回休眠状態を設定された際の回路上のバグにより、自動的な初期化が行われていなかったことが原因で発生した。また、再起動時に初期化した際にも制御艦の情報が残っており、起動後も我々の制御を受け付けなかったため被害が拡大してしまった。また、沈静化努力の際に我々の制御艦が沈んでしまったため、引き続いてアヴァターラには制御を依頼したい」


 その無線にアヴァターラの乗員たちが困惑したのは言うまでもない。艦橋はざわついて私語にまみれ、先ほどまでの緊張が嘘のようだ。どこか気の抜けた、コントでもやっているかのような空気が漂い始める中、ヴォロス副長はあきれた様子でハル艦長に問いかけた。


「艦長、どうします」


「断れば財団だけでなく竜王城址製造都市も、それに何より王国の陸海軍が今後かなり困るだろう。財団は古代兵器を復活させる技術を研究しているはずだから艦隊司令部や統合幕僚本部の許可はつねに付随する。従うべきだ。何より、私個人としても研究機関に協力するのはやぶさかではないしな」


「わかりました」


 艦橋でのやり取りの後に、「了解」とだけ返答が送られた。SPSプラマルの担当者は感謝を述べ、アヴァターラ側の機材を確認してから説明を始めた。


「この古代兵器は、浮遊機関の制御装置を同期すれば空中戦艦から制御できる。そこで、専用制御装置と型番が同じ、アヴァターラの予備制御装置を借用したい。軍司令部、艦隊司令部、艦製本部及び統合幕僚本部からの許可は受けている。調律波形を百九十二番、波長を四百八十九Mに合わせられたし」


 スクーパ財団の船はそう通信を送り、アヴァターラの機関科では制御装置を操作して同期を完了する。制御装置は正常に制御を開始し、古代兵器は機関を最低出力にした状態でアヴァターラからの制御により森の中にその身を沈めていった。それを眺めるハル艦長の手元に置かれた端末に、司令部からの命令書が表示される。


「これにて一件落着、ですかね?」


 ヴォロス副長がよくわからぬままにハル艦長に尋ねると、司令部から配信された命令書を読み終えたハル艦長は首を横に振った。


「残念ながら、一難去ってまた一難と言ったところだろう。長い任務が始まってしまうようだ、今日の幸運が無駄にならないといいな。全艦に告ぐ、ムラッタルスカへ針路をとれ。どうやらお客さんが近づいているらしい。十数年ぶりの、迎撃戦闘をやらかすことになるようだ」


 ハル艦長の指示した通りに、アヴァターラは新たな任務を開始した。航路は哨戒コースを大きく外れ、都市が密集する第二層空中大陸に向かうルートに設定された。目的地は艦隊司令部とムガロ王国の第二首都機能が置かれている巨大な要塞都市、ムラッタルスカである。首都防衛戦力の第一戦隊所属艦を除く全ての空中戦艦はそこに集まるよう指示されているようだ。何か大規模な作戦が始まろうとしているのはどう考えても確実であると思われた。

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