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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第十一章
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笑い話に

 私がどこから来たのか。その問いに、間を置くことなく笑ってごまかせばよかったんだろうと気付いたのは、既に動揺して三秒くらい黙り込んだ後だった。黙ったまま俯く私に、レオさんは笑って言った。


「おれ、こう見えて酔っ払いだからさぁ。人に言いふらす前に多分、忘れちゃうんだよねぇ。それにほら、ユージーンには言いにくいことも、おれくらい遠いやつになら話せちゃうこともあるんじゃない?」


 たしかに、と息を吐き出す。本当に忘れてくれるかは分からないけど、少なくともレオさんがそれを言いふらすメリットはないだろう。意を決して口を開く。


「恐らくオーウェンさんは、生まれる前の世界――言ってしまえば、異世界の記憶があるんだと思います。もっと違う世界で生まれて、生きて、死んだ記憶があったんだと思います。……私みたいに」

「異世界かぁ。楽しそうだねぇ、どんなところだったの?」

「医療も文明ももっと進んでいて、魔法のないところでした。もっと便利になっている物もたくさんあって、娯楽もたくさんあります」


 行ってみたいなぁ、とレオさんは楽しそうに笑っている。飛行機の話や電話の話では「それはさすがにおれを騙そうとしてない?」と半信半疑だったが。


「うん、たしかにそんな世界で生きてたなら、オルコットにもキンバリーにもなじめないよなぁ」

「悪い人たちではないですし、両親にも育ててもらった恩を感じてはいるんですけど、やっぱりどうしようもない部分でしたね」


 レオさんは遠い目をして「あいつもどこか、ここにいない雰囲気があったからなぁ」と呟いた。そうしてうんうんと頷くと、「ユージーンには言った?」と聞かれたので、微妙なところですと答える。言ったには言ったけど、多分あれは信じてない、と。


「そっか。……ねぇ、エレノアちゃんはユージーンの身の上話って聞いたことある?」

「ユージーンのですか? そう言われれば、ないかもしれません」

「そっかぁ。ユージーンって、あぁ見えて怖がりなところがあるからさぁ。いずれ話すとは思うけど、もうちょっと待ってやってね」


 もちろんです、と頷く。レオさんはそれを見て満足げに笑って、「じゃあ、もっと異世界の話聞かせてよ」と言った。


「エレノアちゃんは向こうで何か好きな食べ物とかあった?」

「あー……チキンソテーが好きだったんです、けど……。鶏肉を生で食べて死んでるので、それ以来どうにもだめになりましたね……」


 苦々しい顔で言うと、レオさんが爆笑しはじめた。


「と、鶏肉で死んだんだ!? あーおもしれぇ! なんで生で食べちゃったの? ていうか生で食べて死ぬこととかあるんだ?」

「鳥刺しっていう、生で食べる調理法があるんですよ。死因は多分、カンピロバクターっていう食中毒で……」


 レオさんの爆笑は、ご近所さんに「うるさい!」と怒られるまで続いた。


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