打ち合わせ
四人で揃ってレオさんに依頼を受ける旨を伝えると、それはもういい笑顔で「いやーありがとう! お兄さん助かっちゃったなぁ!」と握手をするように手を取られた。そしてひとしきり上下にぶんぶんと振ると、仕事の話に入ろうと一枚の紙を取り出した。設計図のようだ。
「まず、移動販売用の荷車の手配だね。調理できる設備も付けたいから、車は牛車にしよう。食器と調理器具と食材をしまえるようにして、あとは何か必要なものはあるかな?」
設計図を指で示しながら、どれが何かを説明してくれる。ここの板を上げるとカウンターになって、とかなり詳しく決めてくれているらしい。
「お品書きを上部に掛けたいですね、それと調理台をもう少し広くして、生地の粗熱を取れる台が欲しいところです」
「お品書きと調理台ね、いいよぉ。あ、イスラちゃんの許可証を提げる場所も必要だね」
要望をさらさらと紙に書いていく。とりあえずはこのくらいか、と暫定の字を書き足したところで、ユージーンが「そういえば」と話題を変えた。
「時期と場所はどうなりそうですか? できれば行き先で何が不足しているのかも教えておいてもらいたいんですが」
「あぁ、そうだね。最初の遠征は春頃、ガルニエの東に位置するピルキントン村に行ってもらおうと思ってる。そこの課題は持久力かな、体力が保たない人が多いんだよねぇ」
春ならライリーは弟子入りしている頃だし、ピルキントンは行商人が頻繁に行き来しているのでそう遠くもない。
「食生活はガルニエとそう大差ないでしょうし、問題があるとすれば炭水化物ですかね? 酸素不足で全身持久力が落ちているなら、ビタミンCと鉄分もあわせて摂取する必要があるかもしれません。ジャガイモの料理を考えておく必要がありますね」
「ジャガイモのガレット以外にも、品数は欲しいところだよな。マッシュポテトにして詰めるとかもいいんじゃねえか?」
「意見が出てくるのが早くて頼もしいよ。その調子で要望もどんどんお願いねぇ」
そう笑ったレオさんに、イスラが「では、僭越ながら」と手を上げる。
「簡易的なもので構いませんので、診療用に場所を確保したいのですが、ピルキントンでどこか提供していただくことは可能でしょうか?」
「あぁ、うんもちろん。各地に兵士の駐屯小屋があるから、そこ使ってもらっていいよぉ。じゃあ持ち運びができる大きさの看板……いや、垂れ幕みたいな布がいいかな。そのあたりも発注しておこうかぁ」
話し合いは順調に進んでいく。ライリーは現段階では特に要望は思いつかないようで、積み込む必要がある調理器具や必要になる食材の量を計算している。ある程度算出が終わってレオさんに見せると、レオさんは「おぉ、ここの子みんな仕事できるなぁ!」と感心していた。




