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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第十章
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会議は踊らず

 第何回目かの従業員会議を始める。今回の議題は当然お二人からの勧誘についてだけど、ちょっと厄介なことになった。


「俺はどっちも受けない方がいいと思う。今やってることで手一杯なんじゃねえか?」

「わたしは本を書くべきだと思うわ。そうすればもっと大勢の人に届くし、国外の人も助けられるもの」

「村に行ってお店を出す方が、オレはいろんな人が助かるように思えるなあ。国の外よりも、まずは国の中を見た方がいい気がする」


 きれいに意見が三つに割れてしまった。ここまで明確に食い違ったことはなかったので、どうしようかとこめかみを押さえる。とりあえず、それぞれの詳しい意見を聞いてみる。


「全員、それぞれなぜその意見になったかを聞かせてもらえませんか。まずはイスラからお願いします」

「わたしは、治癒魔法士の立場から見ているわ。より多くの人が本を読むことによって、共通の知識を持てるようになると思うの。それに、わたしたちが必ず困っている人のところへ駆けつけられるわけではないわ。そういった時に、自分たちで何とかできる方法を広めておくのは、とても意味のあることだと思うのよ」


 イスラは本の執筆派で、本を出すことによって私たちと同じ知識を持つ人を増やした方がいい、という考えだ。利点としては私たちが直接行くことのできない場所でも、人が助かるようになるということ。欠点は、字の読めない人には届かないことと、何か問題が起きても責任が取れないということだ。


「ライリーはどうですか?」

「イスラの言うことも正しいと思う。でもオレはまず、国の中から何とかした方がいいんじゃないかなって。正直、国の外とかにピンと来てないだけだけど、直接会ったわけじゃないのに解決方法だけ教えるのは、危ないんじゃないかなって思う。間違ったことを信じちゃっても、誰も違うって言ってくれないんだしさ」


 ライリーは移動販売派。直接様子を見ることで、確実に必要な知識を提供しよう、という風に考えているようだ。確かに自分たちの目で見に行くわけだから間違いはないが、問題としてはかなりの時間がかかってしまう点か。


「ユージーンは、どっちもやらないという意見でしたね」

「やるなってわけじゃねぇけどな、今は店の拡大が優先だと思うんだよ。今まったく新しいことに手を出しても、中途半端になっても意味がねえだろ? 知名度を上げて地盤を固めるべきだと俺は思ってる」


 ユージーンの意見は、今はどちらにしろ時期尚早。もう少し店を大きくして、店としての信用を得た方がいいということだ。


「なるほど、三人の意見は分かりました。そこで、私から提案があります」


 三人が不思議そうな顔をする。ここで新しい提案なんて出るのか、とユージーンが言ったのに、にこりと笑って返す。


「もういっそ、両方ともやっちゃいましょう!」

「……えぇ?」


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