打ち上げ
「それでは、ひとまずの一件落着を祝って――」
「乾杯!」
店の正面にできた酒場で、乾杯の音頭を取る。イスラが合流して中央からの帰り道、またしてもついてきたレオさんに酒場の話をしたら、ものすごい乗り気で「今から行こうよ!」と言い出したのが発端だった。
「この店いいワイン揃えてるねぇ! よーっしじゃんじゃん頼んじゃおうか、お会計はお兄さんが持ってあげるからさぁ!」
レオさんのテンションがとんでもないくらい上がっている。ユージーンの方を見ると、ため息をついて苦笑いをしながら「実はな」と話し出した。
「レオさん、かなり酒好きなんだよ。で、酔ったらかなりめんどくさい」
「それあなたが言います? いえまあ、何となくそうだとは思いました。酒場って聞いてから目が輝いてましたからね、分かりやすく」
そうしている間に、イスラが一通り料理を注文してくれる。エビのアヒージョ、マッシュポテト、チーズの盛り合わせ、ミックスナッツ……かなりの充実具合だ。ライリーはお腹にたまるものがいいだろう、そう思ってメニューを手渡す。
「ライリーは何にしますか?」
「んー……じゃあ、チキンソテーにする。エレノアも食べる?」
「いえ、私は大丈夫です。ついでにオレンジジュースも頼みましょうか」
ワイン、エール、蜂蜜酒が来るのと同時に、追加の注文をお願いする。イスラにワイン、レオさんとユージーンにエールを渡し、蜂蜜酒を少しずつ飲んでいく。
「三人とも、飲むの速くない? あれ大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないでしょうね、ほどほどのところで抜けましょう。お家まで送りますよ」
「エレノアちゃん! 飲んでるぅ~?」
うわめんどくさい、とライリーがうんざりしたように言う。飲んでますよ、とジョッキを掲げれば、レオさんは満足したようにチーズへと手を伸ばした。それをユージーンが横から奪って、ちょっと口論があった後に、イスラの「そんなに言うなら、相手を潰して自分のものにしてしまえばいいじゃない?」という提案で飲み比べに発展した。イスラがなかなかえげつないことを言い出すのは、見ていてちょっと面白い。
「オレさ、大人ってもっとかっこいいものだと思ってたんだけど……あぁはなりたくないなぁ」
「否定はしません、大人も結構情けないものですから。しっかり理想を持っていれば、ライリーなら素敵な大人になれますよ。あんな風に馬鹿なことをやるのも、大人の特権ですけど……あ、ユージーンが寝ましたね。今のうちに帰りましょうか」
ライリーを送ります、とイスラに告げて、二人で店を出る。外の風はかなり冷たい。もう秋も終わるような時期になってきたのだ。
ライリーがうちに来た頃は、まだ風もぬるかった。時間が経つのは、早いものである。




