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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第八章
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ビタミン不足

「候補が多すぎて絞りきれませんね……」


 翌日、ライリーが持ってきた手記を前に、私たちは頭を抱えていた。なんせ、手足のしびれだけじゃ該当する項目が多すぎる。しかも原因に共通点がほぼなく、限られた時間で解決するのは困難だろうと思われた。


「とりあえず、病魔が原因のものは除くとして……それでも候補は七つあるわね」

「あと、若い人がなりやすいのも外していいんじゃない? だってあのじいさんもなってるんでしょ」


 ユージーンがメモに線を引いていくが、それでも候補はまだまだ多い。とりあえず、とユージーンの隣に座り、紙を広げてペンを持った。


 さて、と書き始めたのは食事の内容。左側に貴族の、右側に庶民の食事を並べて書く。一般庶民の一日といえば、朝はパンかソバの実のお粥。昼はスープで、夜は主菜とパンとスープ。一方の貴族は、以前イスラが話してくれた通りの内容だ。正直、大きな違いはないどころか、貴族の方がバランスの取れた食事をしている気すらする。


 次に品目の書き出し。ソバ、小麦、キャベツ……と書いていくうちに、品目は庶民の方が豊富なことに気が付いた。ここに理由があるかもしれない、とイスラに聞きながら貴族の食事にも品目を書き出していく。


 結果、足りていないのは圧倒的に肉、ついで乳製品だ。でもタンパク質は充分摂取しているし、カルシウムの不足では手足のしびれには繋がらないはずだ。ううん、と首をひねる。


「貴族って、食ってるもんひとつとっても質がちげぇからなあ。俺らよりもよっぽど金はかかってんだろ」

「それはもちろんですけど、それにしたって原因がよく……ん、あれ?」


 はた、と思い至る。そうだ、私たち庶民と貴族は食べている物の質が大きく違う。それは、パンひとつとっても。


「イスラ、富裕層のパンは、真っ白なんですよね?」

「え? えぇそうね、白いパンよ。わたしは黒いパンも食べていたけれど、白いパンを好んで食べる人の方が多いと思うわ」

「その上で、お肉はあんまり食べない、と」


 これでようやく合点がいった。食べている物そのものというより、どちらかといえば質が問題だったのだ。


「原因は恐らく、ビタミン欠乏症ですね。脚気とも呼ばれます」

「カッケ?」


 ペンを置いて顔を上げた私に、ライリーが聞き返す。はい、と頷いて説明を始める。


「豚肉やうなぎ、小麦の胚芽にはビタミンB1が含まれてるんです。ですが小麦の場合、製粉の段階で胚芽を取り除いてしまうと、ビタミンB1もなくなってしまうんです。食生活から考えても、この線が妥当かと思います」


 ただこの場合、問題は解決方法にある。これはつまり、習慣を大きく変える必要があるということだ。果たして、あのデュランド公が応じてくれるのだろうか。


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