表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第六章
42/83

毒きのこ

 毒と聞いて、食べられそうなのにという疑問がわきあがった。素人にはきのこの判別は難しいと聞くけど、それは赤色や派手な見た目のきのこの話であって、茶色は問題ないと思っていたからだ。


「これはクリフウセンタケではなく、カキシメジです。少なくとも栗褐色の状態では見分けがつきにくいので、避けた方が無難かと」

「なんというか、おいしそうな見た目してますけど……」

「毒の有無に色は関係ないのよ、テングタケだって茶色だもの。反対に、色が派手でも食べられるきのこもあるわ」


 ハーヴェイさんはきのこを色の濃いものと淡いもので分け、「食べられるやつはあるか?」と聞いた。


「こちらのきのこはチャナメツムタケですね、食べられます。けれど、カキシメジとチャナメツムタケの同定は大変難しいものなので、確かとは言えません」

「どんな違いがあるんですか?」

「比較的分かりやすいのは色ね、カキシメジの方が濃い茶色をしていることが多いわ。けれど、場合によっては色に大きな違いがないこともあるの。カキシメジの方がにおいが良くないのだけど、人によっては気にならないくらいだから、見分けに自信がないのなら、似たきのこを見ても手を出さない方がいいわ」


 へえ、と声が漏れる。そう考えると、今朝のものも本当に紙一重だったわけだ。


「縦に裂けるきのこが安全っていうのはどうなんだ?」

「そちらも根拠はございませんね。緑の葉はすべて食べられる、と考えることとなんら変わりありません」

「それは……たしかに危険だな」


 ハーヴェイさんはふっと笑って、さてどうするかと多量のきのこを見つめる。


「どこかに捨てるってのもな。とはいえ食えないんじゃ仕方ないか」

「でしたら、ガルニエ女子寄宿学校にご提供いただけませんか? 教材になりますので」


 毒は使い道次第で薬にもなる。もしカキシメジが活用できない毒を含んでいたとしても、それはそれで実物を見られるというのは、絵で見るのと大きなちがいがある。イスラの説得に、ハーヴェイさんは「そうするか」と言った。


「うまく使ってもらえるんなら、それでいい。今晩の飯はどうにでもなるしな」

「じゃあ、私たちが寄宿学校に持っていきますよ。この後用事もありますし」

「いいのか? じゃあ頼む」


 イスラがきのこを受け取る。ハーヴェイさんの姿が見えなくなってから、そういえば彼の奥さんは気の強い方だったことを思い出した。豪快というかなんというか、言葉を選ばずに言えばかかあ天下だ。ハーヴェイさん、きのこ採りに行くと伝えていたなら、奥さんに怒られやしないだろうか。


「なんというか、意外だったわ。わたしてっきり、適当なことを言うなと怒られるものとばかり思っていたの」

「ハーヴェイさんはそういうことを考える人ではないですからね。とても優しい方ですよ」

「きっとエレノアちゃんが優しいからよ、あなたの人望だと思うわ」


 そんなことはないと思うのだけど、イスラが嬉しそうに笑うものだから、「ありがとうございます」以外に言葉は出てこなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ