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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第四章
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ふとした疑問

 セシリアさんにお届けに行く約束の日、ライリーはしっかりと道を覚えてきていた。いざという時のために、道順を書いたメモも持たせている。


「じゃあ、行ってきます」

「おう、いってこい。気をつけろよ」


 ユージーンに店を任せて休憩をしていた時、ライリーが出発していった。カゴも箱もキルトも、問題なく使えている。あまり心配はなさそうだ。


お昼ご飯のお皿を洗っていた時、カウンターの方からユージーンとお客さんである子どもとの会話が聞こえてきた。


「なあなあユージーン、ライリーどうしたんだよー」

「おー、新しく家まで飯持ってくサービス始めんだよ。お前も母ちゃんに言っとけよ、エレノアの店が新しいことやってんぞってな」


 ユージーンは、近所の子たちに人気がある。子ども相手だからと甘く見ていないのが、人気の理由だと思う。私はどうにも甘やかしてしまうから、ちょっとなめられてるかもしれない。


「宣伝が上手になりましたねえ」

「エレノアほどじゃねえぞ。……お」


 初めてのお客さんですね、とユージーンが声をかけたので、表の方をのぞく。真っ白な服を着た女性が、おどおどしながら注文をしていた。


「俺のおすすめはハムエッグですけど、どうします?」

「あの、えっと、ごめんなさい。たまご以外のものって、何がありますか?」


 それならといくつか提案しているうちに、生地を焼く準備を始める。休憩は終わりだ。


「オニオンソテーひとつ入ったぞー」

「はあい」


 生地を焼いて、オニオンソースを包んで四角に折りたたむ。それだけのシンプルなつくりだけど、それだけにとてもおいしい。トマト味のソースとタマネギの甘さがベストマッチ、と考えてから、「トマトってアメリカからヨーロッパに渡った食材だよね?」と思い至る。


あれ、チョコレートよりも前だっけ? 後だっけ? と、今まで気にもしていなかったことが気になりだす。そもそもここって、前世の世界に置き換えたら何地方に当たるんだろうか。ワインとかガレットとかから勝手にフランスみたいな国だと思ってたけど、ジャガイモとかあるしドイツかもしれない。でも名前は英語っぽい。もうわけが分からない。


 ううん、謎だ。考え事をしながらも、ガレットは焼きあがる。お皿に乗せてユージーンに手渡すと、お客さんは「この生地、材料はなんですか?」とたずねていた。


「ソバの実を粉にしたものです」

「ソバ……? そっか、だから色が……」


 その言葉を聞いて、好奇心から姿を見に行く。真っ白のベールに、同じく真っ白の修道服。黄色の糸で刺繍が施されており、一目で高級な服だとわかる。


 なるほどお嬢様か、と納得して奥に引っ込む。少しして、ユージーンがお皿を持って下がってきた。


「今のお客さん、きれいな服着てましたね。中央区のお嬢様でしょうか」

「ん? ああ、ちげえよ。あれはガルニエ女子寄宿学校の制服だ。お嬢様には違いねえだろうけどな」


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