より多くの人に
次に必要なのは、箱が重ねられる大きさのバスケットだ。カゴのような形にして編めばいいだろう。大きめに編めるよう、材料を多めに出しておく。
「ユージーン、箱に穴を開けてもらえますか。蓋の持ち手に一か所、箱の方に紐を通せる穴を二か所お願いします」
「おう、任せろ」
ユージーンはそう言って外に出ていく。焼き切って穴を作るつもりなんだろう。私も自分の仕事をしようと、カゴを編み始める。
底を広めにとって、縦長に積めるように組み上げる。蓋をできるようにしたいから、取り付けられるようにしよう。背負う形にすれば、ライリーも安全に運べるだろう。
五個くらいは積めるようにしておこう、と大きさを見ようとしたら、ユージーンが戻ってきた。
「なあ、穴の大きさってこんなもんでいいか?」
「ちょうどいい感じです、ありがとうございます」
ついでにと木札を渡して、一本線になるように焼いてもらう。ごく一瞬だ。
「魔法って、本当に便利なんですね。私も使ってみたかったです」
「ん? あぁ……まあ、便利は便利だけどよ。使えたところで、別に何もねえぞ。火起こしが楽なくらいで」
それが最大の魅力なんですよ、と笑う。ユージーンにとっては、大したことではないようだ。すぐに火加減を調節できるなんて、本当に便利だと思うのだけど。
ユージーンは「届けるの、二日後だったよな」と確認してきた。そうだと言うと、何やら考えている様子で宙を見る。
「二日後なら、奥さんも家にいるよなぁ」
「どうかしました?」
あぁ、と私を見て話し出す。
「奥さんもセシリアさんも、多分今回のこと、いろんな人に勧めるだろ。利用客、一気に増えるかもしれねえぞ」
「あ……確かに。ううん、最大で一日五件くらいに考えていたんですけど、増やした方がいいですかね?」
ユージーンはそれに首を振る。やめとけ、と静かに止められた。
「あんまり数が多いと、ライリーも大変だろ。慣れてきたら順に増やしていけばいい。距離も、まずは南区だけに限った方がいいだろうな」
「そうですね、そのあたりはまた相談しましょう」
カゴの端を処理して、次は蓋を編み始める。大きさも重さも、ライリーに問題ないように作れている。
「あの二人が新メニュー頼んだ次の日、「おいしいって聞いた」って客が大量に来るもんなあ」
「ありがたいことですよね。返す前から恩ができてしまいます」
デモンストレーションができるのは店としても助かるし、セシリアさんの家までは人通りも多い。ライリーの歩く姿が広告になってくれることだろうし、より多くの人の健康の助けになれるかもしれない。方向音痴の私ひとりでは、たとえ思いついても実行には移せないアイデアだった。




