会議
「ライリーが働き始めてから二週間が経ったので、会議を始めたいと思います!」
夏も終わりかけて涼しくなってきたころ、閉店後の時間を使って会議を始めた。ユージーンが紙を取り出し、ライリーは机の上を片付ける。突然のことなのに対応が早いのはさすがだ。
「それで、何の会議? 食器の位置変えるとか?」
「今回はですね、どうすればもっとお客さんにご満足いただけるかの会議です」
「満足……」と呟きながら、ユージーンは議事録を書き出す。
「二人とも仕事がとてもできるので、そろそろ新しいことを考えてもいい頃だと思いまして。今までと違うメニューや新しいサービスなど、思いついたことはどんどん言ってください。働く上で改善したい点でも構いませんよ」
うぅん、とうなりながら考えている。そのうちライリーが食器の位置を変えたいと申し出て、ユージーンからは肉系のメニューを増やしたいと意見が出た。肉の仕入れは要相談、食器の位置はすぐに応えるとして、やっぱりすぐには意見は出てこないか。
「ねえ、意見って現実的じゃなくてもいいの?」
「ええ、いいですよ。とりあえず言ってみてください。それなら、私はまずは甘めのおやつ系を出したいですね」
「現実的じゃねえのか?」
「そば粉の風味と甘いものの組み合わせが、その……かなり気を使わないとうまくかみ合いませんから」
クリームチーズなんかは合うけど、オレンジ系とかだと難しい。ここの柑橘類は酸味が強いから、はちみつをもう少し安く仕入れることができるようになれば試せるだろう。
それならとユージーンから酒の提供が提案されるが、さすがに却下した。お向かいでお酒を出すんだから、お客さんを食い合ってしまう。ユージーンが引き下がったところで、ライリーが遠慮がちに「オレ、やりたいことあるんだけど」と声を上げた。
「あのさ、お昼ご飯の時間に料理を届けに行くって、できないかな?」
「家まで行くってことか?」
「うん。オレはずっと家にいたんだけどさ、火は使っちゃダメだったから冷めたスープとか食べてたんだよね。だから、家にいて火が使えなくても温かいご飯が食べたいって人は、いると思うんだ」
「お前いい着眼点だなあ」と感心するユージーンに、ライリーはへへっと笑って頬をかく。そして黙ったままの私に、「ダメだったかな」と言った。
「難しいとは思うし、お金もかかっちゃうから、できないかなって思ったけど……」
「いえ、そうではなく。すみません、すぐに返事ができなくて。その案、素晴らしいです。どうにか実現したいですね」
「やるなら何が必要だ? 今より皿は増やす必要があるし、道も覚えねえとな」
「道なら、オレ覚えるの得意だよ。ここから西区の端っこまで、三十分で行ける道知ってるし」
ライリーの仕事にするとしても、注文をくれた人と商品を照らし合わせる必要がある。しかし何より、食べ物を温かいまま運ばなくてはいけない。宅配ピザを入れておくような物が必要不可欠だ。
総合ポイントが100を超えました!
まさかこんなにも評価をいただけるとは思っていなかったので、かなりびっくりしています。
ブックマーク、評価をしてくださるのももちろん嬉しいですが、何より読んでいただけるのが筆舌に尽くしがたい喜びです。
完結までお付き合いのほど、よろしくお願いします!




