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異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第二章
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う巻き

 数日後の定休日、ユージーンとレシピ開発をしている。ユージーンがうなぎを買ってきてくれて、泥抜きは充分とのことなので、まずは例のゼリー寄せを作ってもらうことにした。


「氷も買ってきたから、冷やしで食うぞ。まずはさばいて、骨を取り除く」


 慣れた手つきでうなぎを固定し、すいすいとさばいていく。私の知るゼリー寄せはぶつ切りだったので、この時点でなんだかほっとしてしまった。


「で、ひと口大に切ったら鍋に塩水入れて、レモン絞って煮込む。今回は時短するけど、じっくり煮込んだ方が定番だな」


 充分に火が通ったものを器に移して氷に突っ込み冷やすと、煮汁が煮こごりになった。


「これで酢をかけたら完成だ。……まあ、見ての通りだよ」


 おそらくはうなぎに含まれるコラーゲンなどが固まったんだろうけど……なんか、拒否感がすごい。見た目から味を想像したくないというか、勝手に泥っぽさを想像してしまうというか。


 しかし、食べないわけにもいかない。これも異文化交流だから。恐る恐る口に入れる。


 ……。うん。いや、うん。いや……下処理がされている分、泥臭さはない。でもその、なんというか、……冒涜的な味がする。冷えたうなぎの脂が口にまとわりつくし、ゼリーはかなり生臭い。なんで? 泥抜きしてるならにおいって抜けるもんじゃない?


 思わず口元に手を当ててうつむいてしまう。そんな姿を見て、ユージーンは焦ったようだ。


「いい、無理すんな! そうだよな、うなぎ初めてだもんな! 俺だってガキの頃は食いたくなかったくらいなんだ、大丈夫だから!」


 背中をさすられるが、口に入れたものを吐き出すのは信条に反する。頑張って飲み込むと、「大丈夫か……?」と水を手渡された。


「ユージーン、これは店では出せません。原因は味だけではないんですけど、ちょっとその、ええと、刺激が強すぎます」

「だよな、お前の顔色見ればわかる。で、どうすんだ?」

「味をつけましょう。うなぎの生臭さをごまかします」


 うなぎの調理法はさまざまだが、やっぱりここはかば焼きだろう。あのタレで味をつければ、少しはマシになるだろうから。


 さばいてもらったうなぎの残りを使うとして、タレを作っていく。醤油もみりんも料理酒もないので、魚醬とはちみつと白ワインで代用する。魚醬はかなりしょっぱいので、醤油よりも少なめにとる。


 煮詰めてタレにする間、うなぎを白焼きにする。この後にタレをつけて本焼きするのだけど、うなぎは元々「串打ち三年、裂き八年、焼きは一生」ともいわれるほどに技術習得が難しい。そのあたりはご容赦いただきたいものだ。


「今のうちに卵を……あれ?」

「どうした?」

「卵の数が合わないんです。ユージーン、何か知りませんか?」


 卵がふたつ、昨日の夜から減っていた。ユージーンも何も知らないようだし、数え間違えたのかもしれない。まあいいかとたまごを溶いて、フライパンを温める。


「ここで焼けたうなぎにタレをつけて、オムレツの中に入れます!」

「合うのか?」

「合う、はずです。うなぎをたまごで巻くのでう巻きですね」


 どうぞ、と完成したオムレツ風のう巻きを差し出す。ユージーンはひと口食べると、「うめぇ!」と笑った。


 かくして、うなぎ入りオムレツが完成。手間はかかるが数量限定販売として、お昼のメニューに加わることが決まった。


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