表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも体は資本ですから!  作者: 魚蟹 類
第二章
13/83

今後のこと

 結局のところ、睡眠不足と直射日光が原因ということだった。ユージーンに叱られて縮こまった彼は、小さく「すいませんでした」と謝っている。


「まあまあ、ユージーンも落ち着いてください。原因が分かったのだから、あとは対策もできますよ。休むときは涼しい場所で。日中に体力を使うときはしっかりと眠る。水分補給は塩分も一緒に。ね、これで解決でしょう?」


 ユージーンは溜息をひとつこぼして、「まあな」と頭をかく。


「とにかくだ、自分のことは自分で気を使え。周りは平気そうだからとか考えるなよ、お前の基準で考えろ」

「は、はい! わかりました!」


 いい返事だ。体調不良で他人を基準にしていたらキリがない。我慢は体に良くないし、その結果が今日の状態なんだから、これからはほどほどを心がけてもらおう。


「それじゃあ、俺、帰ります。あの、本当にありがとうございました」

「大丈夫か? なんなら送るぞ」

「いえ、平気です。……今度はガレット食べにきます」


 そう言ってテッドさんは帰っていった。本当に大丈夫か気になるところだが、あまりしつこく食い下がるのも迷惑かもしれない。


「ま、北区の長屋ってことはそんなに離れてもないし、人通りも多いし。よく眠れたみたいだし問題はねえか」


 そうこぼしたユージーンに、ひとつ疑問をぶつける。


「そういえば、ユージーンはどうして処置ができたんですか? ガルニエでは対処法なんてあまり周知されていませんよね」


 ユージーンはきょとんとしたあと、「ああ」と頷いた。


「俺、ガルニエの出身じゃねえからな。リシャールっていう、南の港町の生まれなんだ。知ってるか? 太陽と月の神が生まれた海のあるところだ」

「聞いたことがあります。夏はかなりじめじめすると……あ、そっか」


 リシャールの町は、太陽と月の神が生まれてから最初に足をつけた地と言われている。気候としては温暖で、海の影響もあってか湿度が高い。観光地としても人気が高く、富裕層のバカンスとしては定番、らしい。


 ユージーンがそこの出身なら、今日のガルニエよりも熱中症になりやすい環境で生きてきた、ということだろう。そりゃ手慣れてるわけだ、と納得する。


「まあ、リシャールじゃ海も川もでけえからな。湿気にやられるやつは珍しくなかったんだ。大体が塩舐めてなかったり前日に寝てなかったりしたもんだから、そんなやつは大馬鹿だって近所のばあさんによく怒られてたぜ」


 遠い目をするユージーンに、ふと思いつく。そんなに熱中症が発生するなら、対策として食べられる食品もあったんじゃないか? 気になって聞いてみると、ユージーンは何でもないように答えた。


「ああ、うなぎだな」

「なるほど、うなぎ……え、うなぎですか!? 高級品では!?」

「なんだよ、定番だろ。うなぎのゼリー寄せ。川のある地域じゃそう高いもんでもねえぞ」


 オルコットには自然の川がない。生活用水は井戸から汲んで、人が作った用水路に流していた。だからうなぎなんて高級品だったし、発想もなかった。なんか和食のイメージも強かったし、西洋っぽいここにはないものとばかり思いこんでいた。


 しかし思い出した。確かにあったのだ、うなぎのゼリー寄せが。イギリスの郷土料理だったと思うが、……うん、なんせイギリスの料理だから。いや、イギリスが悪いわけじゃないと思う。スコッチエッグとかおいしいし。


「ちなみにそれっておいしいんですか?」


 ユージーンが黙って目をそらす。そんなことだろうと思った!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ