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魔法陣の向こう〜ポリアンナの物語〜  作者: サンガツワサコ


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転換

ハリソンは辺境ノズル領を越えて隣国のメヌアまで商隊について出向いていたという。


ただ、おおじいじの一件があってから、ディプソーは商隊に必ず魔術師をつける様になったとかで、魔法の手紙が届く。


「ポリアンナ様とは直接お話したい。王都に戻るまで待っていてほしい」


という回答が来た。


えー?何、この、焦らしプレイ?


魔術師が一緒に居るからこそであるが、この手紙は、封書で届いた。

綺麗に畳まれた便箋に、綺麗な文字。そして、そこにメヌアに咲いていたであろう、赤い花が添えられていた。


花まで添えて、まさか断られることはないと思うけど。


おおじいじの猶予は間も無く終わる。

パパの、ポリアンナ男性恐怖症作戦が貴族に有効かどうかはわからないが、誘拐事件は明るみになったことで婚約の申し込みはかなりソフトな文面に変わったらしい。貴族が平民に向けて半ば強引な話の進め方をしよう、という気配は無くなったらしく、パパは男性恐怖症を理由に時間稼ぎをすることにしたようだ。


ポリアンナには今、研究室への往復時に女性の護衛が付けられている。


それからしばらくして、師匠がなんと、魔法爵に叙爵された!


王族でもない女性が魔法爵を叙爵されたのは初めてだというが、王家はヴィンセント様の魔力を外に出したくないだけなのではないか?と、ポリアンナは思う。


魔法爵になったとしても、師匠の生活に変わりはなかった。淡々と魔法陣の研究に向き合っている。

弟子としてそばにいるポリアンナは、主に師匠の研究の補佐をしているが、疑問に思うことや初めて観る技術について尋ねる機会がたくさんある。研究室は学校では知り得ないことの宝庫だった。


ポリアンナはとても充実した生活を手に入れた。

求婚もなく、魔法陣の勉強が出来る…幸せ!


しばらくして、師匠は新たな弟子を引き受ける事になった。


そろそろメリッサ様を独立させて次の弟子を育てろと王宮魔術師たちから言われ続けていたのだとか。


もう、バッタバタである。


元々弟子を取らないでいた師匠だが、筆頭の肩書きを押し付けられてしまったがために、断りきれなかったようだ。


メリッサ様がこの研究室で担っていることが多すぎて、ポリアンナは引き継ぎの資料と格闘している。


新しく入ったレオンハルトという青年は飛び級で魔法学校を卒業して、今年17歳だという。

王家の黄金色ではないけれど、子爵家出身とは思えないほどの魔力量をしていて、実験でコキ使えそうだなぁ、なんて思ってしまった。


頭も良さそうで、魔法陣と権利の管理などは彼に任せて良さそうだ。平民の女より、子爵家の男子の方が、取引には有利だろう。どちらにしたって、若いことに変わりはない。


独立しても頼ってくれて良い、と言うとても心強い言葉をくれたメリッサ様は、「筆頭魔術師補佐」という役職をむしり取って来た。

研究室には居なくても、フォローしてくれる気満々で、師匠への愛を感じる。素敵な先輩だ。


しかし、レオンハルトが弟子入りした事で、ポリアンナの男性恐怖症が緩和したのでは無いか、という疑惑が浮上してしまった。パパが焦り始めている。


そんなところに、再び誘拐事件発生である。


ポリアンナではない。


師匠が攫われたのだ。


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