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アークライセンス  作者: 植伊 蒼
第7部-始祖の末裔-
203/259

2章『真実を求めて』:4

 シミュレーターの前で、装置が起動するまでの時間を使って飛鳥達は話し合いをしていた。

「んじゃ、どんな形でやります?」

 飛鳥は座席型のシミュレーターに片手を乗せて、一葉に向かってそう尋ねた。

 顎に手を添えて思案する様子を見せた一葉は、閉じていた目を開いて答える。

「そうですね……。では、今回は私もアストラルを使います。シミュレーターですから、同じ機体でも出せますしね」

「アストラルを……!?」

 驚いた声を上げたのは飛鳥だったが、その場にいた隼斗と泉美の二人も、少なからず驚いた様子だった。

 この研究所のメンバーの中で、アークの操縦能力が最も高いのは一葉だ。実際の戦闘における戦術的な面では泉美などが勝るだろうが、ことアークの扱いという点に関しては、ライセンスを持たないにもかかわらず一葉が突出している。

 普段の戦闘シミュレーションの際は、個々のパワーバランスを保つという理由から、かなり能力的に制限の大きいアナザーアーク・タイプリーフという機体が彼女に割り当てられていることからもわかるだろう。

 その関係で一葉はタイプリーフを使用する事が多いのだが、彼女が最も上手く扱える機体こそ、飛鳥がライセンスを持つアストラルなのだ。

 元々一葉はアストラルのパイロット候補だった。だがアークが見せる悪夢と、自分がアークを操った結果それが現実になってしまう可能性とを恐れて、彼女はパイロットになることを拒否したのだ。

 つまりは、一葉はそもそもアストラルに一定の適正がある。シミュレーター上ではあるが、一葉が扱うアストラルと戦闘をして、これまで誰も勝った事が無いということからも、その圧倒的な強さが伺えた。

「私はしばらくアストラルを使ってシミュレーションはしていませんが、それを差し引いても今のアスカくんなら十分勝てると思いますよ。当然やるからには私も全力を出しますが、それでもです」

「そう……ですかね?」

「ええ。まぁ、ものは試しです。久しぶりに、アストラル同士で対戦と行きましょう。勝つことができれば、少しは自信にもつながると思いますし」

 一葉の意図を理解して、飛鳥はその提案を受け入れた。

「わかりました。じゃあ、お願いします」

「はい」

 一葉の返事と共に、シミュレーターの起動が完了する。

 座席型のシミュレーターに腰掛けて、二人は仮想世界へと向かった。



 乾いた風が吹きすさぶ荒野の渓谷。そこに相対する2機のアストラル。

 どこか奇妙な光景の只中で、最初に響いた声は一葉のものだった。

「アストラルは久しぶりです。少し感覚は違うのですね」

 両手を交互に握ったり開いたりしながら、感慨深げな様子の一葉。

「さて、それでは始めましょう。追加される予定のオーバークロックの拡張システムはまだ実装されていませんが、特に問題はありませんよね?」

「問題ないっす。そっちはまた、自分で適当に確認しとくんで。そんじゃ、やりますか」

 その言葉と共に、飛鳥が操るアストラル――飛鳥機は両手にフォトンブレードを構える。

 応じるべく、一葉の操るアストラル――一葉機は2丁のフォトンライフルを掲げた。

 開始の合図はない。どちらかが動けば、それが合図となる。

 シミュレーターが吹かせる疑似的な風が凪いだとき、その無音を払うように飛鳥機が横方向へと飛び出した。

 直後、その場所を光弾が突き抜ける。

「なるほど、見えますか」

 恐ろしい程のスピードと正確さでフォトンライフルを発射した一葉は、感心したように呟きながら改めて銃口を飛鳥機に向け直す。

 大きく旋回しながら距離を離す飛鳥機に向け、その進行方向に光弾を連射。動きを制限しつつ、自身も飛鳥機へと一直線に突撃した。

 飛鳥機は敢えて大きな回避はせずに、ほぼトップスピードを維持したまま最低限の光弾だけをフォトンブレードで弾いていく。

 フォトンライフルを絶えず連射しながら接近する一葉機だったが、スピードを落とさず最小限の回避を続ける飛鳥機に対しては、じりじりと距離を詰めることしかできない。

 大きく避けるならば、追う側はその旋回をショートカットする軌道で距離を詰められるが、飛鳥機の挙動はかなり直線に近い。同機体であるが故に機動力に差はなく、追い追われる状況に動きが生まれない。

 イニシアチブは一葉機が握っているが、飛鳥機の動きはそれを潰すものだった。

 追う一葉機か追われる飛鳥機か、どちらが相手の動きを制しているのかが曖昧になる。超高速度でのドッグファイトでありながら、状況の停滞を双方が感じた。

 直後、動きを生んだのは飛鳥機だった。

 進行方向にビームブースターを噴射し、前方へ超音速で飛行していた状態から、一瞬にして反転し後方へと亜音速で突撃した。

「せいっ!」

 引き金を引く間すら与えずに一息に接近し、流れるような動きでフォトンブレードを振り払う。

 だが青白く光るその刀身は、一葉機の装甲を掠めることすらしなかった。

 ビームブースターを瞬間的に使用することで、上方向に跳ねるようにして斬撃の軌道から逃れた一葉機。すれ違いざまに両手のフォトンライフルを飛鳥機に向けた。

 間髪いれずに放たれた光弾が機体の装甲を掠める中、飛鳥機は再度反転して一葉機に切りかかる。

「そう来ますか」

 短く呟いて、一葉機は飛鳥機に背中を向けて一気に加速した。

 一方のフォトンブレードだけをフォトンライフルに持ち替えて、飛鳥機も即座にその後ろを追いかける。

 一瞬にして攻守が逆転した。

 飛鳥機は一葉機の後方にピタリとつけながら、片手に持ったフォトンライフルを乱雑に連射する。先ほどの状況のトレースのようで、それ故に一葉も先ほどの飛鳥と同様に、大きな動きで攻撃を回避しようとはしなかった。

 だが追い掛け始めた時点での速度には大きな差がある。

 数発の牽制で動きを制限しながら、飛鳥機は一葉機を追い抜くように一気に接近、背後からフォトンブレードの斬撃を放った。

「くっ……!」

 機体を捻りつつ大きな曲線を描く軌道で攻撃を回避した一葉機だったが、飛鳥機はビームブースターを噴射してその懐へと一瞬でもぐりこんだ。

「はぁッ!」

 掛け声とともに、飛鳥機は速度に任せたとび蹴りを放つ。

 しかしその足先が機体のコアに叩きつけられる直前、一葉機が慣性を無視した挙動でそれを回避した。

 進行方向と直角に急加速しながら、一葉機は両手に持ったフォトンライフルを、とび蹴りを放った姿勢のままの飛鳥機に向ける。

「これは重いですよ」

 シュン――……、とわずかに銃口に光が集まり、その直後、通常とは比較にならない高出力の光弾が凄まじい速度で発射された。

 フルロードモード。武器内にエネルギーをチャージし、一気に解放して発射する高威力の弾丸だ。

 重い発射音を響かせて、一対の光弾が空を割り裂き駆け抜ける。

 辛うじて一方の軌道からは機体を逃がすことのできた飛鳥機だったが、もう一方の光弾は回避が間に合わない。吸い込まれるように突っ込んでくる光弾をかろうじてブレードで受けとめたとき、強烈な衝撃が腕から機体全体を貫いた。

「ぐうぅ!?」

 小型の武器から放たれたとは思えない重圧に、飛鳥機は大きく体勢を崩されかける。

「そこです!」

 見越していたように、一葉機が両手をフォトンブレードへ持ち変え真上から突撃してきた。

「――――っ」

 飛鳥は短く息を吐く。崩されそうな体勢を無理に留めようとはせず、着弾の衝撃を受け流しつつも利用し、下方へと加速する。

 無理に押し留めていればすぐに追い詰められていただろうが、敢えて後方に流されることで彼我の速度差はわずかながら小さくなっていた。

 そこに生まれたわずかな時間を利用し、飛鳥機は速度をそのままに、錐揉み回転する機体の姿勢だけを正す。全速力で迫りくる一葉機に、右手のフォトンライフルをすばやく向けた。

 その動作を視認した一葉機は、フォトンブレードを前方で交差させて防御の構えを取る。引き金が引かれれば、一撃を弾いて一気に近接戦闘を仕掛ける算段だった。

 だが飛鳥機はフォトンライフルの銃口を向けたまま、それを撃たない。

 防御の姿勢を取ったことでスピードの落ちた一葉機は、次に仕掛ける攻撃への溜めを行う動作のまま、抱え込んだ力を放つ前に肉薄してしまう。

 中途半端な速度で切りかかってくる一葉機の斬撃を、飛鳥機は片手のフォトンブレードで簡単にいなす。

 重光子刃同士を弾き合わせすれ違った矢先、飛鳥機は脇の下から差し込むようにフォトンライフルを発射した。

「ふっ!」

 短い呼気と共に、襲い来る光弾を薙ぎ払う一葉機。光弾が弾け、光が広がる。

 直後に飛鳥機がビームブースターを噴射して、一気に一葉機へと飛びかかった。

 繰り出されたのは機体の速度に任せた単純な突き攻撃だったが、意図していたかはともかく、光弾による目くらましの直後であったため一葉機の反応が遅れた。

 回避ができず、両手のブレードでなんとか刺突の一撃を防いだ一葉機。しかし飛鳥機は即座に腕を引き、もう一段ビームブースターを噴射して亜音速の飛び蹴りを放った。

 フォトンブレードのガードをくぐり抜け、痛烈な一撃が腹部へと直撃する。

 大きく下方へと吹き飛ばされる一葉機に向け、飛鳥機は続けざまにフォトンライフルを向けた。

 銃口が短く発光し、直後にフルロードモードの強力な重光子弾が放たれた。

 高速で落下する一葉機に、その数十倍の速度で重光子弾が食らいつく。

 吸い込まれるようにコア部へ着弾した重光子弾は重い音と大きな光を放って、一葉機へさらなる重圧を叩きつけた。

 地鳴りにも似た轟音と共に、一葉機が荒野の大地へと叩きつけられる。地面に激突しただけで、まるで爆発のように大きな土煙が舞い上がった。

 飛鳥機は一葉機の落下点を見つつ、両手をフォトンブレードに持ち替えて油断なく構える。

 フォトンライフルのフルロードモードは、発射後しばらく次を撃てなくなるというデメリットがあるが、ハンドストライクの最大出力などとは違いその時間は短い。また負荷がかかるのは、マニピュレータではなくフォトンライフルの方であるため、発射直後もフォトンライフル以外なら使用が可能なのだ。

 土煙の向こうで、身体を起こす機体の影が見えた。

 改めて構え直す飛鳥機の視線の先、立ち上る土煙を内側から貫いたプラズマバズーカの雷弾が高速で飛来する。

「ッ!?」

 フルロード時のフォトンライフル以上の弾速で襲いかかる雷弾を間一髪で回避した直後、続けざまに二本の重光子ビームが襲いかかってきた。

「ビームブースターだと、ここでか……ッ」

 回避しようと加速する飛鳥機を目がけ、二条の閃光が大きく薙ぎ払われる。

 これはビームブースターの砲撃モードだ。威力は低いが精度が高く、また照射時間が長い上に機体の向きとは無関係に大きく薙ぎ払うこともできる。

 まるでしなる光の剣のように振り回される重光子ビームから、全速力で逃げる飛鳥機。だが振り回す速度にも、照射時間にも限界はある。

 避け続ければ――、そう思っていたからこそ、回避は直線的だった。

 土煙が、再び内側から薙ぎ払われる。

「なっ――!?」

 直線に逃げる飛鳥機の進行方向、ぴたりと重なる位置に向けて、さらにプラズマバズーカが放たれたのだ。

(機体の向きとは違う! ビームブースターはフェイクか!?)

 無意識に一葉機はビームブースターの照射方向を向いていると思っていた飛鳥。だが実際には飛鳥機の進行方向へ偏差撃ちをすべく、プラズマバズーカの2射目を構えていたのだ。

 状況を認識して、しかし攻略法に思考が至る前に、襲い来る雷弾は眼前へと迫っていた。

「づっうあああ!!」

 叫び声を上げて、ビームブースターを最大出力で噴射する。

 一気に直角にターンした機体の足先を雷弾が掠め、一瞬にして黒いカーボン装甲がむき出しになる。

 しかしそれだけのダメージで、飛鳥機は同時に襲いかかる二つの攻撃を回避できた。

 それでもなお、息つく暇は与えられない。

「そこです!」

 一葉機は両手に持ったフォトンライフルの一方から、フルロードモードの強力な重光子弾を放つ。

 ビームブースターによる急加速をした飛鳥機に対する偏差撃ちは、またしても恐ろしいほどの精度で軌道を重ねていた。

 ビームブースターのリチャージまでにはタイムラグがある。それを見越した、回避不能の一撃。

 飛鳥は歯を食いしばって、無理矢理に腕を振り払う。

 突っ込んでくる重光子弾に、右のフォトンブレードの刃がぶつかった。

 だが無理矢理に間に合わせただけの防御では凌ぎきる事はできない。強烈な重圧に、攻撃を受けとめたはずの重光子刃が、腕ごと後ろに大きく弾かれてしまった。

 そこに全速力で直進しながら突っ込んでくる一葉機から、さらなるフルロードモードの重光子弾が放たれた。

「くっそ――――!!」

 銃口のわずかな煌めきと共に、機体の速度を遥かに上回る速度で打ち出された光弾。

 さらに光弾の軌跡を追う一葉機が、一瞬にして両手をフォトンブレードに持ち換えるのが見えた。

 光弾受けとめられるのは左腕のみ。だがこちらまで弾かれれば、一葉機の追撃を捌く手立てが無い。

 ならば手段は、

「づうあああああああああああああああああああ!!!!」

 一つのみ。

 飛鳥機は左手を大きく後ろへ引き、握っていたフォトンブレードのグリップを離す。

 武器が変形し腕部の格納状態へと戻るのも待たず、溢れる光を掴んだ掌を前方へと突き出した。

「スーパーノヴァッ!!」

 掌から溢れる光が一層大きくなり、爆発のような閃光を放つ。

 最大出力のハンドストライクをあたかも盾のように前方に掲げ、飛鳥機は一気に前へと飛び出した。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 広がる光と重圧で重光子弾を掻き消し、そのままの勢いで一葉機へと真正面から突撃した。

 重光子弾を突き破って一本の光の矢の如く直進する飛鳥機。

 驚愕を抑えきれずに思わず硬直しそうになる一葉。彼女が操る機体の目前に、鋭い閃光が広がる。

「っ、ですが!」

 止まりかけた機体を凄まじい集中力で動かし、左のフォトンブレードをハンドストライクを展開する飛鳥機の掌目がけて振り下ろした。

 ハンドストライクの最大出力はもはや壁に近い重圧を放つものだ、ただの斬撃では触れることすらかなわない。

 だから一葉の狙いはそこではなかった。

 光刃を押し返そうとする力を支えに利用して、飛鳥機の突進軌道にあった機体を上方向に跳ね上げた。

「やぁっ!」

 普段の彼女からは想像もできない力強い掛け声とともに、一葉機が空中でジャンプするように飛び上がる。予期しない回避に、飛鳥の反応が遅れた。

 下方を駆け抜けようとする飛鳥機の背中へ、一葉機は機体を捻ってフォトンブレードの斬撃を浴びせた。

 接触点の重光子が炸裂し、ぶつけた速度以上の大きな衝撃が飛鳥機に叩きつけられる。

「ぐうっ……」

 大きくよろめきながらも、なんとか機体を反転させる飛鳥機。そこに間髪いれず一葉機が飛び込んだ。

 両手のブレードで切りかかる一葉機に対して、飛鳥機はスーパーノヴァを発動した反動からブレード一本で対応しなければならない状況だった。

 歯噛みする飛鳥は、しかし冷静さを失わずに一葉機の動きを注視する。

 自らの集中力が高まる実感と共に、一葉機の攻撃のイメージが鮮明に浮かび上がった。

 斬撃、刺突、さらに斬撃。

 休む間もなく放たれる無尽の刃を、飛鳥機はたった一つのブレードでいなし、弾き、押し返す。

 じりじりと後退しながらも、倍の手数で襲いかかる連撃を飛鳥機は凌ぎ続けていた。

 刃を交わし、火花のような重光子の炸裂光を散らし続けて十数秒、飛鳥機の左腕の冷却が完了した。

「せッ!」

 一葉機が繰り出してきた大上段の一撃を全力で横に薙ぎ払うと、素早く掴んだフォトンライフルを一葉機に向け発射した。

 弾かれたのと逆のブレードで辛うじて光弾を受けとめる一葉機。

 飛鳥機が構わず連続でフォトンライフルを撃ちこむと、防御の間に合わなかった光弾の内数発が一葉機のコアに直撃する。

 かさむダメージに、一葉機は慌てて距離を取ろうと後方へ加速した。

「もらった!」

 だが飛鳥機はそれ見切り、一葉機の軌道に射線を合わせてフルロードモードのフォトンライフルを撃ちこむ。そしてすぐさま両手の武器をそれぞれ入れ替え、左にフォトンブレード、右にフォトンライフルの構えで一葉機に向けて突っ込んだ。

「っ、防ぐわけには――」

 防御をすれば、弾かれた拍子に一気に距離を詰められてしまう。そう判断した一葉は、防御ではなく回避を選択する。

 ビームブースターを噴射し、回避軌道を一瞬で90度捻じ曲げる。

 さらにその回避方向に、武器を持ち換えた飛鳥機の重光子弾が襲いかかって来た。一葉の射撃ほどの精度ではないが、それでも直撃は免れない弾道。

 だがそれが通常の重光子弾であると即座に見切った一葉機は、フォトンブレードで素早く薙ぎ払った。

 軽い衝撃が腕に伝わるが、弾かれるような事はない。

 すぐさま身構える一葉機。しかし眼前の飛鳥機は重光子弾が弾かれたのを見た瞬間に、次の手に移っていた。

 構えられた腰のビームバズーカ。

「――――っ!」

 慌てて一葉機がビームバズーカを構え発射した瞬間、飛鳥機のそれから高速の雷弾が放たれる。

 両者の間でぶつかり合った計4つの雷弾が炸裂し、視界が白く焼きつく程の強烈な閃光をまき散らした。

 眼前を覆うプラズマのカーテン。

 それを、

「そこだァッ!!」

 飛鳥機は迷わず突き破った。

 高熱に晒された機体のダメージすら鑑みず、飛鳥機は超高速で一葉機へと接近する。

 慌ててフォトンブレードを構える一葉機に、飛鳥機は肩をぶつける勢いで肉薄し、居合斬りのように左のフォトンブレードを振り上げた。

「くっ!」

 辛うじて斬撃の軌道にブレードを割り込ませた一葉機だったが、予想外に強い力に大きく押し込まれてしまう。

 ブレードをクロスさせたまま後ろへ吹っ飛ぶ一葉機に向け、飛鳥機は右のフォトンライフルを向けた。

 銃口が微かな光を放ち、直後に強力な重光子弾を射出する。

 発射の寸前でそれがフルロードモードであることに気付いた一葉は、ビームブースターを使用した回避を選択した。

 光弾の射線から逃れるように急加速した一葉機に向け、飛鳥機もまたビームブースターで追いかける。

 本来なら、どちらも同じ速度である以上、追いつくことはできなかっただろう。

 だが飛鳥機は追いついた。

 そう、一葉機はつい先ほどビームブースターを使用している。その時は最大出力ではなかったが、残されたエネルギー量は飛鳥機よりも少なかったのだ。

 両手の武器を機体各部に戻し、光の溢れる掌を構え再び肉薄する飛鳥機。

 一葉機も即座にフォトンブレードを腕部に戻し、掌に力を込める。

 視線が交差する。

 宣言は、同時だった。

「「スーパーノヴァ!」」

 二機のアストラルの両掌から、眩い閃光がほとばしる。

 同時に放たれた最初の一撃がぶつかり合い、両者の腕が強烈な力によって即座に後方へ弾かれた。

「ここです!」

 腕が弾かれる勢いを全身の捻りに利用して、一葉機は素早く逆の手を突き出す。

 飛鳥機へと吸い込まれるように放たれたハンドストライク。

 しかしそれは、飛鳥機の装甲をわずかに掠めただけだった。

 光の奔流を紙一重でかわした飛鳥機は、最後に残った閃光を握りしめ、一葉機に向け振り抜く。

「もらった!!」

 直後、コアに叩きつけられた掌から閃光が炸裂し、視界の全てを埋め尽くした。

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