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ギャンブル中毒者が魔王討伐!?~ギャンブルスキルだけで魔王討伐~  作者: がりうむ
1章

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4/15

スキルサポーター

俺はふらつきながら街の外れへ向かった。

やがて草原へ続く道が見える。

街道から少し外れた草むらへ腰を下ろした。

風が草を揺らす。

鳥の鳴き声だけが静かに響いていた。


「さて……」


俺は空を見上げる。


「はぁ。どうするかな~」


せっかく異世界に来たのはいいもののやることがない。

ふと、先ほどもらった冒険者カードを出してみると、俺の名前の横にこう書かれていた。


《レベルアップ可能》


「うおっ!?」


思わず変な言葉が出る。


「これはアツいぞ」


俺がその文字を押すと、Lv.1と書かれていた欄がLv.3と書き直された。

そして俺の体から力が湧いてくるような気がする。


「これがレベルアップか……」


下のスキルの欄を見るとまたもや何かが書かれていた。


スキル《ギャンブル》Lv.1 《レベルアップ可能》


「おおこれもか!」


俺が再び文字を押すと、今度は何も感じない。


「あれっ?」


だが、紙には


《ギャンブル》Lv.3


と書かれている。


「なんだ?何も感じないぞ?」


すると、


――ピコン。

電子音が鳴る。


《サポート起動中……》


文字が出てくる。


「サポート?」


《起動完了。こんにちは》


急に画面の中のやつが話し出した。


「え、え?」


俺は混乱した。


《ご安心ください。私はあくまであなたのスキル《ギャンブル》のサポーターです》


「お前……何なんだ?」


数秒沈黙し、画面に文字が浮かぶ。


《私はあなたの魔力から生成された補助人格です。基本的には《ギャンブル》の管理とあなたのサポートをします》


「はいはい。スキルのサポーターねぇ」


《はいそうです》


「じゃあ聞く」


「寿命は本当に減ったのか?」


《はい》


短い返答だった。


「どれくらい?」


《ぴったり一か月です》


「それだけ?」


《それだけです》


「……見えないのか?」


《寿命は見ることができません》


「なんでだ」


《このスキルの能力外だからです》


「ならこのスキルの能力は何なんだよ」


《このスキルの能力は、名前の通りギャンブルをすることで運命を決めることができます。ちなみに設定することで、ゲームを変更することができます》


「えっ? ゲーム変えれるの?」


《はい。コイントスやルーレットなどに自由に変えることができます》


「最初から言えよ……」


《それは無理です。私は、《ギャンブル》スキルがLv.3になれば追加されるので》


こいつ……。


ちょっと腹立つ。


「じゃあ勝率どうなってるの? 54%で負けたんだけど」


《正常です》


「正常?」


《成功率54%とは、54%成功する可能性があるという意味です》


「知ってるよ!」


「でも普通54%なら勝つだろ!」


《46%で失敗します》


「……」


正論だった。

何も言い返せない。


《確率は保証ではありません》


《あなたは誤認しました》


「……クソ」


完全に俺の負けだった。

パチンコでもそうだ。

期待値が高いからと言って当たるわけじゃない。

なのに俺は、


『54%だから勝てる』


と思い込んだ。

ギャンブラーとして一番やってはいけないミスだった。


「じゃあ質問を変える」


「勝率は何で決まる?」


《対象、あなた自身の能力、環境、あなた自身の幸運値、その他です》


「その他って何だ。」


《非公開です》


「なんでだよ」


《仕様です》


「腹立つなぁ……」


思わず頭を抱える。


「幸運値って何だ?」


《運にバフがかかります》


「どれくらい?」


《非公開となっています》


「お前……。」


《仕様です》


「便利な言葉だな!」


青白い画面は何事もなかったように揺れる。

こいつ、絶対わざとだ。


「ベットできる物は?」


《《寿命》《魔力》《所持金》《保有スキル》《能力値》など大体のものはベットできます》


「……能力まで?」


《可能です》


「全部失うことも?」


《はい。可能です》


思わず息を呑んだ。


「じゃあ逆に。」


「勝てば?」


《対価に応じた報酬を獲得します》


「寿命を一年賭けたら?」


《報酬は大きくなります》


「十年なら?」


《さらに大きくなります》


「全部なら?」


画面が数秒止まる。


そして。


《推奨しません》


「推奨しない?」


《敗北した場合》


《死亡します》


「……。」


風が吹いた。

草が揺れる。

さっきまで暑かったのに、急に寒気がした。


「つまり俺は」


「命をチップにして戦うスキルってことか」


《概ね正解です。命以外もかけることはできますが》


「狂ってるな」


《否定しません》


乾いた笑いが漏れる。

俺らしい。

ギャンブルしかやってこなかった人間に与えられたのが、

命を賭ける能力。

笑うしかない。


「最後に一つ」


「お前は俺を助けるのか?」


画面は静かに揺れる。

数秒後。


《私は公平です》


《勝者にも敗者にも平等です》


「……なるほど」


味方じゃない。

敵でもない。

ただ、賭けを成立させるだけ。

それだけの存在。


「ならいい」


俺は立ち上がった。

ズキリ、と頬が痛む。

まだ殴られた傷が残っている。


「次は負けねぇ」


《その発言を記録しました》


「記録すんな」


《記録完了》


「消せ」


《拒否します》


「なんなんだ、お前!」


思わず笑ってしまった。

異世界に来て初めてだった。

心の底から笑ったのは。

この世界は優しくない。

スキルも優しくない。

でも。


「面白ぇ」


俺は胸ポケットの冒険者カードを握り締める。

命を賭けるなら、

誰よりも上手く賭けてやる。

そう心に誓い、ゆっくりと街へ戻り始めた。

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