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ギャンブル中毒者が魔王討伐!?~ギャンブルスキルだけで魔王討伐~  作者: がりうむ
1章

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旅立ち

キングボア討伐から三日後。

酒場を壊した修理代も、キングボアの討伐報酬のおかげで無事に返済し終えた。

ギルドの中は今日も賑わっている。


「これで借金も終わりだな」


俺がリリアにそう語りかけると、ガルドは酒瓶を片手に笑った。


「つまり、今日は祝い酒ってことだ!」


「違うだろ」


「お前、毎日祝い酒じゃねぇか」


リリアも元気よく手を挙げる。


「じゃあ私は大盛りパフェ!」


「ギルドにそんなもんあるか!」


受付嬢が苦笑する。


「今日はありません」


「えー……」


落ち込むリリア。

その様子に周囲の冒険者たちが笑った。

キングボア討伐以来、三人はすっかりギルドの名物になっていた。


「おいジョー!」


「次は何狩るんだ?」


「Aランクでも行けるんじゃね?」


「いやいや!」


「前回かなりギリギリだったから!」


あれは本当に運が良かっただけだ。

そう思いながら報酬袋を見る。

リリアの借金の五十金貨を抜かれても金貨と銀貨がぎっしり入っている。

今まで見たこともない金額だった。


「これだけあれば、しばらくは困らないな」


するとリリアが俺の肩を叩いた。


「ねぇ!」


「どこか遊びに行こうよ!」


「遊び?」


「うん!」


「せっかく私の借金も無くなったし!」


確かにそうだ。

異世界へ来てから、まともに街を見て回った記憶がない。

ガルドも酒を飲みながら頷く。


「王都なんかどうだ?」


「王都?」


「この国で一番でかい街だ」


「酒もうまい店がたくさん集まっている」


「最後の一言で本音が出たな」


ガルドは豪快に笑う。


「はっはっは!」


リリアも目を輝かせた。


「王都行きたい!」


「魔法道具のお店いっぱいあるんでしょ?」


「ねぇ、行こうよ!」


二人とも完全に行く気だ。

俺は少し考えてからため息をつく。


「……まあ、いいか」


俺もこの世界に興味がある。


「やったー!」


リリアは飛び跳ねた。

その勢いで近くの椅子につまずき、派手に転ぶ。


「いてて……」


「何もない所で転ぶなよ」


「えへへ」


ギルド中に笑いが広がった。



その日の夜。

宿のベッドへ倒れ込む。


「疲れた……」


静かな部屋。

ようやく一人になれた。

その瞬間。

目の前に青白い光が浮かぶ。


《サポーター起動》

《こんばんは、ジョーさん》


スキルサポーターだった。


「呼んでないのに出てくるな」


《本日は確認事項があります》


「確認?」


画面が切り替わる。


《寿命使用履歴》

《門の通行 一日》

《冒険者登録 三日》

《荒くれ物との決闘 十日》

《ワイバーン討伐 九十日》

《キングボア討伐 九十三日》


その数字を見た瞬間、思わず目を逸らした。


「……う」


《最近、寿命の使い過ぎです》


「ですよね……」


ぐうの音も出ない。


《本スキルは便利ですが、乱用は推奨しません》

《現在は返還されたため問題ありませんが、毎回返ってくる保証はありません》


その言葉に、俺は黙る。

確かに今回は運が良かった。

もし失敗していたら。

九十三日。

約三か月分の寿命を失っていた。


《勝率九十五%以上を狙う癖は危険です》

《必要以上のベットは避けてください》


「……でも、あの時はあれしかなかった」


《理解しています》


《ですが、あなたの寿命は有限です》

《ギャンブルとは、命を粗末にする行為ではありません》


その言葉は、不思議と胸に刺さった。


「……気を付けるよ」


《ありがとうございます》


画面が消えかける。

その時。


《追記》


「まだあるのか?」


《あなたの現在の幸運値は平均を大きく上回っています》

《そのため、今後は低ベットでも勝率が大きく変動する可能性があります》


「……本当か?」


《はい》

《幸運値はあなたの最も重要な能力です》

《忘れないでください》


光が静かに消えた。

部屋には静寂だけが残る。


「幸運値か……」


キングボアを倒せたのも。

あの小石で転んだのも。

全部、このスキルのおかげだったのかもしれない。

俺は天井を見上げ、小さく息を吐いた。


「次は、できるだけ寿命を賭けずに勝つ」


そう心に決める。



翌朝。


「ジョーー!!」


廊下からリリアの叫び声が響いた。


「早く早く!」


「王都行くよ!」


「まだ朝六時なんだけど!?」


「早い方がいっぱい遊べるもん!」


「遊びに行くんじゃねぇんだよ!」


その横ではガルドがすでに酒を飲んでいた。


「朝酒はうめぇ」


「朝から飲むな!」


「酒は旅のお供だ」


「水筒代わりに酒入れるな!」


ギルドへ向かうと、入り口の前にはギルドマスターが立っていた。


「お前たち、王都に行くんだってな?」


「そうそう、いいでしょ?」


リリアが嬉しそうに答える。

ギルドマスターは大きくため息をついた。


「ああ。これで少しはギルドも静かになる」


「えー、なんでそんなこと言うの?」


「「お前が原因だろ」」


俺とギルドマスターの声が重なる。


「えへへ」


リリアは悪びれる様子もなく笑った。

本当に反省しているのか怪しい。


「まぁ、王都までは二日ほどの道のりだ。気を付けて行け」


「はい、ギルドマスター」


俺が返事をすると、ギルドマスターはガルドとリリアを見る。


「あと、そこの二人」


「問題だけは起こすなよ」


「はいはい、分かってるって」


「その返事が一番信用できないんだよ」


ガルドは笑い、リリアは首を傾げる。


「私は何もしてないよ?」


「前回、酒場の壁を吹き飛ばしたのは誰だよ」


「……あれは魔物のせい」


「違う」


最後までいつも通りだった。

俺は小さくため息をつく。

だが、不思議と嫌な気分ではなかった。


「じゃあ行くぞ」


「王都へ!」


そうして、俺たちは王都へ向けて旅立った。

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