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空いていた席に座り、一息。
足のことなんてもはや気にならなくて、
頭と心臓が大慌て。
目が、合った。初めて。
そして、
何故か席を譲ってくれた。
しっかりと、確かに
私に譲ってくれた。
そこに何か特別な意味は
ないのかもしれない。
でも私にとっては特別だった。
何故だかとても嬉しくて、
ありがたくて、
映画のような美しさで、
多分一生忘れない光景だと思った。
「(目がすごく綺麗だった……)」
感情は感じられない、
静かな目をしていた。
愛想を添えているわけではなく、
ただ私のことを真っ直ぐに見て、
そして席を譲ってくれた。
なんだろう、どうしてだろう、
何故、こんなにも心がざわめくのか。
思ってもみなかった出来事だったからか。
それは大いにある。
思ってもみなかった美しさであったからか。
それも大いにある。
思ってもみなかった、優しさであったからか。
それも確かに、大いにある。
じいん、と心が温まる。
驚いた、驚いたけれど、
感謝の気持ちでいっぱいだった。
足が本当に痛くて、
今日は座りたいなと思っていて。
だから温まる心と、
滲む視界に笑いがこみ上げてきた。
どれだけ優しさに飢えていたのだと。
でも、それだけ嬉しかったのだと。
手元から視線を上げ、
流れゆく景色を眺める。
涙は数度の瞬きで消えた。
それでも心は、
ずっとずっと温かかった。




