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最後の旅の案内人 〜やり直しの世界へ〜  作者: megane-san
第1章 追放~覚醒

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5. 地底人の友達

 ブルーマウンテンの山中から辺境伯城に戻った後、俺はじいちゃんから地底族について話を聞いた。


「えっ!地底族って、魔人なの?」


「魔人は、人族の数倍の魔力量を持つと言われている。大昔、地底族はガーラ国の北にある魔の森に住んでおって、無限の魔力を持つ魔王の配下だったらしい」


「魔王!魔の森って、ガーラ国の北にある森だよね?」


「あぁ。あの森は瘴気が強くて、人が入ることはできないがな……」


「魔人は人族に敵意は無いの?」


「それはわからんが、儂は昔に地底人に助けられたことがある」


じいちゃんは、若い頃にブルーマウンテンに籠って修行をしていた時に、山頂付近のクレバスに落ちて窮地にあっていたところを親切な地底人に助けられたことがあったらしい。その時の地底人は穏やかで真面目な性格だったとじいちゃんは言っていた。


「地底人は、じいちゃんの命の恩人か……」


俺は、山でのじいちゃんの呟きを思い出して、ハッと顔を上げた。


「おじいさま、獣人って何?」


「……話しておいた方が良いか。この世界には色んな祖先を持つ種族がいる。魔族も含めると多種多様だ。隣国は大昔に獣人が建国した国で、あの山には獣化した者たちが住んでいるという噂もある」


「……獣化。知能と魔力を持った獣人が獣化したら、魔獣より強い?」


「あぁ、儂もそう考えた。まだ推測に過ぎんがな……」


ん~、調べるのに時間が掛かりそうだな……。スタンピードの原因については、地底族の方を解決してからにしよう。





それから俺は、1週間ほど自分の工房に閉じこもった。


「出来た……」


俺は、縁側にいた祖父母のところに顔を出し、「ちょっと地底族のところにいってくる」と声をかけた。そして半年前から俺の護衛となったルーピンと一緒に、魔道具を使ってその場からブルーマウンテンの山中に転移した。


ルーピンは、光と風の魔力を持つものすごく頭の切れる奴だ。俺の5歳上で、孤児院にたまたま訪れたチャールズに才能を見出されて、今では執事後継として暗部の指導も受けている。

 


ルキリアが転移で姿を消した後、縁側では――


「ルキ、何をしに行くんじゃ?まぁ、ルーピンが一緒なら心配はないが……」

 

「最近は、ルーピンを伴ってあちこちに出向いているようだが……」

 

「この間は、試作のレーザー砲なるものを試しに、増えてきた魔獣の数を減らしてくると言って結界の外側に飛び出して行った。怖いもの知らずじゃ」

 

「怖いもの知らずか……。セイ、ルキリアは怖いもの知らずなのではない。生きることに執着がないだけだ。だからびっくりするような無茶をする。あの子は、死ぬことを恐れていない。この世界で生きる意味が、あの子にはまだ見出せていないんだろう……」


「そうじゃな……。今のあの子は、自分の役割があるからこの世界に繋がっているだけのように見えることがある。そこを自分の居場所としておるんじゃろなぁ。『じいちゃん、ばあちゃん』と寝言では言っておるが、実際には『おじいさま、おばあさま』と呼んでおるからのぉ。まだまだ遠慮が見える……。道具を作っている時間だけが、頭の中を無に出来る時間なんじゃろなぁ。いきなりこの世界に落とされたんじゃから……。あの子は優しい子じゃからな。我は見守ってやりたいと思っている」

 

「そうだな……」


縁側でお茶を飲んでいた2人は、孫の後ろ姿を温かい目で見送った。





ルキリアは山の中腹にある広場に到着すると、前回同様に拡声器を使って地底人を呼び出した。すると、あの時の2人と思われる黒い人影が現れた。


「今度は何でしょうか?また何かご迷惑をお掛けしたんでしょうか……」


「いえ、違うんです!地下工事の振動対策と、いつでも皆さんがここで魔力を開放出来るように、防音・防魔力の暗幕結界魔道具を作ってきたんです!」


「魔道具?」


「実は、僕の祖父が昔、地底族の方に窮地を救ってもらったそうなんです。それで、そのお礼も兼ねて地下の生活でも便利に使えるような物も作ってきました」


ルキリアはそう言うと、マジックバッグから大量の魔道具を取り出して地面に並べていった。


魔道具の説明を受けた地底人の族長は「魔道具?」と、俺を怪しむような眼差しで見ていたが、山の麓の領民たちが地震やスタンピードで不安がっているから取り付けさせて欲しいと俺が頭を下げると、気の良さそうな族長はすぐに頷いて了承してくれた。 


そして地底族の族長は、俺たちを地底人の住む地下へ案内してくれた。


地下への入口に入ると、明かりは全くない暗闇だった。


俺はマジックバッグから赤外線メガネを取り出して問題なく彼らについて地下へ降りて行った。そして階段を降りて、途中から地下に降りるエレベーターに乗り、3分ほど降下すると彼らが住む地下都市に着いた。


エレベーターを降りると、ホール正面の壁面に、ポセイドンと思われる見事な彫刻が刻まれていた。そして頭上には淡く発光する鉱石が埋め込まれ、街路のように整備された通路が四方へ伸びている。


(ここが地下都市!美しく計算されて作られてる……)

 

「これは凄い……。もしかして、地底族って幻のアトランティス大陸に住んでた住人の末裔……?」


俺の独り言を聞き取った地底人は、パッと俺に振り向くと驚いた顔で口を開いた。


「あっ、良くご存じですね!そういう説もあるんですがね、実は……」


(なんかこの地底人のお兄ちゃん、饒舌に語りだしたよ……)



ルキリア達が広いホールの中央に連れられていくと、地下都市では珍しい訪問者に、ぞろぞろと地底人たちが集まってきた。


「みんな聞いておくれ。この山の麓に住む少年が、私たちのために、たくさんの魔道具を作ってきてくれた。この魔道具で、これからは昼間でも地上の広場に上がって新鮮な空気を吸うことが出来る。そしてこの地下都市の地盤沈下も、恐れずに暮らせるようになる」


「「「「「おぉ~!」」」」」


地底族の族長は、すぐに魔道具設置のためのメンバーを選出してくれた。そして、俺は紹介された族長の孫のモーリーとすぐに仲良くなり、それぞれの魔道具を説明しながらその仲間たちと一緒に次々と魔道具を設置していった。


まずは地下都市の中央に魔針となる長いミスリル製の柱を設置して、その側に蓄魔力機を置く。そしてその魔針から地下都市全域に地盤や壁面を支えるバリアが張られるようにした。


そして地上の広場にも魔針を設置して広場を覆うように、防音・防魔力も兼ねた暗幕結界を張る魔道具を設置した。


「あっ、ルキリア。この部分、もうちょっとこうしたら……。おっ、さっきより魔力の流れがスムーズになったぜ」


(えっ……!俺が必死で考えた回路の無駄を指摘して、直した!?)


全ての魔道具が設置し終わると、俺たちは族長に連れられて、食事が用意されている部屋に案内された。


「みなさん、今日は朝からご苦労様でしたね。ルキリア君のおかげでこの地下都市の安全性も上がって、子どもたちも地上の広場で遊べるようになりました。それでは……、ルキリア君に乾杯!」


「「「「「乾杯〜!」」」」」

 

「うわぁ!凄いご馳走だね!」


「うちの母さんが、張り切って作ったみたいだぜ」



俺たちは出された料理をキレイに平らげた後、地上の広場に張られた暗幕結界の中で寝転びながら、モーリーから地下都市について、色々な話を聞かせてもらった。


モーリーは、俺よりちょっと背が高くて人懐っこい感じの少年だ。地底人の寿命は180歳ぐらいって言ってたから、15歳のモーリーは、まだまだ子供らしい。


そして彼は、魔道具の仕組みも即座に理解して改善点まで指摘できる、キレッキレに頭の回転の早いやつだった。




「俺、今日はすごく楽しかった……」


「ルキリア、またいつでも遊びに来いよ」


「うん!あっ、そうだ……」


俺はマジックバッグの中から、ゴソゴソと魔道通信機を取り出してモーリーに渡した。


「俺に連絡をとる時は、この魔道具を使って。俺も次に来る時は、この通信機で連絡するよ」


人族は魔信便(手紙を魔力で送る連絡手段)で連絡を取り合うが、地底人は紙に文字を書くことをしないため、俺達が連絡を取り合うために魔道通信機(携帯電話のような物)を渡した。


「おっ!便利だな、これ!」


「地底族は、記録をどうやって残してるの?」


「代々の族長が、その時代の出来事を『記録玉』に残すんだ。地下深くに保管してるんだけど……」


(んっ?モーリーどうした?)


「あっ、すまん。……俺も、これで連絡するよ!」


(俺、初めて前世の技術について深く話せる友達ができた……)


そして俺は、モーリーと次に会う約束をした後、みんなに引き止められながら、辺境伯城へ戻った。


転移して城に着いた時、俺はふと疑問が浮かんだ。

 

「んっ?モーリーは、あの地底都市では得られない知識を、何で持ってるんだ?」



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