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第36話

「やぁ、いらっしゃい。マポラの後遺症もなく元気そうでよかったよ」


「本日はお招きいただきありがとうございます。あれから体調を崩すことはまったくなかったので大丈夫だと思います」


「そう、今日は急に招待して悪かったね。ご家族から何か言われたのではないかい?」


「それはもう」


実感がこもっていたらしく、エドワード様に笑われてしまった。



エドワード様に案内されたのは、庭にある東屋だった。


ウィンストン公爵家の美しい庭が一望できる高さのある東屋だった。


「じつはね、今日呼んだのは私ではなくて、東屋にいる奴だ。誰にも聞かれることなく話せるから、じっくり話といい」


エドワード様はあずまやの前にわたくしを置いて去っていったので、あずまやにいたのはユリウス殿下だった。


「すまない、呼び出して。王城に君を呼ぶわけにはいかなくてね」


「いえ、誘拐の件は極秘になっていますから、お気になさらないでください」


「改めて、危険な目に合わせて申し訳なかった」



「・・・・今回の件、黒幕の正体はほぼ掴んでいいて、わたくしが囮になることで、叔父を引っ張りだしたかったということでしょうか?」


「そうだ」


密輸組織の件でオーレリアン侯爵と叔父が黒幕だろうと推測したけれど、なかなか尻尾を出さなかったそうだ。


そしてマポラの件もやり口が似ているから、彼らだろうと疑っても証拠が手に入らなかったらしい。


だから尻尾をなかなか出さない彼らに対して考えたのが、今回の作戦にみたいだった。



「カールトン大将、いえ今は男爵ですね。彼は王家の影だったのですか?」


「・・・以前、騎士と影と両方を受け持つ特殊部隊に所属していた。彼が見つけた密輸組織の偽の証拠で、国王陛下たちが君たちロックフェルトを疑った」


あぁ、そういうことね。だから彼は責任を感じて我が家の海軍にはいったのね。


カールトン男爵は密輸組織も極秘に追っていたのだろう。



「退役してからは、我々とは連絡を絶っていた。ただ今回の作戦、彼に気づかれてね、協力をお願いしたのだ」


「おそらくシャルロッテお姉様も、カールトン男爵のこと気づかれたと思いますよ」


「そうだね。だが彼は今回の陞爵でロックフェルト海軍を離れるからこのままでいいだろう」



「あとフェリシアお姉様が大変失礼をしたようで申し訳ありませんでした」


「今回の作戦のきっかけを聞いたのかい?」


「はい」


「フェリシア嬢が言ったことは間違いではないんだ」


「えっ?」



中等科の生徒会でわたくしと話すのは楽しかったそうだ。


周辺国の状況など女性と議論ができるとは思っていなかったらしく新鮮で楽しかったらしい。


だからわたくしが大学に入学するのを楽しみにしていたともいう。


「もしかしてわたくしが初恋だったとか?」


冗談っぽくわたくしが話すと「そうだね」と返事が返ってきた。



「昔話だとしても、ルクレッツィア王女殿下と婚約間近と言われていらっしゃるのによろしくありませんわよ」


「たしかにそういう話はあったが断ったことだ」


私はユリウス殿下の顔を見る。



「兄上に2人目の子が生まれたので、私は王族を離れることができる。だから私と一緒になることを考えてくれないだろうか」


「・・・・それは新たな家を興されるということですか?」


「いや、私がこのウィンストン公爵家を継ぐことになった」


「えっ?」


エドワード様はルクレッツィア王女殿下と恋愛中らしく、ルクレッツィア王女殿下がマサーヤ王国で公爵家を興すから婿に行くことが決まったそうだ。



「ウィンストン公爵はこのお話をご存じなのでしょうか?


「もちろん、伯父上は君のことを気に入っているから賛成してくれている」


「・・・昔のお話は聞きましたが、今はどうなのですか?」


「私の努力を知っていて意地悪をいうのか」



「・・・ユリウス殿下」


「私が密輸やマポラの首謀者を必死で捕えようとしたのは、この件が片付かなければ君に告白できないと思ったからだ。正直間に合うか焦った時期もある。これからの人生を君と一緒に歩んでいきたい」


王家の失態を片付けないと、お姉様たちが結婚を許さないと思われたのでしょうね。


実際、シャルお姉様の王家に対する不信感が大きかったことをご存じなのだろう。


わたくしはユリウス殿下の目を見て話し出す。



「わたくし、アレックスと事業を立ち上げたときに、決意していたことがありましたの。家を立て直したら、好きになった方に告白すると」


ユリウス殿下が驚いた顔をする。


「ただ告白できるようになった時に、相手が婚約や結婚していれば胸に秘めたままにする。その方はお立場上、婚約や結婚をすぐにはなさらないだろうから、時間はあるはずだと自分に言い聞かせて商売を始めました。今もその気持ちはかわりませんわ」



「ジャクリーン嬢、君にはまったく騙されたよ」


ユリウス殿下がほっとしたような笑顔を見せる。


わたくしは、シアお姉様という手強い人を騙さなければいけなかったからだと言うと、さらに笑われた。



どうやらシアお姉様が殿下に会いに行ったとき、結構核心を突かれたらしく誤魔化すのが大変だったらしい。


シャルお姉様やレイお義兄様も同席していたけれど、シアお姉様の独断場だったそうだ。



「殿下とレイお義兄様でアレックスの尻を叩いてください。このままではあの2人は婚約もできないと思います」


「そうだね。アレックスも伯爵だ。早く身を固めた方がいいな」


「あの2人が纏まらなければ、わたくし嫁げませんわ」


「それは駄目だ。わかった、レイと何とかしよう」


慌てて言うユリウス殿下とわたくしは顔を見合わせて笑いあった。

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